私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

リビアとハイチで何が見えるか(5)

2011-06-29 10:41:02 | 日記・エッセイ・コラム
 カダフィが兵士たちにバイアグラを与えて反政府の女性たちの集団レイプを行なわせたというニュースを米国国連大使スーザン・ライスが国連で公式に取り上げたことをガーディアン紙が報じたのは4月29日でした。スーザン・ライスがあまりにも汚らわしく思えて、取り上げる気にもなりませんでしたが、6月8日になって国際刑事裁判所(ICC)の主席検事ルイス・モレノ‐オカンポが同じ罪状に加えてカダフィ自身もレイプを実行した疑いでカダフィを告訴したことを知って、もはや黙過できなくなりました。無法国家アメリカの暴虐もここに極まったと言わなければなりません。
 1990年の第1次湾岸戦争へ米国世論を駆り立てた事件として、米国下院の委員会で15歳のクエイト人女性がイラク軍兵士の野蛮行為の証言をしたことがありました。ボランティアの看護婦だった彼女は、サダム・フセインの兵士たちが産院に乱入して、保育器をひっくり返して赤ん坊たちを床に落として殺してしまうのを目撃したと証言したのです。ところが、後で、これは大変なヤラセであり、その女性は当時ワシントン在住のクエイト大使の娘でワシントンを離れたこともなかったことが明るみに出てしまいました。
 去る3月26日、リビアの首都トリポリの最高級ホテル「リクソス」のダイニング・ホールに一人の若いリビア人女性が飛び込んで来て、リビア政府の警備要員たちが二日間にわたって彼女を集団レイプしたとホテルの客たちに訴えました。このホテルには、リビア政府の指令で集団的に多数の外国人記者が宿泊していました。彼女の名はEman el?Obeida、3月28日のFT.com (Financial Times) には彼女の写真と詳しい話が出ています。また、心理学者Seham Sergewa博士なる人物が出てきて、レイプの犠牲者140人のインタビューを行なったと言い、これが最も具体的な証拠になっているのですが、アムネスティ・インタナショナルの女性要員が犠牲者に会わせてくれと言っても「もう何処にいるのか分からないから、無理だ」との返事しかしないようです。これら二人の女性たちもクエイト大使の娘さんのように誰かに頼まれての偽証言者である疑いが濃厚だと思われます。実は、カダフィのバイアグラ事件の方も、それが捏造されたものであることが、複数の国際人権団体によって、すでに示されているのです。
  アメリカの歴史には、これに類似のでっち上げ事件が幾らも記録されています。本格的なアメリカ史の本であれば、たとえそれが保守的な学者によるものでも、そうした事例を探すことができますが、リビアのレイプ事件についての論文、Japan Focus: The Asia-Pacific Journalの“Rape in Libya”の中にも幾つか言及してあります。
 しかし、私にとって、リビアについてのもっと重要な事件が国連内で起っていました。日本にも国連関係の専門家がいくらもおいででしょうから、そうした方々による信頼の置ける解説があれば真に有難いのですが、見当たらないようなので、素人の手探りでお話をします。国連人権理事会(UNHRC, UN Human Rights Council)という国際機構があります。周期的に加盟各国の人権状況について調査や討議を行なって報告書を作成するのがその役目の一つです。2010年6月にアルゼンチン、ノールウエイ、セネガルの三国からの委員がリビア(正式には、リビア・アラブ人民共和国、Libyan Arab Jamahiriya)の人権状況の調査を主導し、何回かの会合のあと11月初めに報告書を採択しました。この2011年1月4日付けの23頁の国連人権理事会報告書はネット上で入手出来ます。内容は、報告書作成までの事の次第とリビアの現状に対する多数の国からの評価と今後の人権状況改善に向けての勧告の列記から成り立っています。日本の発言は、まず教育と保健の面での成果を認める一方、拷問を禁じることを勧告しています。イスラエルやアメリカの意地の悪い評価を除けば、殆どの国からの評価は暖かいトーンのものです。
 ところがその直後の2月15日、リビアの東部の都市ベンガジで反政府反乱が起り、内戦が始まりました。米欧とイスラエルは直ちに反乱軍の支持を表明し、そのあおりを食らって、この国連人権理事会報告書は国連総会で採択されなかったどころか、リビアは国連人権理事会からも除名されてしまいました。私がこの注目すべき報告書に行き着いたのは、3月はじめに出たニューヨーク・タイムズの記事を通してでした。それは『Libya’s Late, Great Rights Record』(リビアのお蔵になった偉大なる人権報告書)という意地の悪いタイトルの記事です。私にとってはいささか吐き気を催す文章なので訳出しませんが、書き出しの所を写しておきますから、興味のある方はお読み下さい。:

#Until Col. Muammar el-Qaddafi’s violent suppression of unrest in recent weeks, the United Nations Human Rights Council was kind in its judgment of Libya. In January, it produced a draft report on the country that reads like an international roll call of fulsome praise, when not delicately suggesting improvements. Evidently, within the 47-nation council, some pots are loath to call kettles black, at least until events force their hand. Last week Libya was suspended from the body, and the report was shelved. Here are excerpts. TOM KUNTZ #

