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アルメニア産のエキゾチックな聖歌集

2015-10-09 09:38:08 | 音盤ノート
Tigran Hamasyan "Luys I Luso" ECM, 2015.

  聖歌とピアノ伴奏、少々民族音楽。ティグラン・ハマシアンと言えば、中近東的な音階を散りばめた、ロックビートを伴った変拍子ジャズというイメージである。だが、このECM録音ではそれとは異なるスタイルを取っている。故郷アルメニアの合唱団との共演で、静謐かつドラマチックにピアノが奏でられる。ミュージシャンの意向よりもレーベルカラーが強く出た作品だろう。

  収録曲は5世紀から20世紀にかけてのアルメニア聖歌をハマシアンが編曲したもの。聖歌らしく心洗われるところがある一方で、東ヨーロッパ的なのか中近東的なのかよくわからないが、独特の民族音楽的な音階が非常にエキゾチックに感じられる。本人のピアノは慎重かつ繊細な演奏で、いつものスリリングな指使いを封印。うーむ、とても清廉で美しいが、本領発揮という感じでもないな(ただし10曲目など大胆に盛り上がる曲もある)。

  ミュージシャンにとってはルーツ探しの企画ものという位置づけだろうか。聴く方は珍しいアルメニアの音楽に接するつもりで楽しんだ方がいいだろう。最近のECMはたまにデジパック(もしかして死語?)でCDを出すことがあるが、これもその一つ。
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