「武漢発『ウイルスとの戦争』、勝者は中国という皮肉」を批判する


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「武漢発『ウイルスとの戦争』、勝者は中国という皮肉」を批判する
JBpress(日本ビジネスプレス)に「武漢発『ウイルスとの戦争』、勝者は中国という皮肉」という評論が載った。書いたのは近藤大介氏である。
 近藤大介氏は1965年生まれの55歳である。1996年に北京大学留学。2008年から明治大学国際日本学部講師として、東アジア論の授業を受け持っている。2017年から「週刊現代」特別編集委員に昇進し、中国を中心とした東アジア問題の取材・研究を継続している。
 近藤氏は「武漢発『ウイルスとの戦争』、勝者は中国という皮肉」で世界ナンバー1のアメリカとナンバー2の中国がガチンコ勝負をすれば、アメリカが勝つが、逆に今回の「コロナ・ショック」のような危機が起こると、中国の方がアメリカよりも、ある意味「強い」と指摘している。
 「強い」理由は第一に、中国はアメリカと比較すると、アメリカ人の資産は、株価暴落などによって大幅に目減りするが中国経済の「総量」はアメリカの3分の2しかないため、目減りする量もアメリカよりも少ない。中国はアメリカより「持ち物」が少ないからだという。「総量」が少ない方が勝つというなら、中国より「総量」が少ない三位以下の日本などのすべての国は中国よりも強いということになる。強いか否かは目減りの量の多い少ないで判断できるものではない。ばからしい勝ち負けの決め方である。貿易なら中国が黒字である。ということは中国が強いということになる。設定の仕方で中国が強かったり米国が強かったりするのであり「総量」の目減りの量で「強さ」を考えるのはアホらしい。
 強者は中国という根拠を目減りの量という理屈だけの評論なら馬鹿々々しくて批判する気にならなかった。近藤氏は中国が強い米国より強い第二の根拠に中国が社会主義であることを上げている。社会主義の実態を理解していないから中国が強いなどと間違った評論を展開するのである。これは批判しないわけにはいかない。

第二に、社会主義の強みである。中国の基幹産業は、IT企業を除けば、多くが国有企業である。民営企業であっても、大口の取引先が政府機関や国有企業だったりして、国に寄りかかっている企業が多い。そもそも大半の銀行や金融機関が、国有企業である。民営企業がバタバタ倒産していくのは、米中同様だとしても、中国には巨大な国有企業群が残ることになる。
  「武漢発『ウイルスとの戦争』、勝者は中国という皮肉」
 近藤氏は中国には巨大な国有企業群が残るから経済は強固であると思い込んでいる。強大な社会主義国家ソ連が崩壊したのは1992年である。近藤氏が27歳の時である。27歳ならソ連が社会主義国家であることを知っていたはずである。なぜソ連が崩壊したのか。同じ社会主義国家であるのにソ連は崩壊したのに中国は崩壊しなかった。崩壊しないどころかどんどん発展していった。近藤氏はその原因を知らないのだろうか。ソ連と中国の違いはなんなのか。違いが分かれば「中国には巨大な国営企業が残ることになる」と言えないはずである。
ソ連が崩壊した根本的な原因はソ連には民間企業はなくすべてが国有企業だったからである。国有企業は経営に優れた資本家が経営しないで、経営に不得手な官僚が経営するから発展しない。赤字経営に陥っていく。中国も国有企業だけであったらソ連と同じ運命をたどっていただろう。中国がソ連のように崩壊しなかったのは鄧小平が日本、アメリカと中国の経済格差に大きなショックをを受け、日本、米国式の市場経済を導入し、外国資本を受け入れたからである。外国資本の進出なしには中国の経済発展はなかった。27歳の時にソ連崩壊を体験し、日本、米国、EU企業が中国に進出することによって中国が経済発展していったこと見てきたはずなのに、中国が経済第二位になれたのは外国企業のおかげてあることを知らないのである。社会主義国家の国有企業は全然貢献しないことを知らないのである。国有企業は経済発展に貢献していないどころか莫大な赤字を政府が補填しているのである。トランプ大統領が中国政府が国有企業に莫大な補助をしていることにもかみついた。そもそも企業は利益を上げ、税金を国に納めて国民生活に貢献するものである。国民の税金で補助してもらう企業は企業として失格である。赤字企業は倒産させて、黒字企業だけを存在させる。それがアメリカ流である。赤字を国民の税金で補助されることによって生き延びている国有企業は社会主義国家の強みではなく弱みである。外資民営企業は大口の取引先が政府機関や国有企業ではない。輸出関連の生産が中心である。政府機関や国有企業取引先にしても大した稼ぎにはならない。稼ぎになるのは米国やEUなどの経済大国を取引先にする民間企業だ。

