小林研一郎 炎のタクト!~メンデルスゾーン&ブラームス~
先週の土曜日(3/1)、約5ケ月ぶりのクラシック・コンサートでザ・シンフォニーホールに行ってきました。今回はコバケンさん(小林研一郎さん)と大フィルで、プログラムは下記です。
①メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲(vn松田理奈)
②ブラームス 交響曲第1番
これまでにコバケンさんと大フィルで聴いたコンサートの感想記事はこれらです。
英雄ほか(2009年)
三大交響曲(2010年)
ベートーヴェン6番&7番(2011年)
ドヴォルザーク8番(2011年)
コバケンさんでブラームスを聴くのは初めて、メンコンは2回目です。
私は最初、このプログラムはちょっと変わった組み合わせかなとも思ったのですが、結果的にはなかなか良いプログラムでした。
①は爽やかな演奏&仕上がり、②はど迫力&怒濤の演奏&指揮で、好対照でした。例えば1曲目がブラームスのヴァイオリン協奏曲やピアノ協奏曲だったりすると、ちょっとヘビー過ぎて疲れてしまったかもしれません。
大阪でもコバケンさんの人気は凄まじく、補助席が多数セットされ、私は分からなかったのですが立ち見の方もおられたそうです。
全体としての感想は、プログラム・指揮・演奏(オケ&ソロ)全て良かったと思います。
この日の席は1階のM-8(ステージに向かって左寄り)で、最近は好んで2階席を取ることが多い私としては久々の1階席でした。
さて①のコンチェルトです。松田理奈さん(美しく可憐な感じの方)の演奏を聴くのは初めてでした。観客席の方に身体を向けて弾かれるシーンも多く、時折遠くの方を見つめるような表情やアップの運弓(というのでしょうか?)で、伸び上がるようにして弾ききっての決めポーズが印象的でした。
良く知られたメロディの第1楽章とコミカルな感じの第3楽章が良かったです。クラリネットトップのちょっとコミカルな音色やヴァイオリンソロとのやりとりなどもgood!コバケンさんはオケの音量を抑えめにして、松田さんとのアイコンタクトも多く、よくソリストをサポートされていたと思います。
松田さんは爽やかさの中にも力強さが感じられる演奏でしたね。席にもよるでしょうが、わたくし的には音量も良いと思いました。演奏直後にはブラヴァの声が飛び交い、コバケンさんが松田さんの肩を抱いて熱演を讃えておられました。
大拍手の中、コバケンさんにうながされるようにして演奏されたアンコール曲は、クライスラーのテンポ・ディ・メヌエットでした。この曲は全く知らず(汗)。第1楽章でのカデンツァと合わせて、超満員ながらも静まりかえったホールに響き渡るヴァイオリンの音色が素晴らしかったです。なお、松田さんは後半のブラームスは客席で聴かれたそうです。
そして後半の②ブラームスです。
ティンパニーの音が響き渡る冒頭からかなりのスローテンポだったでしょうか。まあこれは予想通り。弦も1Vnの後ろの方まで音をきっちりと刻んだ、しっかりとした大きい音色が印象的でした。コバケンさんの両腕に磁石がついていて、その磁力に引き付けられて演奏しているようなイメージでした。
第2楽章もゆっくりで、コンマス・田野倉さんのソロ、ホルンとのかけあいなどが見事。
第3楽章~第4楽章は連続しての演奏で、期待していた大好きな第4楽章に突入。第1主題(?)のホルンソロはゆったりとした朗々&堂々の演奏で、音のふくらませ方も見事でした。後方のトランペットの方がニコニコして聴いておられたようなのも印象的でした。続いてフルートトップも素晴らしい音色がよく響いて&伸びていました。このあたりはトップ奏者の実力をいかんなく発揮といったところでしょうか。そして、これまた大好き&有名な第2主題(?)の旋律を奏でる弦も良し!こちらも嬉しくなってしまいますね。
コバケンさんの指揮はコンチェルトでのサポートとは一変して、身体を前傾させ、膝を折り曲げた中腰のような姿勢が多く、迫力十分のドライブです。時おり唸り声も聞こえたようです。それに応えるかのようにコンマス・田野倉さんも力演で、何度か座席から腰を浮かして立ち上がるようなシーンもありました。そして、白熱のフィナーレで場内は興奮の渦に巻き込まれました。
場内からはブラボーの声が凄く、大拍手が続きます。丁寧に順にオケをねぎらうコバケンさん。特にコンマス、ホルン・フルート・オーボエ・クラリネットの各トップ、ティンパニーの力演を讃えられたときは聴衆からの拍手も一段と大きくなったように思いました。
アンコールはやはりブラームスのハンガリー舞曲第5番で、これも緩急の差が大きく凄い盛り上がりでした。この曲は超有名ですし、盛り上がって当然かもしれませんが、やはりこの日のアンコールピースにふさわしかったと思いますし、嬉しかったです。聴衆も大満足でコバケンさんは何度もステージに引っ張り出されましたが、最後は全員が深々とお辞儀して白熱のコンサートは終わりを告げました。いやあ、良かったです。
今回、ブラームスでは楽章間の緩急の差が大きく凄い迫力だったのですが、以前聴いたベートーヴェンの「英雄」で感じた超個性的演奏といったものではなく、正統派の力演・熱演といった感じでした。弦を中心としたオケとの一体感も素晴らしく見事でした。でも、もうちょっと怪演(?)を聴きたかったような気も少しします(笑)。
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