ひろの東本西走!?

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最初で最後?今年の桜

2009-04-12 10:31:15 | 日記・エッセイ・コラム

大阪市西区の土佐稲荷神社・土佐公園の桜です。先週、出勤前に少しだけ写真を撮りました。ピンクの提灯や赤い鳥居との組み合わせがキレイです。ここの桜は密生しているのが特徴で、日中や夜は花見の人で大にぎわいです。

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そして、全国的に夏のような陽気となった昨日の土曜日、大津京での旧琵琶湖ホテル見学会の前に彦根の町を散策しました。主目的は近代建築探訪だったのですが、国宝・彦根城は桜の名所でもあるようで、お堀端は白や薄ピンク色の桜と樹木の緑、石垣・水面の取り合わせが見事で一幅の絵を見ているようでした。あたりは広々としていて心地よし。

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お堀の向こうに滋賀大学のレトロな講堂が見えています。ロケーション抜群ですね。

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途中で見かけたお寺の紅垂れ桜です。

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ここ数年、いわゆる花見らしい花見(シートなどを広げての飲み食い付き)はしたことがありませんが、やはり美しい桜を見ると春爛漫という気がしますね。大阪から彦根に向かうJRの車中から景色を眺めていると、あちこちで桜が見受けられ、日本人は桜が好きなんだなあと思いました。


飛田・鯛よし「百番」(その2)

2009-04-08 23:39:55 | 近代建築

「百番」の続きです。

写真を見て頂くとわかるのですが、緋毛氈の敷かれた廊下、赤・黒・金の色も鮮やかな贅を尽くした襖絵・欄間などの細部装飾の数々。美しい床の間や付け書院、多彩な天井(格天井あり、花あり、龍あり、船底あり)、中庭&巨石ありと、じっくり見出すと最低でも半日くらいはかかりそう、細部装飾を1つ1つ丹念に見ると、丸1日かかりそう&次から次へと発見がありそうな感じでした。いやはや凄い・・・絶句です。

豪華絢爛で濃密な空間は、太鼓橋を渡ることによって俗世界から別天地(神の世界?非日常的空間?)に身を移して味わえるものだったようです。中庭にはなかなかエロチックな巨石があるのですが、まず巨石を設置し、その後周りに建物を建てていったとのことです。この中庭の風情がまた良い感じでした。

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↓控えの間(?)であった「日光の間」です。日光東照宮を模した「陽明門」、「眠り猫」が我々を出迎え、内部には「天女飛翔図」や「雲竜図」の天井画などがあり、ここだけでも見どころいっぱいです。

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↓「清浄殿」と名付けられた1階のトイレ(男女兼用)です。扉まわりも凄いのですが、このカラフルな内部の天井画にはビックリ!

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2階は小部屋も多数あります。2階の部屋の中では、見事な折り上げ格天井を持つ「由良の間」が圧巻でした。「桃山殿」とはまた異なった趣の贅をこらしたお部屋です。ここも宴会で使えるのでしょうか?次はこの部屋で食事を頂きたいものです。

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ちょっと不思議なテイストの華頭窓ですね。

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百番には、富士山あり、厳島神社あり、日光あり、京都あり、住吉神社(太鼓橋)ありと全国めぐりができるのが面白いです。

絵や彫刻、各種建具の作者などは不明とのことですが、かなり腕の立つ絵師や彫刻師が腕をふるったことは間違いなさそうです。全体的に模倣やパロディなども多くキッチュとも言えますが、ここまで本格的&徹底的だと拍手喝采というか、天晴れです。”日光東照宮そのものが、典型的なキッチュの例”として挙げられたりすることもあるみたいですしね。

「百番」は戦後、色々と改装の手が入ったようです。しかし、畳が波打っていたり明らかに床が傾いていたりと傷みが激しいのは間違いありません。建物や建具の傷みを今後どうやっていくかが大きな課題です。

お店は完全予約制ですが、二名から受け付けOKとのことですので、気軽に利用できます。ただし、お店までの道中はなかなかディープなゾーンを通るので注意が必要ですし、部屋は人数に応じたものとなるはずです。我々は寄せ鍋にしたのですが、お料理は美味しく値段もリーズナブルでした。

