私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

キューバについての朗報

2020-04-25 22:45:46 | 日記・エッセイ・コラム

 前回のブログの末尾で紹介したAndre Vltchek の記事が「マスコミに載らない海外記事」で翻訳され、掲載されました。大変ありがたいことです。ぜひお読み下さい:

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-8c8b27.html

この人は人間味豊かな分かりやすい文章で、世界の出来事を適時的確に報道し、解説してくれています。サイト「マスコミに載らない海外記事」にもしばしば登場しています。最近に掲載された2編を挙げておきます。

(4月21日)

『多くを知らずに中国を中傷するピーター・ナヴァロ』

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-fc252b.html

(4月1日)

『もはや我々は、好きなものを、見、聞き、読むのを許されていない』 

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-021dfd.html

 

藤永茂(4月25日)

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キューバは奇跡です

2020-04-22 22:04:57 | 日記・エッセイ・コラム

 このブログを読んでくださる方々から貴重なコメントを頂いても、然るべくご返事することを怠っているこの日頃ですが、本日は、前回(4月15日)の記事の末尾に掲げた英文記事:

https://dissidentvoice.org/2020/04/cuba-from-aids-dengue-and-ebola-to-covid-19/

の翻訳の通知を頂いたので、ここに紹介し、感謝の意を表します:

『キューバ:エイズ、デング熱、エボラからCOVID-19まで』

http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-246.html

この寺島メソッド 翻訳NEWSというサイトでは、私が最大の尊敬を捧げる「マスコミに載らない海外記事」と同様に、読み応えのある翻訳記事を多数読むことが出来ます。例えば4月18日付けのセルビア首相の発言の記事です。米欧が過去にセルビア、広くは、旧ユーゴスラビアに対して行った言語道断の行為を忘れてはなりません。

 キューバについては、異端(セコイアの娘)さんから頂いた「キューバは奇跡です」の一言も、私にとって、貴重です。題名にお借りしました。キューバという国が実際に存在を続けていること、それが、コロナ禍という篝火の下で、米国という国の醜悪さをまざまざと照らし出していること、イニャシオ・ラモネのいう「別の世界」が実際に可能であることを我々に告げてくれているのですから。

 去る4月7日にNHK衛星の『世界ふれあい街歩き』でキューバの革命発祥の地でキューバ第二の都市サンティアゴ・デ・クーバが取り上げられていました。語りは高橋克美さん。

https://www.nhk.or.jp/sekaimachi-blog/400/426513.html#deai

心を打たれた場面がいくつもありました。キューバでは、手のひらにほっこり乗る大きさの丸っこい食パンが、一日一個あて配給されて、誰も餓死することはないようですが、馬にオンボロ荷車を曳かせて運送の仕事をしている中年の男性が配給所にやって来て、記録ノートに記名してパンを二つもらうと、その一つをあっという間に馬の鼻先へ、馬も慣れた様子でムニャムニャ、ペロリ。「これに働いて貰っているからね」と答える声の明るさ!「動物愛」などという言葉の入り込む隙間もありません。

 もう一つ、NHKの解説に「ラテンのリズムに乗せてエアロビクスをする女性たち。キューバでは果実のようなプリプリでジューシーな体形が好まれるのだそうです。歌って踊って汗かいて、ストレスをためないことが美しさを保つ秘けつなんだとか」とある場面です。元気にあふれた女性たちの豊満な肢体には空腹の影は全く認められませんが、これがキューバの男性たちの好みなのかというやや不躾な質問に対して、「男たちの目なんか気にしていない」という答えが女性たちから一斉に跳ね返って来たのには驚きました。ここにはある意味での嘘が隠されているに違いありませんが、笑い声に裏打ちされたこの返事に、私は、キューバの女性が占めている社会的地位の健康さを確認しました。

 日本ではコロナの軽症者をホテルナなどの建物に別離収容して病院の負担軽減を試みていますが、キューバでは、医者が住民の一人一人の健康状態を尋ねてまわっています。現在、キューバは3万人の医師を海外援助に繰り出していますが、国内では7万人の医者が住民の日常生活に密着して活動しています。単位人口当たりでは、米国の2倍以上です。少し大げさに言えば、誰にもかかりつけの医者が近所にいて、何かがあれば、すぐに往診してもらっているようなものです。

 ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス(NYR)ととい書評誌のウエブサイトに「ハンデミック日誌」というのがあって:

https://www.nybooks.com/daily/2020/04/20/pandemic-journal-april-13-20/#lindsay

その中で、Reed Lindsayという記録映画作家がキューバの首都ハバナから、4月17日付で、その有様を報じています。その一部を原文で引用させてもらいます:

**********

My confidence in Cuba is not rooted in numbers. Cuba has 862 cases, giving it an incidence rate 265 times lower than that of Blaine County, Idaho. (Cuba is at an earlier stage of contagion and cases are expected to increase at a more rapid pace in the coming weeks.) Instead, my assurance is based on the country’s public health system and its extensive network of dedicated, community-based doctors. Even with so many doctors abroad, 70,000 physicians remain in Cuba, giving the country one of the highest doctor-to-patient ratios in the world—more than double that of the US.

On March 31, I followed one of these doctors, Liz Caballero, as she went door-to-door with two second-year medical students in the El Carmelo municipality of Havana. Dr. Liz, as she introduces herself, and her students hustled down alleys and up narrow stairways, knocking on dozens of doors, polling and educating residents on symptoms and best practices to avoid contagion. During dengue outbreaks, a small army of health professionals and students knock on every door across the country. This has become a daily routine in recent weeks—I received a check-in the other day from a pair of students while a doctor examined my ninety-five-year-old neighbor.