ここで、“an international roll call of fulsome praise”とは“むかつくような称賛の国際点呼”と訳せます。
 この記事に似た、しかしもっと毒性の強い記事が UN Watch というサイトにも出ていました。『Hall of Shame: Un Human Rights Council to adopt praising Gaddafi Regime』というものです。Gaddafi Regime は「カダフィ政権」です。UN Watch というNGO 組織はイスラエルに不利な行動を国連が取らないように監視しているアメリカのユダヤ人団体です。イスラエルが国連人権理事会(UNHRC)を目の敵にするのには十分の理由があります。
 2008年12月28日から2009年1月18日にかけてイスラエル軍がガザ地区に激しい武力攻撃を行い、パレスチナ側死者約1400人、負傷者約5500人、イスラエル側死者13人を出しました。パレスチナ人1万5千人が自宅を失って難民化し、国連が用意したキャンプに収容されました。2009年10月16日、元国連戦争犯罪検察官リチャード・ゴールドストーンが作成した「ガザ紛争」についての報告書を支持する決議が国連人権理事会で採択されました。イスラエル軍の行動を戦争犯罪と極め付けた内容で、47の理事国中、賛成25、米国、イスラエルなど反対6、16カ国棄権、その中に日本が入っていました。2010年5月31日、ガザ地区に向かっていた国際支援船をイスラエル軍が襲撃してトルコ人9人が殺されました。2010年9月22日、国連人権理事会の調査委員会は「人権法や国際人道法にたいする重大な違反」があったと結論を下しました。そこに持ってきて、今回のカダフィのリビア称賛の報告書です。カダフィつぶしの決定をしたばかりのアメリカの堪忍袋の緒が切れたというわけです。もっとも、この表現は正確ではありません。ブッシュ前政権はほぼ完全に国連人権理事会の外に立っていたのですが、オバマ大統領は例の偽善者ぶりを発揮して国連人権理事会への復帰を2009年3月に宣言したばかりだったのです。
 これだけすべてのことが政治化して来ると、リビアについての国連人権理事会報告書もどこまで信じてよいのか、迷わざるをえません。今のリビアの問題が、いわゆるアラブの春、北アフリカの春とは、ほとんど完全に別の問題であるという私の勘は間違ってはいないと今も信じていますが、カダフィの下でのリビアの人々がどのような生活状態にあったのかという、ごく簡単な問いの答を見つけることが大変困難であるということは、情報というものに関して現世界が如何に病的な状況下に置かれているかを示しています。
 私が今知りたいと思っていることは実に簡単なことです。カダフィに好意的な人々から度々聞こえて来る声があります。典型的な一例を掲げます。:

#As despots go, he's not all bad. Under his 1999 Decision No. 111, all Libyans get free healthcare, education, training, rehabilitation, housing assistance, disability and old-age benefits, interest-free state loans, subsidies to study abroad and for couples when they marry, and practically free gasoline. Moreover, Libya's hospitals and private clinics are some of the region's best.(暴君ということでは、彼(カダフィ)はましなほうだ。彼の1999年の決定事項111番の下で、すべてのリビア人は無料で、保健医療、教育、職業訓練、リハビリが受けられ、住宅補助、障害と老年給付金、無利子国家貸付金、海外留学助成、結婚奨励金、そして、事実上ただのガソリンが得られる。その上、リビアの病院と私的なクリニックは近隣国中一番のレベルだ。)#
話が良すぎてこのまま鵜呑みは出来ませんが、米欧のマスメディアが描くリビアとはあまりにかけ離れ過ぎています。どのあたりに真相が横たわっているのか、われわれ市井の人間におよその真実を探る手だては果たしてあるのか。こうした問題を次回には論じてみたいと思います。

藤永 茂 (2011年6月29日)


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リビアとハイチで何が見えるか(4)

