今日は午後から、夫婦でザ・シンフォニーホールへ小林研一郎指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団のコンサートに出かけました。「小林研一郎 炎のタクト!」と銘打たれたおなじみのコンサートで、今回のプログラムはベートーヴェンの交響曲第6番「田園」と交響曲第7番です。
1年前のコンサートでは、①メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲と②ベートーヴェン:交響曲 第3番「英雄」の組み合わせで、特に②の熱演・凄演?にぶっ飛び(そのときの感想はこちら)、昨夏の3大交響曲の夕べでは、①シューベルト:「未完成」、②ベートーヴェン:「運命」、③トヴォルザーク:「新世界より」という超有名な3曲に吹き込まれた新しい生命力に感動したのですが(そのときの感想はこちら)、今回はベートヴェンの交響曲2曲ということで期待感いっぱいです。
全体的にはおだやかで牧歌的な感じの「田園」と”のだめカンタービレ”で一般的にも広く知られるようになった躍動的なリズムが印象的な「7番」をコバケンさんがどのように振るか、そして大フィルがどのように演奏するか興味津々でした。
ちなみに、つい先日、コバケンさん/チェコ・フィルの「英雄」CDがリリースされましたね。
********************* ザ・シンフォニーホールの公演情報より *********************
マエストロ小林×大阪フィルが挑む究極のシンフォニー
ザ・シンフォニー特選コンサートvol.15
小林研一郎 炎のタクト!ベートーヴェン
日本が世界に誇る“炎のマエストロ”=コバケンこと小林研一郎さん。世界中でエネルギッシュな活動を続ける中、大阪フィルハーモニー交響楽団とも数々の名演を残してきました。そして2011年、新たな歴史の1ページにマエストロが選んだのは不滅の楽聖、ベートーヴェンの2つのシンフォニー。「英雄」「運命」「第九」の大曲と並び称される交響曲第6番「田園」、そして第7番。
今年も満員御礼で迎えた夏の定番コンサート『小林研一郎の夏休み・名曲招待席』でも楽しいトークで分かりやすく解説をしてくださった田園交響曲。「ベートーヴェン自身が憧れた大自然を想って作られ、絵画というよりむしろ気分の表現として書かれているんですね。各楽章に標題が付けられていますが、これは歴史上初めてのことです」とベートーヴェンの世界に案内してくださいました。「第1楽章は田舎に着いて起こる晴々しい気分の目覚め。第2楽章では小川のほとりで水と戯れる情景が現れ、カッコウの鳴き声が聴こえ、夜が更けていきます。そして第3楽章は踊り、第4楽章は嵐がテーマに奏でられ、第5楽章は牧歌をうたうような、祈りに満ちた音が静かに深く心に入り、素晴らしい静けさで幕を閉じます」とお話は続きました。夏休みコンサートでは残念ながら第1楽章しか演奏演奏されませんでしたが、今回は全5楽章全てをお聴きいただきます!ベートーヴェンが残した唯一の5楽章から成る傑作シンフォニー「田園」をお楽しみください。
後半は「田園」から4年後に完成した交響曲第7番。第1楽章の序奏のあと、大ヒットドラマ“のだめカンタービレ”のオープニング曲にもなった、あの有名なシチリアーナのメロディーが登場!ワーグナーが“舞踏の聖化”と絶賛したように、全楽章にわたってリズムが主導的な役割を果たし、まるでバレエ音楽のように心が踊ります!最後までリズミカルな舞曲がテンポ良く流れ、今や最も身近な交響曲としてクラシックファン以外からも圧倒的な人気を集める第7番。作曲から200年ほど経った今でも私たちの心を愉しさで溢れさせてくれる人気曲が、コバケンマジックでさらに快活でリズミカルに輝きます!
なかなか連続で演奏されることのない「田園」そして第7番。深い信頼関係で結ばれているコバケンさん×大阪フィルの最強タッグで贈るベートーヴェンの世界をどうぞお楽しみに!
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今回、予習的に聴いたCDは下記の2枚です。
①第6番:ワルター指揮/コロンビア交響楽団
②第7番:クライバー指揮/ウィーン・フィル
まあ今回も夜、PCでブログを見たりしながら、あるいは寝るときにCDを聴いた程度で(汗)、曲が完全に頭の中に入っていませんでした。ですが、あまりCDを聴きすぎてもそちらに影響されてしまいますし、自分が好きな箇所は大体思い出したので、これで良しとせねば。
で、結果的には今回も存分にコンサートを楽しみました!
