ひろの東本西走!?

読書、音楽、映画、建築、まち歩き、ランニング、山歩き、サッカー、グルメ? など好きなことがいっぱい!

昭和レトロ家電 増田健一コレクション展(大阪くらしの今昔館)

2011-02-11 22:25:51 | アート・文化

大阪市内でも久しぶりに雪が積もった今日、午後から「住まいのミュージアム・大阪くらしの今昔館」で開催されている「昭和レトロ家電 増田健一コレクション展」に行ってきました。12月中旬から開催されていたものの行くタイミングを逃し、最終日となった今日になってようやく出かけました。

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************************** 大阪くらしの今昔館のHPより **************************

昭和30年代は白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の「三種の神器」をはじめとする様々な家電が誕生し、家庭に普及しました。近代的な家電は私たちにとって豊かさの象徴であり、あこがれの存在でもありました。また、当時の家電のシンプルかつ丸みをおびたレトロなデザインはどこか懐かしく可愛らしいことから、その価値が見直されつつあります。
 増田健一氏は20年にわたって、全国各地から昭和時代の家電を中心とした生活用品を個人で収集してきました。これまでホームページのみで公開されてきた増田氏の約500点のコレクションを本展では初めて一堂に紹介します。

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会場に入ると、丸みを帯びた懐かしく愛嬌のある家電が多数展示されていました。今でも時おりレトロな家電を見かけることはありますが、これだけ多数の現物を目にするのは初めてかもしれません。

手回しローラー式の絞り機がついた洗濯機、シンプルで単色の扇風機、赤い小型の電気ストーブ、ふとんの中に入れて使った電気あんかなどは、自宅にあったものと似ていたり自分で使った記憶があったりで、懐かしかったです。あれ?ミシンがなかったな・・・。

私は知らなかったのですが、この日はちょうど増田健一さんご本人によるギャラリートークがあり、その気さくな人柄と軽妙洒脱な語りに集まった人々は皆さん楽しそうに「そうそう」とうなずかれたり、「ほおーっ」とか「へえーっ」と感心されたりしていました。全体的にほんわかムードで良い感じ。会場内は写真撮影禁止だったのですが、詳細は増田氏ご本人のサイト”なつかし堂の昭和家電「小」博覧会”に多数掲載されていますので、そちらをご覧ください。

デザインは、丸っこくて可愛らしいものが多かったですが、モダンなものや時代の最先端の要素(ロケットなど)を取り込んだものなどもあり、ニヤリとしたり、「おおーっ」と驚いたり興味深かったです。

増田さんの解説によると、当時はまず何でも作ってみるという冒険心?があったようで、今となっては”やや”怪しげな機能や謳い文句を掲げて作ったものの、あまり売れることなく消えてしまった製品も多かったそうです。ですが、今となっては失敗作ほど味があったりするのが面白いですね。

また、会場外では「ヤンマー」(僕の名前はヤン坊・・・)、「ナショナル」(明るいナショナル・・・)などの懐かしのCMも上映されていました。藤田まことさんの「あたり前田のクラッカー」も出てきました。それにしても昔のCMはゆったりしたものが多かったですね。いつ商品の名前が出てくるのかな?と思ったり、ミゼットは車の全景が最後まで映らなかったりでビックリ!

もう少し早く見に行ってブログで宣伝したかったなあ。。。 

今回、色んなものを集めてそれを残しておくことの大変さと文化的な価値の素晴らしさを実感しました。かくして、モノや本であふれかえっている我が家のスリム化がいつまで経っても進まないことになるのであった?


第二回 午前十時の映画祭 「大脱走」を再見!

2011-02-07 23:34:44 | アート・文化

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大脱走
★★★★☆:90~95点

以前から気になっていたものの行く機会を逃していた「午前10時の映画祭」。先日からその第二回が始まり、私はSeries1/赤の50本(初年度に上映した50作品を新しい25劇場で上映するもの)の中から「大脱走」を観てきました。

私がこの映画を初めて観たのは中学2年のときで、TV(「ゴールデン洋画劇場」だったようです。ということは水野晴彦さんの解説か)で前後編の2回に分けて放映されたものです。当時、数学を教えて下さったT中先生が「この映画は絶対に面白いので、僕は必ず観るんや」と言っておられたのをよく覚えています。

私が映画を最もよく観たのは(TVの洋画劇場も含めてですが)中学・高校時代で、今回ウン十年ぶりに観た「大脱走」はとても懐かしく、エルマー・バーンスタイン作曲のテーマ曲が流れ出したとたんに当時の興奮と感動が鮮やかによみがえってきました。約3時間の長編で途中休憩なしですが、男達の勇壮な物語に最後までずっとひきこまれたままでした。

