私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

地上最大の偽旗作戦(The greatest false flag operation on earth)

2016-10-26 22:01:02 | 日記・エッセイ・コラム
 まずNHK NEWS WEBから転載させてもらいます:
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モスル奪還作戦 イラク軍が成果強調 さらに進撃の構え
10月18日 5時15分
過激派組織IS=イスラミックステートが2年以上にわたって支配するイラク第2の都市モスルの奪還作戦で、イラク軍は初日だけでモスル周辺の10以上の村を制圧したと成果を強調し、さらに進撃を続ける構えです。
イラク政府は17日、過激派組織ISが2年以上にわたって支配するイラク第2の都市モスルの大規模な奪還作戦を開始し、アメリカ軍などの空爆による支援を受けながら、イラク軍やクルド人部隊などがモスルの周辺地域で砲撃を続けました。

現地部隊の幹部は、17日、報道陣に対し、「地上部隊の作戦で、モスルの周辺の11の村を解放した」と明らかにしました。また、クルド人部隊もモスルの東にある9つの村を包囲し、ISの戦闘員たちを封じ込める作戦を続けているということです。

前線を視察したクルド自治政府のバルザニ議長は17日、「きょうの作戦はテロとの戦いの転換点となった」と述べ、奪還作戦の初日の成果を強調しましたが、IS側も各地で自爆攻撃などで抵抗を試みているもようです。

イラク軍は引き続きクルド人部隊と協力し、ISの戦闘員数千人がいると見られるモスルの市街地の制圧に向けて少しずつ部隊をすすめる構えで、夜間も空爆や砲撃を繰り返すなど、現地は緊迫した状況が続いています。

米国防総省「長く厳しい戦い強いられる」

アメリカ国防総省は、長く厳しい戦いを強いられるとの見通しを示し、アメリカ軍として空爆とともに、イラク軍への後方支援を強化していく姿勢を示しました。

アメリカ国防総省のクック報道官は17日の会見で「これまでのところイラク軍は初日の目標を達成した」と評価しました。そして奪還作戦について、「困難で時間がかかるであろうと見ており、われわれはその作戦の第1日目にいる」と述べ、長く厳しい戦いを強いられるとの見通しを示しました。

