2つの生糸検査所を見学した後、時間のある人はお隣の新港貿易会館へ。新港貿易会館(旧新港相互館)はS5(1930)年の竣工で、設計は新港相互館となっています。この建物はこのあたりでは、いや神戸では私の最も好きな建物の一つです。内部も見どころいっぱいなのですが、外観は見る角度によって表情がどん変わっていく面白さがあります。全体としては港まち神戸によく見られる船をイメージさせるデザインで、ただ、ある所からはスリムに見えたり、またある所からはずんぐりとした感じに見えたりします。スクラッチタイルなどの素材、丸窓にアーチ窓、コーナー部のアール、張り出した軒や庇・・・etc.垂直線と水平線のどちらも強調しながら、全体としてのまとまりも失っていません。遠くから全景を眺めても良し、近くから見上げても良し。眺めれば眺めるほど味の出る建築です。
1年前にもここの記事をアップしましたが、再登場です。似たような写真&文章が多いこと、ご容赦ください。何せ大好きな建物なもので。
なお、今回の写真も先日撮ったものと2004年に撮ったものが混在しています。昔、銀塩カメラで撮ったものも含めると、ここだけで7~8回探訪&写真撮影をしているかもしれません(汗)。
今回、生糸検査所の屋上から新港貿易会館を眺めると、正面・最上部の高くなったところは看板建築的な薄皮一枚(?)であることがとてもよく分かりました。しかし、この部分を一段高くしたことは外観上にすごい変化を与えていますね。
上の2枚は2004年(上)、2010年(下)です。私はこのあたりの角度から見た姿が一番好きです。かつてMeets Regional の表紙(?)で使われた写真もこれに近い角度で、カッコイイ!と思った記憶があります。近年、外壁を洗浄されたのか、スクラッチタイルの色がどうも薄くなったというか明るくなったような気がします(気がするだけかもですが)。個人的にはやや古びた感じのする2004年の方が好みかなあ。また、(下)の写真では軒と庇の出が描き出す陰影が外観に変化を与えて凄いインパクトがあります。ここは太陽が高い時間帯の方が写真的には面白いようです。
生糸検査所と並んだ姿は素晴らしいです。また、すぐ近くには神戸税関もありますし、この景観はいつまでも残してほしいものです。
正面玄関の方から眺めると、意外とずんぐりむっくりで、更に側面に回ると、今度は船とその舳先あるいは艦橋(ブリッジ)のようにも見えてきます。いやー、面白いです。
◎参考ブログ:
sunshine-worksさんの”近代建築Watch”
内部については、以前にもアップしていますが、続きでアップするかもです。