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図書館・情報学関連の雑記、読書ノート、音楽ノート、日常生活の愚痴など。

事実を解説する文書を読む訓練

2008-06-23 09:45:41 | 図書館・情報学
 義務教育課程の国語で、生徒に「事実を解説する文書」を読む訓練を施してくれないだろうか?日常生活で、薬や電化製品の取扱い説明書に出会うことは多いはず。仕事に就けば職務規定だとか、業務マニュアルだとかを読まなければならないだろう。製品の仕様書や契約書を理解するにはある程度知識が必要だけど、それでも輪郭をつかめるぐらいの読解力があったほうがいい。

 教師としての僕の観察では、どの大学の学生もこの種の文書に慣れておらず、提示されても読まない・読めない傾向が見られる。一般に、司書資格課程をとる学生は、他の学生より読書家である。しかし、読んでいる本はほとんど小説など文学作品である。

 司書資格課程の講義で、検索システムのヘルプ画面や、『日本目録規則』や『日本十進分類法』に従って演習をさせようとしても、全然はかどらない。教員がそれらを一通り説明した後に演習に入ると、「さっきここに書いてあるって指示したじゃん」という箇所について学生が尋ねてくる。「ちゃんと読め」というと、節の頭からじっくり読み始める。ざっと読んで必要な部分だけを見つけるという読みのスタイルを知らない。

 学生諸君、君たちはプラモデルを作ったことがあるか? おじさんはガンダムのプラモデルで設計図などのマニュアルの読み方を覚えたぞ(たぶん)。

 最近では、コンピュータのマニュアルを筆頭に、駄目なマニュアルを批判することが多いみたいだ。僕としては、それと同時に、まともなマニュアルを読めない人々についても問題にして欲しいと思う。義務教育課程で、事実を解説する文書──たしかに無味乾燥で面白いものではないのだけれども──に慣れさせていないのだから、書けない・読めない人々が続出しても致し方ない。

 昔は商品やサービスの選択肢が少なかったのでそんな教育は必要無かったのだろう。しかし、今は選択肢が増えたのだから、消費者教育としてこの種の読解力の育成は急務である。画期的な商品が誕生しても、「わからないので買いません」では日本製品の質は向上しないだろうから。そういえばマニュアルが読めなくて工場を止めちゃった新入社員の話もどっかで聞いたな。
コメント
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