まずNHK NEWS WEBから転載させてもらいます:
**********
モスル奪還作戦 イラク軍が成果強調 さらに進撃の構え
10月18日 5時15分
過激派組織IS=イスラミックステートが2年以上にわたって支配するイラク第2の都市モスルの奪還作戦で、イラク軍は初日だけでモスル周辺の10以上の村を制圧したと成果を強調し、さらに進撃を続ける構えです。
イラク政府は17日、過激派組織ISが2年以上にわたって支配するイラク第2の都市モスルの大規模な奪還作戦を開始し、アメリカ軍などの空爆による支援を受けながら、イラク軍やクルド人部隊などがモスルの周辺地域で砲撃を続けました。
現地部隊の幹部は、17日、報道陣に対し、「地上部隊の作戦で、モスルの周辺の11の村を解放した」と明らかにしました。また、クルド人部隊もモスルの東にある9つの村を包囲し、ISの戦闘員たちを封じ込める作戦を続けているということです。
前線を視察したクルド自治政府のバルザニ議長は17日、「きょうの作戦はテロとの戦いの転換点となった」と述べ、奪還作戦の初日の成果を強調しましたが、IS側も各地で自爆攻撃などで抵抗を試みているもようです。
イラク軍は引き続きクルド人部隊と協力し、ISの戦闘員数千人がいると見られるモスルの市街地の制圧に向けて少しずつ部隊をすすめる構えで、夜間も空爆や砲撃を繰り返すなど、現地は緊迫した状況が続いています。
米国防総省「長く厳しい戦い強いられる」
アメリカ国防総省は、長く厳しい戦いを強いられるとの見通しを示し、アメリカ軍として空爆とともに、イラク軍への後方支援を強化していく姿勢を示しました。
アメリカ国防総省のクック報道官は17日の会見で「これまでのところイラク軍は初日の目標を達成した」と評価しました。そして奪還作戦について、「困難で時間がかかるであろうと見ており、われわれはその作戦の第1日目にいる」と述べ、長く厳しい戦いを強いられるとの見通しを示しました。
モスルの奪還に向けてアメリカ軍はこれまでイラク軍などの兵士の訓練を強化するとともに、アメリカ兵の要員もおよそ600人増員して5000人規模の態勢とし、準備を整えてきました。アメリカ軍の役割についてクック報道官は作戦の主体はあくまでイラク政府だと強調したうえで、「アメリカ軍は前線に近いところにはおらず、イラク軍への助言などの役割を果たしている」と述べ、空爆とともに、ISと戦うイラク軍への後方支援を強化していく姿勢を示しました。
**********
これは、地上最大の偽旗作戦の始まりを告げる報道記事です。どこまでが外部からの指示による内容なのか、私は甚大の興味を覚えます。
一般には余り記憶されていないことでしょうが、私はよく憶えています。それは、イスラム国(IS)が2014年6月に国家樹立宣言を行う以前から(ISILとかISISと呼ばれていた)今日に至るまで、米国政府筋から、この新しいテロ勢力を始末するには長い期間を要する旨の発言が続いていることです。今、米政府は「3、4年かかる」と言っているようですが、初期には10年以上かかるという発言もありました。ISなるものの正体に対する私の根本的疑惑は、最初、ここに発しました。「これは耐用年数だ」と言うのが私の直感でした。役に立つ間はISを使い続けるつもりなのです。
モスルの奪回作戦を開始したイラク軍もバルザニ指揮下のクルド人部隊も、勿論、米国が操っています。実際の戦闘に携わる兵士たちのかなりの数が命を失うでしょう。戦火に巻き込まれたかなりの数の一般住民たちも殺されるでしょう。巨大な偽旗芝居を演じ通すためには本物の血が流されなければなりません。この大芝居を首尾よく打ち通すために、アメリカ兵の要員も5000人も作戦に参加している由、数千人と見積もられているIS軍に対して、これは大層な数と言わなければなりません。しかし、これらの“アメリカンボーイズ&ガールズ”の貴重な生命は過度に危険にさらされることがないように配慮されているのでしょう。彼らの最も重要な任務は、モスルの内外で熾烈な争奪戦が繰り広げられている様相を演出しながら、数千人のIS戦闘員の大部分をモスルから逃し、シリア国内に、おそらく主にラッカに向けて移動させることにあると思われます。モスルの“偽旗”作戦は計画通りダラダラと続くでしょうが、次のラッカでも同じことが繰り返されるに違いありません。撃滅の対象であるとされているISもそれを攻撃するイラク軍もバルザニ指揮下のクルド人軍も、すべては米国に操られているところに、この偽旗作戦の言語に絶するむごたらしさがあります。戦闘そのものは実弾をふんだんに使う実戦ですから、たくさんの兵士と民間人が命を失うことになります。モスルではISが子供を含む一般住民を人間の盾として使うと非難する一方、アレッポ東部の戦闘では、反政府軍、つまり、米軍側が一般市民を閉じ込めたまま、アサドとロシアが一般市民を虐殺しているとマスメディアを挙げて宣伝しまくっています。
