私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

ホワイト・ヘルメット

2022-05-06 19:04:17 | 日記・エッセイ・コラム

 ディープラーニングというコンピューターの技術語があります。人間の幼児の脳が猫と犬を正しく見分けることが出来るようになるまでには沢山の猫と犬のイメージを脳の中に取り込む必要があり、このプロセスからヒントを得て出発したのがディープラーニングという学習のプログラミングの概念のようです。人間が、或いは、他の動物も、どうやって物事の判断をしているか、大変興味のある話題です。私は、いささかふざけて、ロングタイムラーニング(longtime learning)という言葉を造って、ここで使いたいと思います。

 ホワイト・ヘルメットという人間集団があります。ウィキペディアを見ると、「これは中立の立派なグループだ」という米欧側と「これは偽装したテロ集団だ」というシリア/ロシア側との意見の対立がありますが、ノーベル平和賞受賞の可能性もある立派な集団だという見方が米欧では主流のようです。

 私のホワイト・ヘルメット観察(ウォッチ)はかれこれ10年以上続いています。有名なドゥーマでの化学兵器使用事件(2013年4月)よりも前からです。つまり、ロンググタイムラーニングです。ホワイト・ヘルメットに関する最初の記憶は、ドゥーマでの事件以前に、国際テロ集団IS(イスラム国家)のオフィスと並んでホワイト・ヘルメットのオフィスが写っている写真を見たことでした。それ以来、ホワイト・ヘルメットについての私のロングタイムラーニングは続いています。2016年10月5日付で『白いヘルメット』と題するブログ記事を書きました:

https://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/0879d5718d4c0634f9ea2005b17dade6

それ以後もホワイト・ヘルメットについての私の学習は続いていますが、今では、シリア/ロシア側の見解が正しいという確信に達しています。ホワイト・ヘルメットは実に邪悪な人間集団です。ウクライナ戦争で「ロシアが毒ガスを使った」という芝居の演出を、シリアから移動して来たホワイト・ヘルメットが実行するのではないかと、ロシアはしきりに心配しています:

https://syria360.wordpress.com/2022/04/13/zakharova-white-helmets-terrorists-participate-in-organizing-provocations-in-ukraine/

ホワイト・ヘルメット関連の記事は無数にありますが、目についた幾つかを挙げておきます;

https://news.yahoo.co.jp/byline/aoyamahiroyuki/20180430-00084671

https://blog.goo.ne.jp/aya-fs710/e/d0bc7dd079a6e8675b7241bc88f24d70

https://www.meij.or.jp/kawara/2018_039.html

http://j.people.com.cn/n3/2021/1118/c94474-9921528.html

https://libya360.wordpress.com/2022/04/03/reichstag-fires-white-helmets-and-russian-savages/

ドゥーマに対して行われたサリン毒ガス攻撃がシリア政府ではなく反政府勢力側によって行われたことを詳細に立証確立したとする、56頁に及ぶ手の込んだ調査報告書もあります:

https://rootclaim-media.s3.amazonaws.com/syria2013evidence.pdf

この事件は、1931年、関東軍によって行われた偽旗作戦「柳条湖事件」より悪質です。

 2018年2月8日付のブログ記事R2PというFAKEで、私はその時点までにシリア国民が被った大いなる苦難について語りました。この記事に、海坊主さんと櫻井元さんから、内容の濃いい貴重なコメントを頂きました。海坊主さんは、この世界が、今、進んでいる方向について、櫻井元さんはホワイト・ヘルメットについて論じておられます:

https://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/360b42f3044bff43b461c821cd7297b7#comment-list

出来れば、これらのコメントを再読してくださるようお願いします。

藤永茂(2022年5月6日)


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
シリアクルド・ロバジャ革命に関して教えていただきたい事があります(米帝との関係など) (戸田ひさよし)
2022-05-26 13:38:08
私はパレスチナ断固支持の反帝左翼で、中東問題に40年くらい関心を寄せているものです。(戸田ツイッター:https://twitter.com/dx0e7uvmI8dXeFY
藤永先生のブログでクルド/ロバジャ革命の内容を知ってその素晴らしさ、斬新さに感銘を受け、大いに共鳴しました。イラククルドとシリアクルドの政治内容の違いも知りました。
●ベカー高原が「世界の反帝武装闘争勢力の聖地」だった時代に、そこにクルド勢力も来ていた事も別途知っていました。
▲しかしシリアクルド勢力が米軍と「ある種の共闘」をする形になっている事をどのように理解すればよいのか、という疑問があります。「凶悪で強大なトルコ軍」(及びダーイッシュ)から自己をを防衛するにはとりあえず米軍を利用せざるを得ないのかもしれませんが、クルド革命勢力自身はどのように認識しているのでしょうか?
「民族国家を目指さず、シリア内の(革命的な)自治共同体となる事を目指す」方針の下に「複雑な外交」を重ねている途上である、と理解すればよいでしょうか?
 イラククルドの主流が米帝・
イスラエルと結託関係にあるのはともかく、シリアクルドまでもがそのような勢力だと単純に決めつけられるのは、極めて残念に思うのです。
ご回答は急ぎません。先生のお手すきの時で結構ですから、何かご教示いただければ幸いです。
2022年5/26 (木)戸田ひさよし 拝
(重信房子氏の20年半満期出所の2日前に)
返信する
戸田ひさよし様 (藤永茂)
2022-05-27 19:40:56
困った事に、クルド人は、反トルコ、親トルコ、親アメリカに分裂しているような様相を呈しています。私はこの状況を大変心配して見守っているところです。そのうちに、現在考えていることをまとめてみたいと思っていますが、中東問題については、むしろ、教えていただく事の方が多いと思います。宜しくお願い致します。
返信する

コメントを投稿