2011-06-22 09:51:54 | 日記・エッセイ・コラム
 2004年12月26日、インドネシアスマトラ島西方沖を震源とするM.9.0 の大地震が発生し、インドのすぐ南にある大きな島国スリランカでも死者行方不明者3万数千人、全壊家屋約9万、避難民約80万の犠牲を出しました。スリランカ政府は地震津波災害以前から、その経済的苦境を脱する方法として、USAID、IMF, 世界銀行、つまり、アメリカの強い働きかけのもとで、大災害の前年の2003年に、公営事業の私営化や富裕外国人目当てのレジャー観光産業振興のプログラムを作成したのですが、中下層国民から激しく反対されて実施が阻まれていたのでした。ところが、天災というべきか天恵というべきか、高級リゾートホテルの建設に最適の海浜地帯を占めていた貧乏漁師や農民の住居が、地震と津波のおかげで、一挙にクリーンアップされてしまいました。国外からのスリランカ救済の大波に便乗して、米欧系のライフライン産業や観光産業が再開発事業に乗り込んで来たのは勿論です。地元ではこれを「第二の津波」と呼んだとも伝えられています。救済事業にたずさわった多くの大型NGOがスリランカ被災者の直接的救済に貢献したことに否定の余地はありませんが、夜は高級なホテルのプールサイドで優雅にリラックスするNGO要員たちの現地でのライフスタイルが、もともと貧しいスリランカ人たちの反感を煽ったのも事実です。国際的NGOに雇われて働いていたスリランカ人17人が惨殺される事件が起ってから紛争が続き、多くの救済NGOが国外に去りました。
 同じくインドの南方、スリランカの西南のインド洋洋上に広がるモルディブ(Maldive)共和国ではもっと露骨なことが起りました。ウィキペディアによると、モルディブは「島々の花輪」を意味し、26の環礁と約1200の島々からなり、約200の島に人が住んでいます。クラインの本によると、その100程の島は贅沢なリゾート・アイランドで世界トップレベルのエリート達のお気に入りの場所のようです。人口は40万人、今度の津波で82人が死亡しました。
 モルディブ政府は、津波災害以前から、将来予期される海面上昇を理由に、低海抜の島々の住民にもっと海抜の高い五つの大きな島々(“安全な島”)への移転を要請していましたが、住民の抵抗に会って移住は進んでいませんでした。そこへ今度の津波です。離島要請を受けていた多くの島が被害を受けた機会を捉えて、政府は“安全な島”への罹災民の移住を強制したのですが、驚いたことに、人払いをした“安全でない”島々で高級リゾートの開発が国外観光資本によって開始されました。要するに、津波以前から観光開発を目的に島民の排除を試みていたのが、大災害のお蔭で事が一挙に有利に進んだというわけです。アメリカ国内での典型的な例はハリケーン・カトリーナに襲われた(2005年8月末)ニューオーリンズ市です。ここで何が起ったかを憶えている人も多いことでしょう。
 話をハイチに戻します。大震災後1年を機に復興の余りの遅延について、米英のマスメディアの幾つかがUSAIDや救済NGOの批判を行なう一方で、ビル・クリントンの偉大な貢献を讃える記事も流されました。ハイチの経済発展計画については、以前に二度もこのブログで書きましたように、大震災の直前にUNを通しての提案があり、その主要点はハイチの低賃金労働力をフルに活用してアメリカのアパレル産業を大々的に現地で振興するというものでした。そこへ今度の大震災、スリランカやモルディブとよく似ています。ハイチの失業貧困人口が急増したことは,アメリカ企業にとって又とない好機なのです。奴隷的な低賃金で労働力が手に入ります。これは機会を改めて報告したいと思っていますが、ハイチでは一日(一時間ではありません)数百円払えばよいのですから、アパレル産業にとっては笑いが止まりません。世界市場での競争力とそれに基づく企業利潤があがるのは当然です。ハイチの場合に特徴的なのは、震災後、ハイチ政府官僚の腐敗を理由に、援助資金がUSAIDやUN、それに前回とりあげたIHRCによって全面的にコントロールされ、それがクリントンの主宰するNGO(CGIやClinton-Bush Fund)を始めとする一万をこえるNGOに渡されて、本来はハイチ政府が救援資金を仕切るべきところが「NGO共和国」を通して救援復興事業が実施されていることです。繊維衣料産業の工業団地の建設に先だって、高級観光ホテル、リゾート施設の整備建設は着々と進んでいるようです。例えば、クリントン-ブッシュ・ファンドが二百万ドルを出資したオアシス・ホテルは世界銀行グループのprivate sector である International Finance Corporation (IFC) が建設を進め、建設段階で400人の現地人雇用を生み出しており、完成後も200人の雇用が見込まれていると宣伝されています。
 私の見るところ、前米国大統領ビル・クリントンのハイチ支配力は絶大で、アメリカとハイチの支配階級の人々の間では、手の込んだインチキ選挙を苦労して行なうより、いっその事、クリントンをハイチの大統領に選出したらよかったのにという意見が、冗談や皮肉ではなく、本気で表明されていました。アメリカの完全な操り人形“スイート・ミッキー”・マーテリーをハイチ大統領の座に据えた、そのインチキ選挙については、その赤裸々な真相がアメリカ最古の権威ある週刊誌『ネーション』(2011年6月)に出ました。今まで何度もこの選挙について私が書いてきた事に大きな訂正は必要ありません。『ネーション』は1865年の創刊で、一貫して進歩的立場を保ってきましたが、バラク・オバマ支持の姿勢を変えず、そのため急進的な人々からの信用を失いつつあるようにみえますが、無責任な記事は掲載しない筈です。
 私はハイチに群がるNGOの本質の第一近似は Disaster Industry だと言いました。こうしたNGOに対してAid Industry という言葉は以前から使われています。しかし、私は、災害産業という言葉にもっと広い一般的な意味を込めたいのです。何を資金源として活動しているかが問題です。ハイチの場合を具体的に考えましょう。13000を数えるNGOは公的資金、私的資金の両方を吸い込んで生きています。公的資金は世界各国からの公的義援金ですが、これは各国の国民から集めた税金からの支出です。私的資金は世界各国からの個人または団体からの寄付金ですが、そのすべてが純粋な善意のお金とは言い切れません。一例をあげれば、Denis O’Brienというアイルランド人の億万長者からクリントンのNGOへの巨額の寄付金です。この人物はカリブ海周辺の携帯電話業界の大物で彼の狙いが何処にあるかは明白です。少なくともハイチとコンゴに関する限り、NGOがローカル・ポリティクスに深くかかわっている場合が少なくないのです。
 本年1月11日、英国のBBCラジオでEdward Stourton という人が『ハイチとNGOについての真実』という放送をしました。数十億ドルの義援金を受けながらハイチの救援復興が進まないのはNGOの活動の乱脈さにあるという趣旨でした。その一部分を抜粋します。:

