今年度栄えある(?)最初の読了本は、第4回「このミステリーがすごい」大賞受賞作の「チーム・バチスタの栄光」です。私は文庫本で読んだのですが、ほぼ一気読みの面白さでした。
実はこの本、話題になった&今もまた話題になっているのは知っていたのですが、自分が先に知った(但し、byTV)「医龍」で盛んに”バチスタ手術”という言葉が出てきたため、てっきりその2番煎じみたいな作品だろうと思い込んでいました。また、最近は「このミス」も買わなくなったので、この本が発売当時にどれほど評判を呼んだのか知りませんでした。正月に実家に帰った際に母が面白かったと薦めてくれて読んだのですが、これが大正解。舞台は殆どが病院内で、しかも事件は手術室で連続する。ある種の密室殺人とも言える極上のミステリーで、もっと早く読むべき作品でした。
あらすじ等は下記のAmazonからの転記を見て頂くとして、下巻から登場してきた”ロジカル・モンスター(論理怪獣)”白鳥という破天荒キャラが傑作でした。頭が切れてめちゃくちゃ口が立つキャラに私はあさのあつこさんの「バッテリー」で凄い存在感を示した瑞垣を思い出しました----私は奥田作品の伊良部氏を知らないので・・・。人を喰ったような専門用語を駆使する分、白鳥の方が上かな?
そして、嫌々ながら彼とタッグを組むことになる田口も味わいあり。本人も気づいていなかった人間性というか人柄や潜在能力が次第に鮮明になっていくのも良かったです。この主人公二人をはじめとして人物がきちんと描けている、描き分けられているのがまず素晴らしい。度量が大きい高階病院長と対外的なことばかり気にする実力者の黒崎教授。”神の手”を持つ外科医・桐生と”神の目(?)”を持つ義弟・鳴海。天才的な新人看護師・野村とベテラン看護師・大友。講師の垣谷と助手の酒井の確執----技量に差はないが、度量に差あり。手術ではサポートに徹する麻酔医・氷室と人工心肺担当の臨床工学士・羽場。彼らの組み合わせと対比も素晴らしい。そして、田口を密かに支える超ベテランの嘱託看護師・藤原の存在が印象的でした。白鳥・田口コンビに加えて、旧友というか同志的な関係かとも思われる高階・藤原コンビが面白く、また、高階と田口のちょっとへんてこな師弟関係も絶妙な味わいでした。
ページの殆どが関係者への聞き取り調査や白鳥と田口の会話で構成される。かの名作映画「十二人の怒れる男」を思わせる雰囲気もありました。田口の聞き取り調査(これはパッシヴ・フェーズに該当by白鳥)がメインとなる比較的静かな上巻。白鳥の登場でアクティヴ・フェーズに入り大きく動き出す下巻。この対比も見事でした。病院に潜む悪魔の正体は!?犯罪に手を染めてしまった理由も何となくうなずけるのですが、悪魔はどうなっていくのか!?こ、怖い。。。いやはや海堂さん、凄いです。
ラストの会話はほのぼのとした感じがあって後味も良かったですが、笑いをまぶしつつも、もうちょっとシリアス路線で突っ走る手もあったかなとも思いました。でも、それは作品の評価には関係無しです。
◎参考ブログ:
エビノートさんの”まったり読書日記”
ざれこさんの”本を読む女。改訂版”
そらさんの”日だまりで読書”
***************************** Amazonより **********************************
東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一を臓器制御外科助教授として招聘した。彼が構築した外科チームは、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門の、通称“チーム・バチスタ”として、成功率100%を誇り、その勇名を轟かせている。ところが、3例立て続けに術中死が発生。原因不明の術中死と、メディアの注目を集める手術が重なる事態に危機感を抱いた病院長・高階は、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口公平に内部調査を依頼しようと動いていた。壊滅寸前の大学病院の現状。医療現場の危機的状況。そしてチーム・バチスタ・メンバーの相克と因縁。医療過誤か、殺人か。遺体は何を語るのか…。栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
東城大学医学部付属病院で発生した連続術中死の原因を探るため、”チーム・バチスタ”のスタッフに聞き取り調査を行なっていた田口。行き詰まりかけた調査は、高階病院長の差配でやってきた厚生労働省の役人・白鳥により、思わぬ展開を見せる。とんでもない行動で現場をかき回す白鳥だったが、人々の見えなかった一面が次第に明らかになり始め……。果たして医療過誤死なのか、殺人か? ”ロジカル・モンスター”白鳥の推理が冴えわたる。医療小説に「メディカル・エンターテインメント」という新たなジャンルを切り拓いた傑作。
「かまへん」と「かめへん」はどちらが正統派(?)の大阪弁か分かりませんけどね。
「ごめんなあ」
「かめへん、かめへん」 てなノリです。
「かめへんで~」かぁ。うんうん、さんまとか、テレビで聞く大阪弁もそうかもしれない。なんか文字にすると、「噛めへん!」みたいだけどね(*^_^*)
昨日まで、宮古弁バリバリの小説を読んでました。
ので、ちょっといろんな言葉がおもしろくなってる私(*^_^*)
>全然かまへんで~!(で、大阪弁、合ってる?^^)
えー、ほぼ完璧ですが、私が言うときは「全然か”め”へんで~!」のように、”ま”→”め”になります。構わない→かまわない→かまえへん から ”かまへん”となるか”かめへん”となるかの違いですかね。
「とんでも医者」の伊良部先生にもぜひお会いしたいですね。
全然かまへんで~!(で、大阪弁、合ってる?^^)
私が読んだのは随分前だもの(*^_^*)
私、この本、一昨年に新刊で出たときに買ったの。珍しいでしょ?
「伊良部一郎を越えた変人キャラ」という謳い文句につられたのでした。
ハチャメチャ度は、伊良部先生のほうがずっと上です。
機会があったら、ぜひ「とんでも医者」の伊良部先生にも会ってやってくださいな♪
こんばんは!
用語などで多少難しさはありましたが、それを吹き飛ばす面白さだったと思います。登場人物&ストーリーともに申し分なしでした。映画も楽しみです。でも、田口先生が竹内結子か・・・。
こんばんは!
そらさんがブログで書かれた感想、見逃していました。すみません!
登場人物がすべてクセがあるというか、なかなかのキャラ揃いでそれが面白かったです。題材も非常に興味深く、ミステリー&エンタテインメント小説としてのレベルが高いと思っていますので、シリーズの続編もぜひ読みたいと思います。
医学用語がたくさん登場すると難しいと感じちゃうんですけど、
この作品では全く気にならずに最後まで楽しく読むことが出来ました。
登場人物の魅力とか、ストーリーの面白さで惹きこまれてしまいました。
田口も白鳥も、院長も看護師藤原も、すごくクセのある人物で、この作品がデビュー作って、すごいなぁと感心してしまったことを覚えてます。
興味深い題材でもあることだしね。
この後、シリーズで作品が出ているけれど、
どの作品も、海堂さんの現場の医師としてのスタンスが色濃く反映されている…そんな印象があるかなぁ。
そういう意味でも、ちょっとほかにない小説であるような気がします♪