今、シリア(とイラク)で起きていることを見通すことは難しくありません。米国陣営はアサド大統領支配下のシリアを破壊してしまいたいのです。トルコのエルドアン大統領は、その機会に乗じて、トルコ国内のクルド人(一千万人以上)を制圧同化しようとしています。しかし、これまで何度も書いたように、クルド人人口はトルコ東部、シリア北部、イラク北部、イラン西部に連続的に分布していて、総数は三千万にも及ぶと推定されます。約100年前の1915年から1917年にかけて、150万のアルメニア人がトルコ(オスマン帝国)によって虐殺され、トルコの国内問題としてのアルメニア人問題は事実上解決されましたが、同じやり方でクルド人問題を処理するわけには参りません。
米国は、サダムフセイン大統領のイラクを打倒するためにイラク北部のクルド人勢力を大いに利用しましたが、それ以来、彼らは完全に米国の支配下にあります。バルザニ大統領が率いるイラク・クルディスタン自治区政府はペシュメルガと呼ばれる軍隊を持ち、今回のモスル奪還作戦に華々しく参加していますが、これも結局のところ、米欧側の操り人形芝居の一部です。バルザニ大統領とエルドアン大統領とは従来から良好な関係にあり、現在もそのままです。そして、ここが最も重要なポイントですが、私が注目し、支持するロジャバのクルド人勢力とバルザニ大統領の率いるクルド人勢力との間には亀裂があります。はっきり言って、政治的には敵対関係にあるのです。それにもかかわらず、米国は、この二つのお互いに馴染まないクルド人勢力の両方を操って、ISを攻撃している振りをしながら、アサド政権下のシリアを破壊分断することに全力を挙げているのが目下の状況です。
昨年出版された『A Small Key Can Open a Large Door: The Rojava Revolution』という本の表題は、私が成功を祈ってやまないロジャバ革命の本質をよく表しています。もしも、この小さな革命が成功すれば、中東の本当の平和、世界の本当の平和への入り口にある大きなドアが開くこと必定です。しかし、米欧の支配勢力は世界平和など望んではいません。世界戦争を望み、その方向に一歩一歩と進んでいます。ロジャバのクルド人たちは、酷使された挙句、おそらく、近未来のある時点で無残に見捨てられてしまうことでしょう。
ロジャバ革命を推進する重鎮の一人にイラム・エーメド(İlham Ehmed)という女性がいます。最近、彼女は招かれてワシントンに出向いたと報じられました。米当局とどのような話し合いがなされたのか大変気になります。
藤永茂 (2016年10月26日)
**********
モスル奪還作戦 イラク軍が成果強調 さらに進撃の構え
10月18日 5時15分
過激派組織IS=イスラミックステートが2年以上にわたって支配するイラク第2の都市モスルの奪還作戦で、イラク軍は初日だけでモスル周辺の10以上の村を制圧したと成果を強調し、さらに進撃を続ける構えです。
イラク政府は17日、過激派組織ISが2年以上にわたって支配するイラク第2の都市モスルの大規模な奪還作戦を開始し、アメリカ軍などの空爆による支援を受けながら、イラク軍やクルド人部隊などがモスルの周辺地域で砲撃を続けました。
現地部隊の幹部は、17日、報道陣に対し、「地上部隊の作戦で、モスルの周辺の11の村を解放した」と明らかにしました。また、クルド人部隊もモスルの東にある9つの村を包囲し、ISの戦闘員たちを封じ込める作戦を続けているということです。
前線を視察したクルド自治政府のバルザニ議長は17日、「きょうの作戦はテロとの戦いの転換点となった」と述べ、奪還作戦の初日の成果を強調しましたが、IS側も各地で自爆攻撃などで抵抗を試みているもようです。
イラク軍は引き続きクルド人部隊と協力し、ISの戦闘員数千人がいると見られるモスルの市街地の制圧に向けて少しずつ部隊をすすめる構えで、夜間も空爆や砲撃を繰り返すなど、現地は緊迫した状況が続いています。
米国防総省「長く厳しい戦い強いられる」
アメリカ国防総省は、長く厳しい戦いを強いられるとの見通しを示し、アメリカ軍として空爆とともに、イラク軍への後方支援を強化していく姿勢を示しました。
アメリカ国防総省のクック報道官は17日の会見で「これまでのところイラク軍は初日の目標を達成した」と評価しました。そして奪還作戦について、「困難で時間がかかるであろうと見ており、われわれはその作戦の第1日目にいる」と述べ、長く厳しい戦いを強いられるとの見通しを示しました。
モスルの奪還に向けてアメリカ軍はこれまでイラク軍などの兵士の訓練を強化するとともに、アメリカ兵の要員もおよそ600人増員して5000人規模の態勢とし、準備を整えてきました。アメリカ軍の役割についてクック報道官は作戦の主体はあくまでイラク政府だと強調したうえで、「アメリカ軍は前線に近いところにはおらず、イラク軍への助言などの役割を果たしている」と述べ、空爆とともに、ISと戦うイラク軍への後方支援を強化していく姿勢を示しました。