# Critics say foreign aid groups were out of control ? that they failed to coordinate and were therefore ineffective; that they swamped some areas leaving others untouched. One NGO evaluation described a ‘wild west ‘ situation. ・・・・・・・Is what has happened in Haiti symptomatic of a wider crisis of humanitarianism? #
(批判者たちは国外からの救援グループは手に負えなくなってしまったと言う--彼らは連携協調に失敗したため役に立たなくなった;彼らはある分野に殺到し群がって他の分野はまるで未着手のままだ。NGO評価の一つはそれを‘西部の無法地帯’の状況だとして描いた。・・・・・・ ハイチで起ってしまったことは人道主義的行動原理のもっと広汎な危機の兆候ではないのか?)

昔の面影はなく、今は体制側の代弁機関と成り果てたかに見えるBBCさえが、米欧の人道主義の偽善と欺瞞について語らざるを得なくなっています。ここで再び、リビアに戻りましょう。リビア国民をその独裁者による大虐殺から守ってあげるという人道主義的名目の下に、米欧の武力介入が臆面もなく強行されているリビアに戻りましょう。

藤永 茂 (2011年6月22日)


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リビアとハイチで何が見えるか(3)

2011-06-15 11:06:32 | 日記・エッセイ・コラム
 ハイチ大震災による死者数や震災から17ヶ月たった現在のホームレス人口などの統計数字が、突如、驚くほど大幅に縮小されました。この裏にある政治的経済的計算については、やがて別に論じたいと思いますが、ここで注目すべきは、変わらない数字があることです。ハイチの復興に携わっているNGO の数が1万を超えているという事実です。13,000 という数字がしきりに伝えられています。大変な数とは思いませんか?
 報道のほとんどすべてが偏向している現在、われわれ庶民にとって、動かせない事実を掬い上げる一つの方法があります。それは体制側の報道機関(簡単に言えばマスコミのほぼすべて)のニュースまたは論説さえがしぶしぶ事実として認める事柄を探すことです。これから書くことはSalt Lake Tribune, Washington Post, New York Times, BBCなどをソースにしています。
 上記の新しいハイチ災害統計数字は前回紹介した米国の独立政府機関USAIDが民間の調査請負会社に委託して得られたものですが、年間予算180億ドルの強力なUSAIDそのものが、ハイチにおける運営の杜撰さを責められています。2010年度の対ハイチ予算は約10億ドル、世界各国からの義援金ですでに集まった分が約20億ドル、さらにアメリカ民間人からの寄付が約20億ドルにのぼるというのに、災害からほぼ一年半経った今も、瓦礫の除去はせいぜい2割程度しか進まず、新しい数字を取るにしても、少なくとも数万人が未だに悲惨なホームレス生活を続けています。屋根のある収容施設に収容されているのではありません。
 これには幾つかの理由があるようですが、多数の被災した貧困層の人々が救われていないという事実が、彼らの福祉のためにお金が使われていないということを端的に意味していることは動かぬところで、別様の解釈の余地はありません。米国の下院の外交小委員会でユタ出身の共和党議員Chaffetz がUSAIDの長官Rajiv Shah を厳しく追及論難していたのは、USAIDのハイチでの援助資金の使途に透明性がなく、USAIDの支配力が大きく及ぶと考えられる一万をこえるNGOの活動に対する統制が殆ど全く取れずに野放し状態にあるということです。これは大マスメディアで何度か目にした数字ですが、USAIDなどを通じてアメリカ政府がハイチ復興の事業契約向けに支出した100ドルの内の98ドルはアメリカの会社が受け取っているそうです。ハイチ復興資金の大部分がアメリカの会社の懐にはいるという事実は大変興味深く注目に値します。東日本大震災の場合には、国外からの民間義援金も外国政府からの援助金(こちらは国民の税金です)も、日本政府、あるいは地方自治体の管理のもとで復興事業の出費に充てられている筈です。しかし、現在のハイチではハイチ政府はまるで無力で、復興資金の運用に関しては“蚊帳の外”にあります。大震災後はもちろん、この数年間、ハイチはほぼ完全にアメリカ政府のコントロール下にあり、復興についても、IHRC( Interim Haiti Recovery Commission, 暫定ハイチ復興委員会) なるものを立ち上げて、その委員長(Presidents)としてハイチ政府の首相とビル・クリントンが任命されています。アメリカの国務省の公式声明には、
#The Interim Haichi Recovery Commission (IHRC) is the planning body for the Haitian recovery. To ensure that the reconstruction is Haitian-led, the U. S. Government coordinates all its recovery assistance through the IHRC.
(IHRC はハイチ復興計画組織である。その復興が ハイチ人主導であることを確実にするために、合衆国政府はそのすべての復興援助をIHRC経由で調整する)#