映画「大脱走」についてはネットに様々なデータがあると思いますが、Wikipediaにもかなり詳細なデータが掲載されており、これは後からふり返ったりするのに大変参考になります(こちら)。

**************************** 注)以下、ネタばれあり ****************************

まずは映画の冒頭、新しい収容所に移送されてきた途端に早くも数名が脱走を企てるその大胆不敵さと、それを軽く見破るドイツ軍の看守たち。ここはどちらも余裕たっぷりでユーモア感があってニンマリです。

そして、250名を一気に脱走させようという途方もない物語が始まります。これは多大な困難に立ち向かった壮大なプロジェクトの物語ととらえることができますね。リーダーである”ビッグX”ことロジャー(リチャード・アッテンボロー)以下、その道のプロが自分の仕事に全力を尽くす、その過程が最大の見せ場でしょうか。

  独房王  :ヒルツ(スティーブ・マックイーン)
  情報屋  :マック(ゴードン・ジャクソン)
  トンネル王:ダニー(チャールズ・ブロンソン)とウィリー(ジョン・レイトン)
  調達屋  :ヘンドリー(ジェームス・ガーナ-)
  偽造屋  :コリン(ドナルド・プレザンス)
  製造屋  :セジウィック(ジェームズ・コバーン)、
  土処理屋 :アシュレー(デビッド・マッカラム)、
  測量屋  :カベンディッシュ(ナイジェル・ストック)

その他、仕立て屋など一芸に秀でたクセ者、いや強者(つわもの)たちが「大脱走」という大きな目標に向かって一致団結し、しかし、各人は見張り役であろうがカモフラージュ役であろうが、自分に与えられた任務に全力を尽くします。その凄さと頼もしさが圧巻。

大脱走当日、秒刻みの行動の息詰まるような緊迫感。
そして、ヒルツが最後のたて穴をあけて地上に顔を出してみると・・・あぁ。。。

壮大な物語の中に希望と絶望、喜びと悲しみ、友情(ヒルツとアイブス、ダニーとウィリー、ヘンドリーとコリン。ロジャーとマックもそうか)などが散りばめられ、見応えたっぷりです。敵でありながら収容所の所長(親衛隊やゲシュタポに批判的)とはお互いに軍人としての責務を理解した気持ちがあるのも素晴らしかったです。

映画の終盤、ヒルツ役のスティーブ・マックイーンがバイクで逃げ回る有名なシーンは痛快で、題材的に閉塞的な映画に凄い開放感と躍動感を与えたと思います。

今回再見して、”ナイスガイ”の一匹狼・ヒルツ(スティーブ・マックイーン)と情報屋:マック(ゴードン・ジャクソン)、偽造屋:コリン(ドナルド・プレザンス)が強く印象に残りました。ゴードン・ジャクソンは名前を覚えていなかったのですが、ロジャー(リチャード・アッテンボロー)を支える有能な参謀役の存在感が素晴らしかったです。

映画では無事に国外に脱出できたのは76名中3名。この大脱走に意味があったのかどうかは考え方しだいだという連合軍捕虜の先任将校ラムゼイ(ジェームズ・ドナルド)の言葉も印象的でした。

書き出せばきりがありませんね。

「大脱走」、名作は死なず!
このような作品を劇場のスクリーンで再見できて幸せでした。
第二回 午前十時の映画祭、もっと行くぞー!


小林研一郎 炎のタクト! ベートーヴェン6番&7番

2011-02-06 01:44:10 | アート・文化

Kobaken0205今日は午後から、夫婦でザ・シンフォニーホールへ小林研一郎指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団のコンサートに出かけました。「小林研一郎 炎のタクト!」と銘打たれたおなじみのコンサートで、今回のプログラムはベートーヴェンの交響曲第6番「田園」と交響曲第7番です。

1年前のコンサートでは、①メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲と②ベートーヴェン:交響曲 第3番「英雄」の組み合わせで、特に②の熱演・凄演?にぶっ飛び(そのときの感想はこちら)、昨夏の3大交響曲の夕べでは、①シューベルト:「未完成」、②ベートーヴェン:「運命」、③トヴォルザーク:「新世界より」という超有名な3曲に吹き込まれた新しい生命力に感動したのですが(そのときの感想はこちら)、今回はベートヴェンの交響曲2曲ということで期待感いっぱいです。