モスルの奪還に向けてアメリカ軍はこれまでイラク軍などの兵士の訓練を強化するとともに、アメリカ兵の要員もおよそ600人増員して5000人規模の態勢とし、準備を整えてきました。アメリカ軍の役割についてクック報道官は作戦の主体はあくまでイラク政府だと強調したうえで、「アメリカ軍は前線に近いところにはおらず、イラク軍への助言などの役割を果たしている」と述べ、空爆とともに、ISと戦うイラク軍への後方支援を強化していく姿勢を示しました。
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これは、地上最大の偽旗作戦の始まりを告げる報道記事です。どこまでが外部からの指示による内容なのか、私は甚大の興味を覚えます。
 一般には余り記憶されていないことでしょうが、私はよく憶えています。それは、イスラム国(IS)が2014年6月に国家樹立宣言を行う以前から(ISILとかISISと呼ばれていた)今日に至るまで、米国政府筋から、この新しいテロ勢力を始末するには長い期間を要する旨の発言が続いていることです。今、米政府は「3、4年かかる」と言っているようですが、初期には10年以上かかるという発言もありました。ISなるものの正体に対する私の根本的疑惑は、最初、ここに発しました。「これは耐用年数だ」と言うのが私の直感でした。役に立つ間はISを使い続けるつもりなのです。
 モスルの奪回作戦を開始したイラク軍もバルザニ指揮下のクルド人部隊も、勿論、米国が操っています。実際の戦闘に携わる兵士たちのかなりの数が命を失うでしょう。戦火に巻き込まれたかなりの数の一般住民たちも殺されるでしょう。巨大な偽旗芝居を演じ通すためには本物の血が流されなければなりません。この大芝居を首尾よく打ち通すために、アメリカ兵の要員も5000人も作戦に参加している由、数千人と見積もられているIS軍に対して、これは大層な数と言わなければなりません。しかし、これらの“アメリカンボーイズ&ガールズ”の貴重な生命は過度に危険にさらされることがないように配慮されているのでしょう。彼らの最も重要な任務は、モスルの内外で熾烈な争奪戦が繰り広げられている様相を演出しながら、数千人のIS戦闘員の大部分をモスルから逃し、シリア国内に、おそらく主にラッカに向けて移動させることにあると思われます。モスルの“偽旗”作戦は計画通りダラダラと続くでしょうが、次のラッカでも同じことが繰り返されるに違いありません。撃滅の対象であるとされているISもそれを攻撃するイラク軍もバルザニ指揮下のクルド人軍も、すべては米国に操られているところに、この偽旗作戦の言語に絶するむごたらしさがあります。戦闘そのものは実弾をふんだんに使う実戦ですから、たくさんの兵士と民間人が命を失うことになります。モスルではISが子供を含む一般住民を人間の盾として使うと非難する一方、アレッポ東部の戦闘では、反政府軍、つまり、米軍側が一般市民を閉じ込めたまま、アサドとロシアが一般市民を虐殺しているとマスメディアを挙げて宣伝しまくっています。
 今、シリア(とイラク)で起きていることを見通すことは難しくありません。米国陣営はアサド大統領支配下のシリアを破壊してしまいたいのです。トルコのエルドアン大統領は、その機会に乗じて、トルコ国内のクルド人(一千万人以上)を制圧同化しようとしています。しかし、これまで何度も書いたように、クルド人人口はトルコ東部、シリア北部、イラク北部、イラン西部に連続的に分布していて、総数は三千万にも及ぶと推定されます。約100年前の1915年から1917年にかけて、150万のアルメニア人がトルコ(オスマン帝国)によって虐殺され、トルコの国内問題としてのアルメニア人問題は事実上解決されましたが、同じやり方でクルド人問題を処理するわけには参りません。
米国は、サダムフセイン大統領のイラクを打倒するためにイラク北部のクルド人勢力を大いに利用しましたが、それ以来、彼らは完全に米国の支配下にあります。バルザニ大統領が率いるイラク・クルディスタン自治区政府はペシュメルガと呼ばれる軍隊を持ち、今回のモスル奪還作戦に華々しく参加していますが、これも結局のところ、米欧側の操り人形芝居の一部です。バルザニ大統領とエルドアン大統領とは従来から良好な関係にあり、現在もそのままです。そして、ここが最も重要なポイントですが、私が注目し、支持するロジャバのクルド人勢力とバルザニ大統領の率いるクルド人勢力との間には亀裂があります。はっきり言って、政治的には敵対関係にあるのです。それにもかかわらず、米国は、この二つのお互いに馴染まないクルド人勢力の両方を操って、ISを攻撃している振りをしながら、アサド政権下のシリアを破壊分断することに全力を挙げているのが目下の状況です。
 昨年出版された『A Small Key Can Open a Large Door: The Rojava Revolution』という本の表題は、私が成功を祈ってやまないロジャバ革命の本質をよく表しています。もしも、この小さな革命が成功すれば、中東の本当の平和、世界の本当の平和への入り口にある大きなドアが開くこと必定です。しかし、米欧の支配勢力は世界平和など望んではいません。世界戦争を望み、その方向に一歩一歩と進んでいます。ロジャバのクルド人たちは、酷使された挙句、おそらく、近未来のある時点で無残に見捨てられてしまうことでしょう。
 ロジャバ革命を推進する重鎮の一人にイラム・エーメド(İlham Ehmed)という女性がいます。最近、彼女は招かれてワシントンに出向いたと報じられました。米当局とどのような話し合いがなされたのか大変気になります。

藤永茂 (2016年10月26日)
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アレッポの悲劇、アメリカの悲惨

2016-10-12 22:06:22 | 日記・エッセイ・コラム
 トルコとの国境に近いアレッポは、シリア戦争の前はシリア最大の都市で、人口は200万を優に超えていましたが、現在は約150万、そのうちの六分の一、つまり、約25万が反政府軍の支配する東部地域に住んでいます。日本を含む西側の報道機関も、その気になれば、アレッポの住民の大多数が住む政府側支配地域に入って、その悲劇的な状況を取材報道できる筈ですが、マスメディアの特派員はそれを行いません。政府側支配地域の住民の大多数がアサド大統領を支持しているなどと報道すれば、没になること必定ですから。
 例えば、朝日新聞デジタルには
やまぬ空爆「包囲され逃げられない」 アレッポの現
イスタンブール=春日芳晃
2016年10月11日02時03分
http://www.asahi.com/articles/ASJB93G3HJB9UHBI003.html
というふうに出ています。白いヘルメットさんの写真もちゃんと出してあります。まるでアレッポ全体がシリア政府軍に包囲され、空爆されているかのような印象を受けます。しかし、東部アレッポの住民を閉じ込めているのは反政府軍です。国連シリア特使デミストゥラ氏は、「自分が身をもって安全を保証するから」と言って、アレッポ東部からの反政府軍の撤退を提案しましたが、反政府軍側はこれを拒否しました。
 英国のBBCの日本語版にも、同じような組み方の記事が出ています。動画もあって、日本語音声もついていますから、ご覧ください。英語でも聞いてみようという方は、ぜひそうなさることをお勧めします。国連特使は「このままではアレッポはクリスマスまでに破壊される」とは言っていません。