と、復興事業がハイチ人主導で行なわれることが強調されているのですが、ワシントン・ポスト(2011年2月1日)には、
#The 12 Haitian members of the IHRC sent its co-chairman Bill Clinton a letter in December protesting that they were “completely disconnected” from the decision- making process that helps shape how more than $4 billion in recovery aid is spent.
(IHRCの12のハイチ人委員は去る12月に共同委員長ビル・クリントンに手紙を送り、彼らが、40億ドルを超える復興援助の使い方の施策決定プロセスから“完全に閉め出されている”ことを抗議した。)#
とありました。何かにつけてアメリカ政府支持のワシントン・ポストがこう言うのですから事実に間違いありません。
 ハイチ復興の最大の問題はビル・クリントンです。彼は大統領時代からアメリカによるハイチの支配に深く関わって来ましたが、大震災直後、義援金の受け皿として Clinton Bush Haiti Fund というNGOをつくり、二人で災害現地に乗り込んで被災者と握手して回りました。大統領をやめて直ぐにクリントンはWilliam J. Clinton Foundation(クリントン財団)という大掛かりなNGOを設立し、その枠内でまたClinton Global Initiativeという組織をつくってハイチ義援金を集めて復興事業に参与していますが、公職としてはIHRCの委員長となり、これに加えて、国連のハイチ特使にも任命されています。したがって、UNを通しての復興援助資金も掌握していることになります。
 ところが、一方では、大小1万を超えるNGOが参画しているハイチ復興事業の成果が遅々として上がらず、義援金の使途は勿論、活動状況が乱脈でコントロールが取れていないことに対する批判の声がマスメディアからも聞こえて来ます。先述のソルト・レーク・トリビューンの記事もその一例です。義援金がハイチ政府に渡されず、したがって実際の復興事業が無数のNGOの手に任されています。この状態を「ハイチはNGO Republic(NGO共和国)だ」とクリントン自身が呼んだことは周知の事実です。
 いったいハイチや世界の災害地域にすぐ乗り込んでくるNGO とは何でしょうか? 何もかもが偏向している現代世界で公正中立な情報や研究報告を求める方が愚かかもしれませんが、ハイチのみならず、世界的な視野に立ったNGO論を、誰か適当な方に、是非ともお願いしたいものです。人口比にして最多のNGOがハイチに群がるのは、ハイチの被災住民たちを救いたいという熱意に燃える人々が圧倒的な数にのぼることを示しているとは、私には、どうしても考えられません。“人のためになることをする満足感を味わえて、しかも結構よい収益収入もある”ということの方が本当の理由ではありますまいか。
 ネット上で得られるNGOのハイチでの活動状況について反体制派ジャーナリズムが提供している情報には信じられないような事柄もあります。YouTubeはその生々しいイメージを提供しています。屍に群がる禿鷹そのものです。それらが偏向したモンタージュであるのは十分考えられることです。パソコンに齧りつく以外に方途のない私のような市井の民には、保守と進歩を選ばず、可能な限り幅広い情報源をあさり歩いて、自分の勘を研ぎすまして真実を掬い上げること以外に選択肢はありません。
 物理学ではよく第一近似という考えを使います。ある物理量なり現象の本質を理解しようと試みる場合、一番おもだった量なり性格なりを押さえて第一近似と呼ぶのです。真実に近づくためには第二、第三と補正を加えなければなりません。私は、大災害の地に集まってくるNGOを、第一近似として、「災害産業」の一種として理解しようと思います。「被災者を救おうという熱意」は第二次の補正項と考えます。東日本大震災では第一近似と補正項の順が逆転している可能性が充分あります。
 災害産業とは、英語で言えば、Disaster Industry, これはNaomi KleinのDisaster Capitalismを真似た私の造語です。ナオミ・クラインの『The Shock Doctrine, The Rise of Disaster Capitalism 』(2007年)は彼女の前著『NO LOGO』と同じく彼女らしい着眼点の卓抜さが素晴らしく、その故に、「大災害資本主義」という言葉が一般的用語として通用されるようになっています。軽卒の咎めを受けることを承知で極端に要約すれば、戦乱を含めた大災害につけ込んで資本主義的利益をあげる国や人たちがあるということです。私はフィンケルシュタインの「ホロコースト産業」という造語からもヒントを得て、「災害産業」という言葉を使ってみます。そして、次回には、クラインの『ショック主義、大災害資本主義の台頭』に頼りながら、NGOの本質は災害産業の一形態であるという私の捉え方を説明します。
 蛇足ですが、念のため繰り返します。:前にも論じたUSAID(United States Agency for International Development, アメリカ国際開発庁、ユー・エス・エー・アイ・ディー)は米国の独立政府機関で、これを字面からアメリカの援助団体などと取り違えないで下さい。アメリカの政治的、経済的、外交的施策を担っている政府機関で、NGOsにも強い支配力を持っています。