全体的にはおだやかで牧歌的な感じの「田園」と”のだめカンタービレ”で一般的にも広く知られるようになった躍動的なリズムが印象的な「7番」をコバケンさんがどのように振るか、そして大フィルがどのように演奏するか興味津々でした。

ちなみに、つい先日、コバケンさん/チェコ・フィルの「英雄」CDがリリースされましたね。

********************* ザ・シンフォニーホールの公演情報より *********************

マエストロ小林×大阪フィルが挑む究極のシンフォニー
ザ・シンフォニー特選コンサートvol.15
小林研一郎 炎のタクト!ベートーヴェン

日本が世界に誇る“炎のマエストロ”=コバケンこと小林研一郎さん。世界中でエネルギッシュな活動を続ける中、大阪フィルハーモニー交響楽団とも数々の名演を残してきました。そして2011年、新たな歴史の1ページにマエストロが選んだのは不滅の楽聖、ベートーヴェンの2つのシンフォニー。「英雄」「運命」「第九」の大曲と並び称される交響曲第6番「田園」、そして第7番。
今年も満員御礼で迎えた夏の定番コンサート『小林研一郎の夏休み・名曲招待席』でも楽しいトークで分かりやすく解説をしてくださった田園交響曲。「ベートーヴェン自身が憧れた大自然を想って作られ、絵画というよりむしろ気分の表現として書かれているんですね。各楽章に標題が付けられていますが、これは歴史上初めてのことです」とベートーヴェンの世界に案内してくださいました。「第1楽章は田舎に着いて起こる晴々しい気分の目覚め。第2楽章では小川のほとりで水と戯れる情景が現れ、カッコウの鳴き声が聴こえ、夜が更けていきます。そして第3楽章は踊り、第4楽章は嵐がテーマに奏でられ、第5楽章は牧歌をうたうような、祈りに満ちた音が静かに深く心に入り、素晴らしい静けさで幕を閉じます」とお話は続きました。夏休みコンサートでは残念ながら第1楽章しか演奏演奏されませんでしたが、今回は全5楽章全てをお聴きいただきます!ベートーヴェンが残した唯一の5楽章から成る傑作シンフォニー「田園」をお楽しみください。
後半は「田園」から4年後に完成した交響曲第7番。第1楽章の序奏のあと、大ヒットドラマ“のだめカンタービレ”のオープニング曲にもなった、あの有名なシチリアーナのメロディーが登場!ワーグナーが“舞踏の聖化”と絶賛したように、全楽章にわたってリズムが主導的な役割を果たし、まるでバレエ音楽のように心が踊ります!最後までリズミカルな舞曲がテンポ良く流れ、今や最も身近な交響曲としてクラシックファン以外からも圧倒的な人気を集める第7番。作曲から200年ほど経った今でも私たちの心を愉しさで溢れさせてくれる人気曲が、コバケンマジックでさらに快活でリズミカルに輝きます!
なかなか連続で演奏されることのない「田園」そして第7番。深い信頼関係で結ばれているコバケンさん×大阪フィルの最強タッグで贈るベートーヴェンの世界をどうぞお楽しみに!

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今回、予習的に聴いたCDは下記の2枚です。

 ①第6番:ワルター指揮/コロンビア交響楽団
 ②第7番:クライバー指揮/ウィーン・フィル

まあ今回も夜、PCでブログを見たりしながら、あるいは寝るときにCDを聴いた程度で(汗)、曲が完全に頭の中に入っていませんでした。ですが、あまりCDを聴きすぎてもそちらに影響されてしまいますし、自分が好きな箇所は大体思い出したので、これで良しとせねば。

で、結果的には今回も存分にコンサートを楽しみました!
以下、音楽は学校(小学校~中学校)の授業で習ったのみ・楽器弾けない・楽譜読めない、しかしクラシックは大好き!という人間の非専門的な感想文です。

まずは「田園」です。全体的には参考にしたCDよりもゆったりとしたテンポで、オーボエとフルートをはじめとする木管の音色とホルンの響きが印象的でした。予習で第1楽章・第2楽章は何度か聞いていて両楽章のメロディを楽しみにしていたのですが、実はコンサート前にホール近くのイタリア料理店でとてもリーズナブルなお値段なのに美味しく&ボリュームもたっぷりのランチを頂き、その満腹感もあってかのどかで優美な第1楽章・第2楽章では少し睡魔に襲われてしまいました(反省)。