近藤氏はニューヨーク株式市場が大暴落したことを取り上げ、株の大暴落のために、一時は、強力なアメリカ経済の後押しを受けて、大統領選で「再選確実」と言われていたトランプ大統領であるが五里霧中になってきたと述べ、現時点では劣勢が伝えられている「社会主義者」と見られている民主党のバーニー・サンダース候補が、大統領になってしまうかもしれないなどとホラを吹いている。
 近藤氏の無知には苦笑してしまう。米国は資本主義社会である。誰が大統領になろうが米国が社会主義社会になることはない。大統領に社会主義政治家がなったとしても株の暴落を押さえることはできないし、それにバーデン氏は社会主義政治家ではない。民主社会主義政治家である。社会主義政治家であるならば米国の議会制民主主義を認めないだろう。
民主党候補指名争いで、民主社会主義者を自称するサンダース上院議員への支持は広がっていない。バイデン氏への穏健・保守層の支持の厚さが目立つ。サンダース候補が大統領になってしまうかもしれないなんて妄想である。
 大統領が誰になろうとコロナウィルスによる経済悪化は変わらない。
 バイデン氏は、トランプ氏の入国禁止措置が偏見に基づいており逆効果だと指摘し、「私は専門家の意見を聴き、それに従う。米国の指導力を再構築し、各国と脅威に立ち向かう」と違いを強調したが、専門家の支持に従えばアメリカ経済が好調になるというものではない。コロナウィルスの治療薬が製造されない限り経済悪化を防ぐことはできない。アメリカ大統領の課題は経済悪化をどれだけ抑えることができるかである。入国禁止措置では株価が暴落したが。トランプ政権が新型コロナウイルス感染拡大に伴う景気対策を発表すると大幅上昇した。コロナウイルスは経済にとって最悪な存在である。

 中国では13日に新たに感染したのは11人である。うち7人はイタリアなどの外国からの入国者であり、中国本土内で感染したのはたった4人である。4人は湖北省武漢市で確認された。中国はコロナウィルスの封じ込めに成功していると言える。近藤氏は封じ込めができたのは中國が社会主義国家だからという。確かに社会主義国家だから封じ込めに成功したが、感染者の累計では8万824である。こんなに増えた原因も中国が社会主義国家だからである。中国が議会制民主主義国家であったなら日本のように感染をもっと抑えることができたかもしれない。そうすればコロナウイルスが世界に広がることはなかったかもしれない。

 中国を単純に社会主義、共産党一党独裁であるというだけではコロナウィルスの急激な拡大と短期間の封じ込めは説明できない。中国が官僚独裁であることを理解すれば説明することができる。中国の権力は人民解放軍の軍部から公務員官僚に移った。つまり公務員幹部の官僚が政権を直接握っているのが中国社会である。。
 
コロナウイルスの流行の中心となった武漢市で働いていた李医師は、昨年12月、SARSに似ているウイルスによる7つの症例に気が付いた。SARSは、2003年の世界的エピデミック(伝染病)を引き起こしたウイルスだ。李医師はチャットグループに入っている同僚の複数の医師に対し、アウトブレイクが起きていると警告するメッセージを送信した。そして、防護服を着用して感染を防ぐようアドバイスした。
4日後、中国公安省の職員が李医師の元を訪れ、書簡に署名するよう求めた。その書簡は、李医師を「社会の秩序を著しく乱す」「虚偽の発言をした」として告発する内容だった。李医師は中国公安省の「我々は厳粛に警告する。頑なに無礼な振る舞いを続けたり、こうした違法行為を続けるのであれば、あなたは裁かれることになるだろう。わかったか?」の書簡に李医師は「はい、わかりました」とサインさせられた。警察は李医師の他に、7人の医師も「うわさを拡散」したとして捜査を行い、李医師と同じように口封じをした。

