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欧米的テロ観無き日本人にはインパクトが弱いかもしれない

2009-09-03 08:32:33 | 読書ノート
アラン・B・クルーガー『テロの経済学:人はなぜテロリストになるのか』藪下史郎訳, 東洋経済新報, 2008.

  テロリズムについての実証研究。なんでも、テロリストの多くの学歴は平均より上で、ひどく貧乏というわけではないらしい。それよりも、彼らの出身国の言論の自由の無さが問題であると。そのようなわけで、テロ撲滅の根源的な対策になるのは、途上国に援助して貧困を減らすことではなく、先進国ではないがそこそこ豊かな国(=産油国)に政治的な自由度を上げるようはたらきかけることだということになる。

  日本でテロリストと言えば「狂信者」のイメージが強い。著者が対抗しようとしている欧米の通説「貧困がテロを生む」という考えが、日本でコンセンサスを得ているようには見えないのだが、どうなんだろうか? ちなみに「テロが信仰に由来する」という日本的考えも検討の俎上に上がっており、きっぱり否定されている。
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