藤永 茂 (2011年6月15日)


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リビアとハイチで何が見えるか(2)

2011-06-08 11:25:04 | 日記・エッセイ・コラム
 5月23日の昼、ハイチの首都ポルトプランスに隣接するデルマ(Delmas)市の震災被害難民キャンプに事前通告なしに警官隊を伴った市の代行業者が踏み込み、そこに住んでいた数百人のテント、防水布、生活用具のすべてを除去破壊しました。住民たちの行く先については全く手配がなく、彼らは雨期の始まりの時に、文字通り、露天に放り出されてしまったのです。働ける大人たちは出稼ぎに、あるいは、職を求めて不在で、残っていた者たちが抵抗すると警棒で打ちのめされました。写真では市中の公園だった場所のように見えます。
市長は今後も公有地、私有地を問わず、不法居住者は強制排除し、補償はしないと言明しています。デルマ地区は地震による破壊が最もひどかった所のようです。25日にも他の2カ所で強制排除作業が暴力的に行なわれましたが、作業員たちは米国の悪名高い私立の警備保障会社 Risks Incorporated が訓練した現地人であることが分かっています。
 この信じ難い暴虐行為に対して、米国下院の数人の黒人議員が声明を出して米国政府に然るべき対応を要請しました。その声明文は次のように結ばれています。

#There must be an accelerated effort to remove the rubble and repair livable buildings and build permanent shelter. As representatives who have historically supported the advancement and prosperity of Haiti and its Diaspora, it is our hope that President Martelly, the United States and the international community are aware of these forced evictions and are taking adequate steps to address this issue.#
(瓦礫を除去し、居住可能の建物を補修し、耐久性のある住宅を建設する努力を加速させなければならない。これまで歴史的にハイチと国外に離散したハイチ人の福祉向上と繁栄を支持してきた米国会議員として、マーテリー大統領、アメリカ合衆国、国際社会がこれらの強制追い立てを認識して、この問題に対処する適切な処置を取っていることを期待する。)

マーテリー大統領とは、前大統領プレバルに代わって、5月14日、ハイチの大統領の座についた人物です。この男については2011年4月20日のブログ『最悪の男がハイチの大統領になる』で書きましたが、その後に得た情報から判断すれば、アメリカ政府によるこの男の選択は、他国とその国民一般の安全を損なう点において、アメリカ外交史上にも稀にみる暴挙であり、スキャンダルであります。この下劣極まる悪漢の過去現在と、完全な偽装選挙でこの男をハイチの大統領の座に据えたアメリカ政府の画策の一部始終は、求める気さえあれば、私のような市井の人間でも知ることが出来ます。パブリック・ドメインの知識として入手可能です。嘘と思ったらご自分で試して下さい。外務省もNHKも勿論知っています。ただ言わないだけです。マーテリーが如何に下劣で恐るべきならず者かを肌で納得したい人は、まずYouTubeを覗いてみて下さい。この男が、shit とか fuck とかにあたる言葉を用いて、ハイチ最大の民衆政党ファンミ・ラバラ(Fanmi Lavaras)とアリスティドを罵るところを見ることが出来ます。
 ハイチについてアメリカ政府が画策しているのは、一言でいえば、デュバリエ体制の復活再構築です。5月14日に450万ドル(米)の豪勢なマーテリー大統領の就任祝賀式には、前米国大統領クリントン、米国大使、米国特使、などに加えて、ホンデュラスの独裁者ポルフィリオ・ロボ、それにハイチの前独裁者ジャン-クロード・デュバリエ(Jean-Claude Duvalier)も招待出席していました。ハイチの過去をご存知の方、このブログのハイチ関係記事を読んで下さった方には、デュバリエが就任祝賀の場にいたことが何を意味するか、クリントンを始めとする米国有力者と同席したことが何をシグナルしているか、すぐお分かりの事と思います。デュバリエ父子の恐怖独裁時代には彼らの秘密警察暴力団トントン・マクートが6万人以上のハイチ人を殺しました。マーテリー新大統領は、かつて、その熱心な団員で彼自身が手を下して殺人や拷問を行なったことが知られています。ホンデュラスのロボは、米国主導のクーデターで大統領セラヤを国外追放して政権を奪取した後、今日までに数千人のホンデュラス市民を殺しています。国内の少数者の富と権力と獲得と保持のために自国民を殺して省みないデュバリエ、マーテリー、ロボのような輩を子飼いにしておいて、カダフィの暴力からリビヤ人を守るために人道主義的軍事介入の義務があるなどと宣う資格は米国には絶対にありません。
 この数日、アメリカ政府が民間機関に委託して得たハイチの震災被害について新しい統計数字を発表するというニュースがしきりと流されています。BBC やNY Timesから数字を取ってみます。死者数については、震災のすぐ後 ハイチ政府の推測では316,000, 数週間後には230,000 となっていましたが、新しい調査に基づく数は46,000 から85,000 です。難民キャンプの人口は、当初150万とUN は推定していましたが、アメリカ政府が発表する予定の新しい報告では895,000、現在も元の住所に戻れないのは375,000、今もキャンプで住んでいる人の数は最大で66,620 となっています。これはUN 筋の推定数600,000 より一桁小さくなっています。いろいろ食い違いが大きすぎるので慎重に検討中とアメリカ政府関係者は言っています。実際のキャンプ住民の数、つまり、ホームレスの数が極端に小さく見積もられた裏の理由については、私なりの憶測がありますが,機会があればお話しします。
 これだけ劇的に被害の規模見積もりが縮小されると、全世界から集められた、あるいは、これから入ってくる予定の救済資金の使い方についても問題が生じます。最近、この問題をめぐって、ハイチにおけるUSAID(United States Agency for International Development, アメリカ国際開発庁、ユー・エス・エー・アイ・ディー)という米国の独立政府機関が米国会下院で復興資金の使途についてつるし上げされています。次回に。

