河を渡ろう

黄金の色が河の面
面は金になる

まぶしい夕日

ミホ、時間が止まったぞ
今なら河を渡れる
黄金の河面を渡れる

行こう

オレはミホの手を引っ張る

バカね

河は河
夕日の光りが河面の色を変えただけ

河はH2O
どのような色を呈しても
河は水
渡ることは不可能よ

あなたはバカねえ
見掛けを信じるなんて

そうじゃないそうじゃない


河は黄金の真っ最中

オレとミホが河に足を触れる瞬間まで
河は黄金なのだ

なぜミホは
その真実を知らないのだ
事実と真実は異なるもの
事実の集積の先に真実なんてありはしない
事実の路の果てに真実なんてありはしない

真実は虚ろを信じる心の中にある
真実は見掛けに希望する向こう側にある

真実に触れた瞬間に絶望する

だから
ミホよ
黄金の河を渡ろう

あなたはバカよ
笑いながら
オレの真実を拒否するミホ

そんなミホを
オレは
殺したくなる

オレは河原を下る
下る
下る
絶望に触れる瞬間に向かって
下る
下る
下る
今 オレは
真実の瞬間を生きている

幸せなのか
不幸なのか

ミホよ
バイバイ



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