**********
これは、地上最大の偽旗作戦の始まりを告げる報道記事です。どこまでが外部からの指示による内容なのか、私は甚大の興味を覚えます。
一般には余り記憶されていないことでしょうが、私はよく憶えています。それは、イスラム国(IS)が2014年6月に国家樹立宣言を行う以前から(ISILとかISISと呼ばれていた)今日に至るまで、米国政府筋から、この新しいテロ勢力を始末するには長い期間を要する旨の発言が続いていることです。今、米政府は「3、4年かかる」と言っているようですが、初期には10年以上かかるという発言もありました。ISなるものの正体に対する私の根本的疑惑は、最初、ここに発しました。「これは耐用年数だ」と言うのが私の直感でした。役に立つ間はISを使い続けるつもりなのです。
モスルの奪回作戦を開始したイラク軍もバルザニ指揮下のクルド人部隊も、勿論、米国が操っています。実際の戦闘に携わる兵士たちのかなりの数が命を失うでしょう。戦火に巻き込まれたかなりの数の一般住民たちも殺されるでしょう。巨大な偽旗芝居を演じ通すためには本物の血が流されなければなりません。この大芝居を首尾よく打ち通すために、アメリカ兵の要員も5000人も作戦に参加している由、数千人と見積もられているIS軍に対して、これは大層な数と言わなければなりません。しかし、これらの“アメリカンボーイズ&ガールズ”の貴重な生命は過度に危険にさらされることがないように配慮されているのでしょう。彼らの最も重要な任務は、モスルの内外で熾烈な争奪戦が繰り広げられている様相を演出しながら、数千人のIS戦闘員の大部分をモスルから逃し、シリア国内に、おそらく主にラッカに向けて移動させることにあると思われます。モスルの“偽旗”作戦は計画通りダラダラと続くでしょうが、次のラッカでも同じことが繰り返されるに違いありません。撃滅の対象であるとされているISもそれを攻撃するイラク軍もバルザニ指揮下のクルド人軍も、すべては米国に操られているところに、この偽旗作戦の言語に絶するむごたらしさがあります。戦闘そのものは実弾をふんだんに使う実戦ですから、たくさんの兵士と民間人が命を失うことになります。モスルではISが子供を含む一般住民を人間の盾として使うと非難する一方、アレッポ東部の戦闘では、反政府軍、つまり、米軍側が一般市民を閉じ込めたまま、アサドとロシアが一般市民を虐殺しているとマスメディアを挙げて宣伝しまくっています。
今、シリア(とイラク)で起きていることを見通すことは難しくありません。米国陣営はアサド大統領支配下のシリアを破壊してしまいたいのです。トルコのエルドアン大統領は、その機会に乗じて、トルコ国内のクルド人(一千万人以上)を制圧同化しようとしています。しかし、これまで何度も書いたように、クルド人人口はトルコ東部、シリア北部、イラク北部、イラン西部に連続的に分布していて、総数は三千万にも及ぶと推定されます。約100年前の1915年から1917年にかけて、150万のアルメニア人がトルコ(オスマン帝国)によって虐殺され、トルコの国内問題としてのアルメニア人問題は事実上解決されましたが、同じやり方でクルド人問題を処理するわけには参りません。
米国は、サダムフセイン大統領のイラクを打倒するためにイラク北部のクルド人勢力を大いに利用しましたが、それ以来、彼らは完全に米国の支配下にあります。バルザニ大統領が率いるイラク・クルディスタン自治区政府はペシュメルガと呼ばれる軍隊を持ち、今回のモスル奪還作戦に華々しく参加していますが、これも結局のところ、米欧側の操り人形芝居の一部です。バルザニ大統領とエルドアン大統領とは従来から良好な関係にあり、現在もそのままです。そして、ここが最も重要なポイントですが、私が注目し、支持するロジャバのクルド人勢力とバルザニ大統領の率いるクルド人勢力との間には亀裂があります。はっきり言って、政治的には敵対関係にあるのです。それにもかかわらず、米国は、この二つのお互いに馴染まないクルド人勢力の両方を操って、ISを攻撃している振りをしながら、アサド政権下のシリアを破壊分断することに全力を挙げているのが目下の状況です。
昨年出版された『A Small Key Can Open a Large Door: The Rojava Revolution』という本の表題は、私が成功を祈ってやまないロジャバ革命の本質をよく表しています。もしも、この小さな革命が成功すれば、中東の本当の平和、世界の本当の平和への入り口にある大きなドアが開くこと必定です。しかし、米欧の支配勢力は世界平和など望んではいません。世界戦争を望み、その方向に一歩一歩と進んでいます。ロジャバのクルド人たちは、酷使された挙句、おそらく、近未来のある時点で無残に見捨てられてしまうことでしょう。
ロジャバ革命を推進する重鎮の一人にイラム・エーメド(İlham Ehmed)という女性がいます。最近、彼女は招かれてワシントンに出向いたと報じられました。米当局とどのような話し合いがなされたのか大変気になります。
藤永茂 (2016年10月26日)