ですが、両楽章とも好きな箇所----第1楽章(3分くらいからの第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの上昇するような音の掛け合い?)、第2楽章(やはり3分くらいからの弦に支えられたファゴットの歩むような調べ)など----は確認できたので、良かったです。

第3楽章~最後までは連続して演奏。第4楽章の雷雨・嵐の激しさから一転しての第5楽章の穏やかで美しい旋律に心うたれました。ホルンと弦が素晴らしかったです。それにしても、いかめしい顔の肖像画の印象が強いベートーヴェンですが、何て優しく美しいメロディを書いたのでしょうね。演奏後は曲調にふさわしい温かい拍手が沸き起こりました。

休憩後の第7番。眠気もおさまり、こちらも体調十分です(笑)。

<1楽章>
序盤の短い強奏部分で1回、管(? 金管?)の音が少し割れたような気がして一瞬ハッとしたのですが(間違っていたらスミマセン)、以降は素晴らしかったです。フルートとオーボエのペアが安定して実に美しい音色を響かせていたと思います。

<第2楽章>
冒頭のゆったりと密やかに刻むような低音弦→第2ヴァイオリンが(ヴィオラをバックに)加わり→第1ヴァイオリンが加わっていく所がやはり素晴らしかったです。なんという弦の美しさ。絶品でした。

<第3楽章>
期待度対比ではこの楽章が最も面白く、印象に残ったかもしれません。中盤のゆったりとした”ターリラ、ターリラ・・・”の箇所があれほど盛り上がる指揮・演奏になるとは!帰宅してからCDで復習して元々そういうところではあったことは再確認したのですが、音および視覚的に実演での迫力とインパクトが凄かったです(特にコバケンさんとトランペット、ティンパニー)。コバケンさんとオケが共に大見得を切ったという感じでしょうか。

<第4楽章>
前楽章から休みなしで突入。リズミカルな、そしてうねるような音の渦に包み込まれた白熱・怒濤のフィナーレで、やはり圧巻の熱演・凄演でした。ホルンとトランペットが迫力あり、きびきびと、そして迫力ある音を出したティンパニーも素晴らしかったです。弦の身体の揺れが視覚的にも凄かった!激しい身体と腕の動きの反動で(?)一瞬、両足が浮いている方もおられました。

最後は音が消えた途端にホール内が”ブラボー”の声と大拍手の渦に包まれました。やはり曲の性格的に7番の方が圧倒的に盛り上がりましたね。しかし、「田園」の美しいメロディも忘れがたいです。コバケンさんの指揮ぶりはこれまでとほぼ同様で、情熱的で緩急・強弱の差が大きく、また、誠心誠意のオケメンバーの讃え方には心優しい人柄と感謝の気持ちがあふれていたと思います。

恒例のアンコール前の語りでは、「皆さまのおかげで・・・まるでベートーヴェンが姿を現したかのように思えることもありました・・・」といったような話をされたのも印象的でした。実際の言葉はちょっと違っていたかもしれません。

アンコールはこれまた恒例の「ダニー・ボーイ」で、美しく見事な弦の響きでした。もうひとつのタイトルである「ロンドンデリーの歌」という言葉が出てこなかったようで、コンマス氏が助けられたようなのも微笑ましかったです。

延々と続く拍手。コンマス氏との会話の雰囲気からひょっとしてもう一曲アンコールがあるかなと期待しましたが、「もう今日はこれ以上ちょっと無理」といった身振りでお開きとなりました。あの熱演ではそりゃそうですね。しかし、その前にコバケンさんとオケメンバー全員が客席に向かって深々とお辞儀された(2回)だけでなく、ステージ後方の席(ここのことを何というのでしたっけ?)にも全員が深々とお辞儀されたことが実に印象的でした。この日は年配のお客さんが多かったですが、補助席もかなり出る盛況で、コバケンさんと大フィルの熱演に皆さん心がポカポカとして家路につかれたのではないでしょうか。また行かねば!


0マイル ゼロマイル(稲葉なおと)

2011-02-01 22:15:08 | 10:あ行の作家

Zeromile1_30マイル ゼロマイル(稲葉なおと)
小学館文庫
★★★★☆’:80~85点

2年前に単行本で読んだ作品の文庫化です。
美子さんから情報を頂いて早速購入し、通勤時間などを利用して1.5日で一気に読了。やはり面白かったです。表紙も美しいですね。美子さん、情報をありがとうございました。

ちなみに以前の感想はこちら

ストーリーそのものはほぼ覚えていたため、あっという驚きなどはありませんでしたが、単行本で読んだときの記憶が鮮やかによみがえってくると共に、再読ではしみじみとした味わいがありました。「苦くて深い相棒物語」という重松清さんの解説も絶品!