藤永 茂 (2011年6月8日)


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リビアとハイチで何が見えるか(1)

2011-06-01 09:45:48 | 日記・エッセイ・コラム
 フランスのドービルで開催された主要国(G8)首脳会議の宣言(5月27日)の中に次の宣言事項(要旨、西日本新聞2011年5月28日)があります。

「△平和と安全。
1. リビア政府軍が市民への武力行使を即時停止するように求める。カダフィ大佐は退陣しなければならない。政権移行に向けた国民評議会のロードマップを歓迎。」

ところで、ニューヨークで発行されている「BLACK STAR NEWS」という調査報道新聞があります。その5月28日付けの社説は次のように始まっています。:

#African leaders don't know a potential history changing moment even when it's dangling in front of their eyes---Libya.
If African leaders were able to rally and repudiate NATO's merciless and destructive bombardment of Libya and forcing it to halt, so that the African Union (AU) peace plan can be implemented it would represent the greatest victory in the history of the entire continent against Western military incursion.#
(アフリカの首脳たちは、歴史を変えうるチャンスが、彼らの目の前にぶら下がっているのに--つまりリビア、それが分かっていない。もし、アフリカの首脳たちが一致してリビアに対するNATOの仮借なき破壊的爆撃を弾劾してそれをやめさせ、アフリカ連合(AU)の平和プランを実行に移すことが出来れば、それは西欧の軍事侵略に反抗するアフリカ大陸全体の歴史における最大の勝利となるであろう。)