このままではアレッポはクリスマスまでに破壊される=国連特使
国連シリア特使のスタファン・デミストゥラ氏は6日、シリア反政府勢力が抑えているアレッポ東部へのシリア政府とロシアの空爆がこのまま続けば、あと2カ月半、クリスマスまでに旧市街は完全に破壊されてしまうと警告した。
市内には子供だけで約10万人が身動きできずにいる。
(英語記事 Syrian city of Aleppo 'faces total destruction by Christmas')
BBC日本語版
http://www.bbc.com/japanese/video-37616844
BBC英語版
http://www.bbc.com/news/world-middle-east-37580797

トルコ軍は、今や堂々とシリア北部に侵略軍を進めて、東部アレッポの反政府軍に兵力重火器を供給することができる体制を整えました。トルコ/アメリカ/NATO側が制空権(ノー・フライ・ゾーン)を確立して、「アレッポの戦い」を勝ち抜く決意を固め、国連を主な舞台としてあらゆる術策を弄することでしょう。アメリカという国の汚さは心得ていたつもりでしたが、ここまでなりふり構わず堕落腐敗するとまでは思っていませんでした。
 去る9月17日、シリア東部デリゾール(Deir al-Zor)空港の近くのシリア政府軍にアメリカ側の空軍機(多分英国空軍機)が、約一時間、熾烈な空爆攻撃を加え、シリア軍兵士90人が死亡し、100人以上が負傷しました。これは明らかにIS軍に対する援護作戦であったことが確立されています。米国政府は、単なる誤爆だと言い張り続けていますが、その一方で、その後も、ISを援護する同様の軍事行動を継続しているのです。このニュースは、「米国もその撃滅に尽力している過激な宗教的テロ組織IS」という、マスメディアやいわゆる専門家たちから聞かされる 、ISのイメージが如何に誤っているかを、我々一般の市井の人間に知らせてくれます。ISは米国の代理地上軍です。本質的に、金で集められ、金で動いている傭兵軍隊です。金が止まれば、この操り人形の動きは止まります。しかし、米国は、あくまで、この凶悪な嘘を通し続けるつもりです。今日のニューヨーク・タイムズによると、ISが巧みにドローンを使い始めたそうです。これで、また色々の嘘話と偽旗作戦ができるというものです。私は、こうした事態の展開に、米国の恐るべき狡猾さを見るよりも、むしろ、絶望的な色合いを示してきた、のっぴきならぬ米国の悲惨を想います。地獄絵巻の様相を示す大統領選挙戦も、米国の悲惨の顕現です。これは一過性の異常事態ではありません。米国という国の本質の顕現です。

藤永茂 (2016年10月12日)
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白いヘルメット( White Helmets )

2016-10-05 22:09:58 | 日記
 今年のノーベル平和賞が「白いヘルメット」に与えられないように祈っています。もし与えられれば、それは、あまりにも情けない、悲しいことですから。いや、情けない、悲しい、などと個人的な感情の中に佇んでいることは、私のような者にも許されないのかもしれません。「白いヘルメット」がこれだけ前面に押し出されてきたということは、リビアに続いて、シリアも、米国によって、破壊されつくしてしまう前兆と考えるべきでありましょう。リビアでもシリアでも、若者たちは、大学まで無料で進学できました。医療保健制度も、米国などとは比べ物にならないほど、立派でした。
 去る9月25日、シリア情勢について、ロシアに先立って、米国の国連大使サマンサ・パワーが講演し、その中で幾度も「白いヘルメット」の名を上げて、その勇敢無私の行動を称え、その要員に対するロシア/シリア空軍の攻撃の非難を繰り返します。例によって、5歳の少年と、もう一人、5歳の少女を材料にして、御涙頂戴のストーリーが繰り広げてあります。サマンサ・パワーの講演は、虚偽と、悪意と、挑発に満ち満ちた実に読むに耐えない内容で、英語風に言うならば、I am going to throw up というところです。

https://usun.state.gov/remarks/7453

この後、ロシアの国連大使ヴィタリ・チュルキンが講演する番になると、サマンサ・パワーはフランスと英国の代表とともに席を立って退場し、チュルキンの講演を聞きませんでした。

http://russiaun.ru/en/news/sc_salp

このチュルキンの講演とパワーの講演を比較すると、いろいろのことが学べます。
 問題の「白いヘルメット」の正体を教えてくれる記事も多数存在しますが、我々日本人の間では、十分な情報が流されていない状況で、米国側のプロパガンダに乗せられている向きも多いのではないかと思います。グローバル・リサーチの次の記事は有用です。Youtubeにも多数の資料があります。

http://www.globalresearch.ca/the-real-syria-civil-defence-exposes-natos-white-helmets-as-terrorist-linked-imposters/5547528

https://www.youtube.com/watch?v=LS1Nx8L3QTk


藤永茂 (2016年10月5日)
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