******************************** Amazonより ********************************

父と子のふたり旅が紡ぐ新感覚ロードノベル

かつて新進気鋭の写真家として脚光を浴びた吉川士朗は、出張中に身重の妻が緊急手術をしたことが原因で、長期の旅行を伴う撮影をやめてしまった。日々の仕事に埋没していた折、旧知の編集長から米国フロリダを旅する紀行写真の企画を持ちかけられる。これは「最後のチャンス」かもしれない……。そんな思いを抱きながら、病弱の妻を日本に残して、小学2年生の息子・登士を「助手」として連れていくことになった。

「世界でいちばん美しい道」を息子と一緒に見にいきたい----。マイアミ国際空港から米本土最南端「0(ゼロ)マイルの街」キーウエストを目指してドライブする「ふたり旅」。ホテル内を無断で撮影しようとして警備員に拘束されたり、夜の繁華街で息子が行方不明になったりと、トラブルの連続で思うように仕事ができない士朗は、つい息子にきつくあたってしまう。しかし、些細なことでケンカをしながらも、旅先で様々な人たちとの出会いを経て、「助手」から「相棒」へと、親子の距離も少しずつ変わっていく。そして「世界でいちばん美しい道」の果てで、士朗たちが出会ったのは……!?

父と息子の交流を描いた感涙必至の紀行小説、待望の文庫化。

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巻末に単行本に新たに加筆・改稿したものの文庫化とありましたが、具体的にどの部分かはよく分からずでした。メインのエピソードそのものは増えていないような気もするので、終章の最後の方でしょうか?士朗と登士の会話など?

今回の再読で印象に残った箇所です。
(桃色ヘアのおばさんとの会話のシーン)

   「あなたはもうすでに何人も会ってるでしょ」
   「会ってる?」「誰に?」
   「天使よ」
   「・・・・・・・・」
   「旅するひとは必ずひとりの天使に出会える」
         :
   「私が、もしかしてこのひとがっ、て感じた相手は、そうでなければあり得ない
    と思うほどの感激を私に与えてくれたから。まるであらかじめ台本があった
    んじゃないの、っていうくらいのね。あなたにもあるでしょ。旅先で会った
    見ず知らずのひとに、忘れられないくらい感動的なハプニングや思い出を
    プレゼントされた経験が」

士朗と登士が二人旅で出会った天使は果たして誰だったのだろう。
  ザ・ブレイカーズのビル(総支配人)やスーザン?
  ハリー、アサミ、アイリーンの親子(娘)
  桃色ヘアのおばさん自身
  老警官 ・・・
出会った人同士がお互いに相手にとっての天使だったのかもしれない。

0マイル標示のあった場所が、士朗や読者が想像していたような桟橋の先端といったドラマチックな場所や特別な場所ではなく、何の変哲もないごく普通のありふれた場所だったのは、意外であった一方で味わい深いとも思いました。

重松清さんの解説より

   息子と二人きりの旅・・・・。
   息子を持つ父親であれば、おそらく誰もが胸躍らせるシチュエーションである。
        :
   だが、現実には、世の父親たちの多くが「いつかは俺も・・・・」とほろ酔い
   かげんで繰り返しつつ、結局その「いつか」を逃してしまう。
   だからこそ、ひとは父親と息子の二人旅の物語を求めるのではないか。

うーーーむ、我が家は息子が二人なのですが、4月からは高1と中1になります。少し前までは夏に海水浴や家族旅行を、冬にはスキーなどを楽しみましたが、最近は息子達も部活などで忙しく、父親との旅どころか家族旅行のスケジューリングも困難になってきております(汗)。もう少し小さいときでも父親と息子たちという男同士の旅はしなかったですね。3人で六甲山や箕面の紅葉見物に出かけたりはしましたが、これは旅とはいえないしなあ。

やはり、日常生活から離れた旅らしい旅でこそ、様々な出来事があったりして本書のような感じにもなるのですかねえ。息子達をちらりと見やると・・・・今夜もまた、私や妻に怒られながらもゲーム三昧です。ほぼ毎日、ゲーム、ゲーム、ゲーム・・・・。あ~ぁ。。。かくして、息子たちとの旅の機会を逃してしまうのかな。。。

◎参考ブログ:
  
   えんたかさん(遠藤さん)のブログ