それにしても「百番」がこんなに凄く、面白いとは!夢のような時間でした。

なお、キッチュについては、Wikipediaにあった説明文の中で、下記のような個所が「百
番」の魅力にも当てはまると思いました。

  キッチュ(kitsch)とは、美学・芸術学において、一見、俗悪、異様なもの、
  毒々しいもの、下手物などの事物に認められる美的価値である。
  キッチュとは、「見る者」が見たこともない異様なものか、「意外な組み
  合わせ」「ありえない組み合わせ」であろう。もしくは、「見る者」にとって
  異文化に属するものであったり、時代を隔てたりしている必要がある。
  「見る者」の日常性に近すぎると、新鮮味のない、陳腐な存在でしかなく、
  そもそも注意を引くこともない。キッチュの観点から言えば、「普通」で
  あることは、キッチュとしての美的価値が不足していることを意味する。
  また、キッチュは、時間的な隔たりという点では、レトロ、懐古趣味と
  関連していることがある。


飛田・鯛よし「百番」(その1)

2009-04-07 00:10:32 | 近代建築

あいにくの雨模様となった先週の土曜日、飛田・鯛よし「百番」の見学会&懇親会に参加してきました(プライベート企画です)。ご存じのように、「百番」は旧遊郭建築(近代和風建築 大正11年~昭和3年頃竣工か)を料理店として転用されたもので、豪華絢爛で濃密な空間を持つこの建物は現在、登録文化財となっています。

雨の中、あちこちを探訪したあとの17時ちょっと前に現地到着。まずは引率の先生の解説を聞きながら周囲をぐるりと一周しました。南西部は洋館風につくられています。そして、立派な唐破風の玄関からいざ店内へ。

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まずは約40分間、お店の方に1階・2階の各部屋を隅々まで解説つきで案内していただきました。店の中全体が日本全国の風物詩などがテーマとなった物語となっているとのことでした。

「顔見せの間」です。
実際にここに女性が並んだことはなく、モノクロ顔写真が並べられていたようです。

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今回、我々が宴席として使わせて頂いたのは「百番」で最も大きく華麗な「桃山殿」でした(その他の部屋の写真は(その2)で紹介予定です)。「桃山殿」は「牡丹の間」「鳳凰の間」「紫苑殿」の3部屋からなり、写真集「飛田百番」で事前に部屋の写真は見ていたのですが、まさか「桃山殿」で食事を頂けるとは!大感激です。そして「桃山殿」に入ってみると、そこにはめくるめくような世界が広がっていました。

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上:「牡丹の間」より「鳳凰の間」(手前)と「紫苑殿」(奥)を望む。
中:「紫苑殿」より「鳳凰の間」(手前)と「牡丹の間」(奥)を望む。
下:「牡丹の間」板戸障子の女性像(遊女像?)。
  かなり立て付けが悪くなっているとのことでした。

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上:「紫苑殿」ガラス障子上部の透かし彫り。デザインは菊ですかね。
中-1:「牡丹の間」ガラス障子上部の透かし彫り。
中-2:「牡丹の間」の格天井。植物のオンパレードです。
下:「鳳凰の間」ガラス障子上部の透かし彫り。

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「紫苑殿」と「鳳凰の間」のふすま絵を望む。一番手前は御所車、見事です。
下部の破れなどかなり傷みが激しいです。宴席として利用しているので、ある程度の傷みは致し方なしでしょうか。そのお陰で私たちも拝見できるのですから。ただ、利用に際しては細心の注意が必要ですね。

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「牡丹の間」の床の間天井(だったかな?)。

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あまりにも見どころが多すぎて、写真を撮りだすときりがなかったです。写真の美しさは写真集と比べると全然もの足りません(当然ですね)。ですが、実際に部屋の中に身を置き、実物を目の前で見ると、そのボリューム感(全体的にもっと広いと思いこんでいたら、コンパクトな空間に見どころがギュッと凝縮されていました)や色合い・質感、傷みの度合いなどもしっかと自分の目で確かめることができて良かったです。後からふり返ってみると、もっともっと写真を撮りたかった気もしますが、それなら写真集を眺めていれば良いのだから、この空間で過ごす時間を大事にすべきなのでしょう。この濃密な空間での宴席はお料理も美味しく、話が弾んで超盛り上がりでした。

以下、その2に続きます。