以下、音楽は学校(小学校~中学校)の授業で習ったのみ・楽器弾けない・楽譜読めない、しかしクラシックは大好き!という人間の非専門的な感想文です。
まずは「田園」です。全体的には参考にしたCDよりもゆったりとしたテンポで、オーボエとフルートをはじめとする木管の音色とホルンの響きが印象的でした。予習で第1楽章・第2楽章は何度か聞いていて両楽章のメロディを楽しみにしていたのですが、実はコンサート前にホール近くのイタリア料理店でとてもリーズナブルなお値段なのに美味しく&ボリュームもたっぷりのランチを頂き、その満腹感もあってかのどかで優美な第1楽章・第2楽章では少し睡魔に襲われてしまいました(反省)。
ですが、両楽章とも好きな箇所----第1楽章(3分くらいからの第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの上昇するような音の掛け合い?)、第2楽章(やはり3分くらいからの弦に支えられたファゴットの歩むような調べ)など----は確認できたので、良かったです。
第3楽章~最後までは連続して演奏。第4楽章の雷雨・嵐の激しさから一転しての第5楽章の穏やかで美しい旋律に心うたれました。ホルンと弦が素晴らしかったです。それにしても、いかめしい顔の肖像画の印象が強いベートーヴェンですが、何て優しく美しいメロディを書いたのでしょうね。演奏後は曲調にふさわしい温かい拍手が沸き起こりました。
休憩後の第7番。眠気もおさまり、こちらも体調十分です(笑)。
<1楽章>
序盤の短い強奏部分で1回、管(? 金管?)の音が少し割れたような気がして一瞬ハッとしたのですが(間違っていたらスミマセン)、以降は素晴らしかったです。フルートとオーボエのペアが安定して実に美しい音色を響かせていたと思います。
<第2楽章>
冒頭のゆったりと密やかに刻むような低音弦→第2ヴァイオリンが(ヴィオラをバックに)加わり→第1ヴァイオリンが加わっていく所がやはり素晴らしかったです。なんという弦の美しさ。絶品でした。
<第3楽章>
期待度対比ではこの楽章が最も面白く、印象に残ったかもしれません。中盤のゆったりとした”ターリラ、ターリラ・・・”の箇所があれほど盛り上がる指揮・演奏になるとは!帰宅してからCDで復習して元々そういうところではあったことは再確認したのですが、音および視覚的に実演での迫力とインパクトが凄かったです(特にコバケンさんとトランペット、ティンパニー)。コバケンさんとオケが共に大見得を切ったという感じでしょうか。
<第4楽章>
前楽章から休みなしで突入。リズミカルな、そしてうねるような音の渦に包み込まれた白熱・怒濤のフィナーレで、やはり圧巻の熱演・凄演でした。ホルンとトランペットが迫力あり、きびきびと、そして迫力ある音を出したティンパニーも素晴らしかったです。弦の身体の揺れが視覚的にも凄かった!激しい身体と腕の動きの反動で(?)一瞬、両足が浮いている方もおられました。
最後は音が消えた途端にホール内が”ブラボー”の声と大拍手の渦に包まれました。やはり曲の性格的に7番の方が圧倒的に盛り上がりましたね。しかし、「田園」の美しいメロディも忘れがたいです。コバケンさんの指揮ぶりはこれまでとほぼ同様で、情熱的で緩急・強弱の差が大きく、また、誠心誠意のオケメンバーの讃え方には心優しい人柄と感謝の気持ちがあふれていたと思います。
恒例のアンコール前の語りでは、「皆さまのおかげで・・・まるでベートーヴェンが姿を現したかのように思えることもありました・・・」といったような話をされたのも印象的でした。実際の言葉はちょっと違っていたかもしれません。
アンコールはこれまた恒例の「ダニー・ボーイ」で、美しく見事な弦の響きでした。もうひとつのタイトルである「ロンドンデリーの歌」という言葉が出てこなかったようで、コンマス氏が助けられたようなのも微笑ましかったです。
延々と続く拍手。コンマス氏との会話の雰囲気からひょっとしてもう一曲アンコールがあるかなと期待しましたが、「もう今日はこれ以上ちょっと無理」といった身振りでお開きとなりました。あの熱演ではそりゃそうですね。しかし、その前にコバケンさんとオケメンバー全員が客席に向かって深々とお辞儀された(2回)だけでなく、ステージ後方の席(ここのことを何というのでしたっけ?)にも全員が深々とお辞儀されたことが実に印象的でした。この日は年配のお客さんが多かったですが、補助席もかなり出る盛況で、コバケンさんと大フィルの熱演に皆さん心がポカポカとして家路につかれたのではないでしょうか。また行かねば!