 リビアで起っていることに就いての上の二つの言明の驚くべき違いに我々はしっかりと想いを沈めなければなりません。カダフィという独裁者から個人的にひどい損害を受けた人々は別にして、他のアフリカ黒人は、たとえ自分たちが西欧側につくことで利益を受けることを意識している場合でも、リビア問題がリビア人を暴君から救出する問題ではなく、欧米がアフリカをどうしようとしているかの問題として捉えていることは、まず間違いがありません。欧米は自分たちの利益のために動いているのであって、凶暴な独裁者からリビアの人々を守ってあげる人道的義務がある (the white man’s burden!) というのは全くの嘘っぱちです。それが政治というもの、国際政治というものだというならば、私にはもう何も言うことがありません。
 4月30日(土)、NATO空軍機はリビアの首都トリポリの住宅地区の中にあるカダフィ一族の屋敷一帯に強烈なミサイル攻撃を加えました。ドイツで勉学中のカダフィの一番若い息子(29歳)が帰国していて、カダフィとその妻や近親の家族が集まって夕食を共にしたと思われますが、食後にミサイルが撃ち込まれ、その息子と6歳以下の子供3人が殺されました。2発のミサイルが爆発した時、お爺さんカダフィとその妻は屋敷内にある家畜小屋に行っていて助かったようです。翌5月1日(日)夜には、パキスタンのアボタバードでオサマ・ビン・ラディンが殺されました。アメリカはカダフィとビンラディンの同時抹殺という派手なdouble bill (二本立て興行)を狙ったのだという噂が流れたのも無理はありません。カダフィの息子と3人の孫が死んだというニュースはビンラディンを仕留めたというセンセーショナルなニュースの影に隠れてしまったのでしたが、事件の意義--いわゆる真相ではありません--を見定めるには複数の観測点を必要とします。
 その一つは英国のBBC NEWS AFRICA (2011年5月1日)の『Nato strike ‘Kills Saif al-Arab Gaddafi’, Libya says.』という長いニュース記事です。全体のトーンを読み取ることが肝心ですので出来れば全文に接して頂きたいのですが、以下では要点だけを報告します。NATOは軍事的目標(カダフィの統括指令本部建物)を爆撃したのであって個人を狙ったものではないという声明を出し、英国のキャメロン首相も、
"It is about preventing a loss of civilian life by targeting Gaddafi's war-making machine, so that is obviously tanks and guns, rocket launchers, but also command and control,"
とBBCに語りました。記事の調子を読み取ることが肝要だと申しましたが、少し拾ってみます。この記事の中にもありますが、実は、リビア側は爆撃の数時間後に現場を外国記者団に公開したので、その実写ムービーも含まれていますし、同類のものがYouTubeにも沢山流れています。被害状況は無残なものですが、BBCは「こんな破壊度ではカダフィも死んだのではないか」と言い、欧米が支持する反政府勢力の拠点ベンガージでは、このカダフィの一族の死を祝って銃が乱射されたことを伝えています。おわりに、空襲以前にカダフィから停戦の申し出があったが、これはカダフィが市民を殺し続けるための口実にすぎないからNATOは拒否したと付言されています。関連ニュースとして、リビアの総額530億ドル(米)にのぼる外国投資をHSBC(英)、Goldman Sachs, Royal Bank of Scotland, 野村、Societe generale(仏)が扱っていて、その全額が押収されたことも報じています。私が信頼する国際的ジャーナリストであるジョン・ピルジャーはこれを「史上最大の銀行強盗」と呼んでいます。
 NATOによる仮借なきトリポリ爆撃は、アメリカきっての肝っ玉黒人女性シンシア・マキニー元国会議員・元大統領選挙立候補者が、5月22日、直々に被爆したカダフィ邸を訪れ、次の夜に行なわれた20回以上の爆撃の有様をアメリカのメディアに流したことで、再び、米国内でニュースになりました。“Anatomy of a murder (Cynthia McKinney) ”で探せば、彼女の声にも報告にも接することが出来ます。その記事の一つの中にロイター通信の記者が撮った邸宅内の写真がありますが、破壊された部屋には玩具や衣類などが散乱し、マキニーも「こんなものが統括指令本部内にあるだろうか」とコメントしています。ミサイルの標的が住居であったことは明白です。
 心情的には、私はマキニーの側にあります。過去3年にわたる経験から、原則的に彼女の発言を信頼します。しかし彼女の過去多数の発言も、つまるところ、政治的発言であることを常に意識していなければなりません。マスコミ操作が、BBCの“発言”を含めて、やはり、ほぼ完全に政治的であることを意識する必要があるのと同じ意味で。しかし、BBCとマキニーの両方から、疑問の余地なく浮上してくる事実は、欧米の言う“人道主義的介入”が完全な虚偽であるということです。G8の宣言に明確に述べられているように、欧米はカダフィの追放を、あらゆる手段を動員して、必ず成し遂げるでしょう。そのためには、リビア人が何人死のうと構わないのです。カダフィの息子が自宅で殺された二日前には、やはり近所の大きな知的障害者収容施設がNATOの爆撃で破壊されました。カダフィがこっそりその施設からテレビ放送をしているのではないかとCIAが疑ったのがミサイル攻撃の理由だったとも伝えられています。理由はともかくとして、施設の破壊は事実です。
 リビア問題が、凶暴な独裁者カダフィの反抗市民虐殺の問題などでは全くなく、黒人アフリカの死活の問題であることは、私には、明々白々です。その決定的な証拠を、今は世界のマスコミが殆ど取り上げないハイチで現在進行中の悲劇が提供しています。その決定的な証拠が見えないのは、我々がそれを見ようとしないからです。
<付記>今朝のNHK衛星放送のワールドニュースで昨日行なわれた南アフリカのズーマ大統領のトリポリ訪問が報じられていました。このところ全く姿を見せないカダフィの安否を確かめようと空港には多数の外国マスメディアが蝟集していましたが、カダフィは姿を現さず、リビア側から発表されたズーマとカダフィの映像だけが示され、カダフィは不機嫌な顔でした。彼は停戦と話し合いには応じるが退陣はしない意向であるとズーマは報じていました。これに対して、反政府勢力側は、カダフィが身を引かない限り和平に応じないことを直ちに表明したことも画面に出ていました。NHKの画像はカダフィ政府軍の幹部たちが続々反政府側に合流していることをまず示していましたが、最後には黒人の若者数人が「アフリカのことはアフリカ人に任せろ」と叫んでいる場面もありました。

藤永 茂 (2011年6月1日)


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