日本ではこのような弾圧は起こらないだろう。日本なら上に報告した時に上が口封じしようとしたら政治家やマスコミに訴えることができる。そうすれば公になるから口封じをすることはできない。日本は国民主権国家であり政治家は国民の選挙で選ばれる。国民を危険に陥れるようウィルスの情報を口封じしようとしていたことがばれてしまえば政治生命は終わる。政治家は李医師の情報を尊重してウイルス感染対策をするだろう。マスコミも大々的に報道する。それが議会制民主主義国家の日本である。

中国は国民主権ではない。官僚主権である。だから政治家は選挙で選ぶことはない。公務員の幹部が政治を行う。中国は共産党一党独裁だから共産党の政治が中国全土の隅々まで浸透していると思うのは間違いである。中央政府の大方針は浸透するだろうがそれ以外は地方に任せる。地方で大きなトラブルが発生したら中央政府が乗り出してくる。地方は地方の共産党に加入している公務員そして幹部の官僚が政治を行う。
李医師がアウトブレイクが起きると予測した時に予測段階であって李医師の判断が正しいか正しくないかははっきりとは分からない状態であった。もし、大騒ぎになったら中央政府に知られるかも知れない。もし李医師の予測が間違っていたら中央から処分される恐れがある。だから武漢市の幹部たちは李医師たちの騒ぎを押さえたのでぁる。公務員が政治権力を握れば仕事は無難にこなし、処分されないことを優先するのである。無難にこなしたい公務員幹部だから李医師たちの動きを封じたのである。しかし、コロナウイルス感染はどんどん増えた。コロナ感染が表ざたになると乗り出したのが中央政府である。習近平総書記(国家主席)は、
「直接の責任者だけではなく、主要な指導者の責任も問う」
と断言した。そして習主席の断言した通り、武漢市の当局幹部ら620人を問責処分し、衛生当局幹部337人も処分し、指導的な立場にあった6人の幹部を免職した。処分されないようにしたことが逆に大量処分されたのである。
湖北省のトップ、蒋超良書記(62)と武漢市のトップ、馬国強書記(56)更迭して入れかえた。湖北省トップの書記に就任する応勇氏は習主席につながる人脈の1人である。
コロナウイルス感染者が増大したのは公務員が政治権力を握っている官僚主義社会だからである。国民主権の日本だったら武漢市のように急激に感染者が増えることはなかっただろう。
中国でコロナウイルス患者が急激に増大した原因は中国が官僚主義の社会主義、共産党一党独裁国家だからである。

新型コロナウイルスの感染が拡大した中国は、経済的なダメージを覚悟しながら移動制限や隔離措置など強力な対策を取った。議会制民主主義の日本なら人権違反、憲法違反のためにできないことも中国政府はできた。コロナウイルス封じ込めするために移動制限、隔離処置を徹底してやり感染者を一桁台にしたのだ。16日の国内感染者は新型コロナの発生源とされる湖北省武漢市で確認された1人にとどまった。公務員主権の官僚主義国家中国だからこそ実現したのである。議会制民主主義の日本ではできないことである。

コロナ感染者の増大も封じ込めも共産党一党独裁国家中国だから現実となった。近藤大介氏は封じ込めに成功したから中国の勝利と言っているが、封じ込めに成功したことを勝利というなら詰まらないことであるがそう思うなら思えばいい。思うのは自由だから。しかし、中国は国営企業があるから民間企業はつぶれても経済面で大丈夫と思うのは間違いである。
外資企業の高度な生産力と国際貿易によって中国経済は世界二位の地位に立っているのである。年間4215億ドル(約46兆4000億円)という莫大な黒字の米国との貿易が中国経済を支えている。それに米国よりも大きいEUとの貿易も中国経済を支えている。コロナウイルスによって米国、EUの経済が悪化すると中国の輸出はがた落ちして中国経済も悪化する。悪化したら中国の外国企業は中国から引き上げるだろう。ますます中国経済は悪化する。
経済はグローバルである。中国だけがコロナウイルス感染を封じ込めたとしても世界の感染者が増大し続ければ中国経済が復興するのは困難である。貿易を遮断し一国だけですべての商品を生産して消費する社会を作れば経済は縮小し衰退するだけである。外国とグローバルな関係を進め貿易を拡大していくことが中国経済を発展させることにつながる。世界の交流は進みグローバル世界になっていることを教えたのが皮肉なことにコロナウイルスである。
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