“They come every day around this time,” one resident told me. “I’m so grateful for what they’re doing,” said another.

Even in normal times, house calls are common in Cuba, where “family doctors” living in the same communities as their patients are the lynchpin of the country’s free healthcare system.

“The family doctor is playing a crucial role in fighting coronavirus because we have the community in our hands,” said Dr. Liz. “We’re working hard not just to avoid the worst-case scenario, but to alter the course of the disease.”

In El Carmelo, I asked the two medical students following Dr. Liz if they were optimistic about the possibility of Cuba’s containing the virus. They laughed as if I’d posed a stupid question.

“Always,” said nineteen-year-old Talía González. “What kind of doctors would we be if we were pessimistic?” ■

**********

これは私のいい加減な推測ですが、キューバの医者の収入は日本のそれの数十分の一でしょう。社会現象として、キューバは「赤ひげ」でいっぱい、ということになります。

 米国のあらゆる企てにも屈せず、どうしてキューバは存在し続けているのか? 前掲のサイト「マスコミに載らない海外記事」にしばしば登場するAndre Vltchek(アンドレ・ヴルチェック?)という哲学者、小説家、映画製作者、調査ジャーナリストがいます。この人の2016年の論説『キューバは決して屈しない!(Cuba Will Not Fall!)』を読むと、優れた文学者の感覚で捉えたキューバ不滅の理由が読み取れます。

https://libya360.wordpress.com/2016/05/09/cuba-will-not-fall/

 

藤永茂(2020年4月22日)

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キューバは奇跡です

2020-04-22 21:48:46 | 日記・エッセイ・コラム

 このブログを読んでくださる方々から貴重なコメントを頂いても、然るべくご返事することを怠っているこの日頃ですが、本日は、前回(4月15日)の記事の末尾に掲げた英文記事:

https://dissidentvoice.org/2020/04/cuba-from-aids-dengue-and-ebola-to-covid-19/

の翻訳の通知を頂いたので、ここに紹介し、感謝の意を表します:

『キューバ:エイズ、デング熱、エボラからCOVID-19まで』

http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-246.html

この寺島メソッド 翻訳NEWSというサイトでは、私が最大の尊敬を捧げる「マスコミに載らない海外記事」と同様に、読み応えのある翻訳記事を多数読むことが出来ます。例えば4月18日付けのセルビア首相の発言の記事です。米欧が過去にセルビア、広くは、旧ユーゴスラビアに対して行った言語道断の行為を忘れてはなりません。

 キューバについては、異端(セコイアの娘)さんから頂いた「キューバは奇跡です」の一言も、私にとって、貴重です。題名にお借りしました。キューバという国が実際に存在を続けていること、それが、コロナ禍という篝火の下で、米国という国の醜悪さをまざまざと照らし出していること、イニャシオ・ラモネのいう「別の世界」が実際に可能であることを我々に告げてくれているのですから。

 去る4月7日にNHK衛星の『世界ふれあい街歩き』でキューバの革命発祥の地でキューバ第二の都市サンティアゴ・デ・クーバが取り上げられていました。語りは高橋克美さん。

https://www.nhk.or.jp/sekaimachi-blog/400/426513.html#deai

心を打たれた場面がいくつもありました。キューバでは、手のひらにほっこり乗る大きさの丸っこい食パンが、一日一個あて配給されて、誰も餓死することはないようですが、馬にオンボロ荷車を曳かせて運送の仕事をしている中年の男性が配給所にやって来て、記録ノートに記名してパンを二つもらうと、その一つをあっという間に馬の鼻先へ、馬も慣れた様子でムニャムニャ、ペロリ。「これに働いて貰っているからね」と答える声の明るさ!「動物愛」などという言葉の入り込む隙間もありません。

 もう一つ、NHKの解説に「ラテンのリズムに乗せてエアロビクスをする女性たち。キューバでは果実のようなプリプリでジューシーな体形が好まれるのだそうです。歌って踊って汗かいて、ストレスをためないことが美しさを保つ秘けつなんだとか」とある場面です。元気にあふれた女性たちの豊満な肢体には空腹の影は全く認められませんが、これがキューバの男性たちの好みなのかというやや不躾な質問に対して、「男たちの目なんか気にしていない」という答えが女性たちから一斉に跳ね返って来たのには驚きました。ここにはある意味での嘘が隠されているに違いありませんが、笑い声に裏打ちされたこの返事に、私は、キューバの女性が占めている社会的地位の健康さを確認しました。

 日本ではコロナの軽症者をホテルナなどの建物に別離収容して病院の負担軽減を試みていますが、キューバでは、医者が住民の一人一人の健康状態を尋ねてまわっています。現在、キューバは3万人の医師を海外援助に繰り出していますが、国内では7万人の医者が住民の日常生活に密着して活動しています。単位人口当たりでは、米国の2倍以上です。少し大げさに言えば、誰にもかかりつけの医者が近所にいて、何かがあれば、すぐに往診してもらっているようなものです。

 ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス(NYR)ととい書評誌のウエブサイトに「ハンデミック日誌」というのがあって:

https://www.nybooks.com/daily/2020/04/20/pandemic-journal-april-13-20/#lindsay

その中で、Reed Lindsayという記録映画作家がキューバの首都ハバナから、4月17日付で、その有様を報じています。その一部を原文で引用させてもらいます:

**********

My confidence in Cuba is not rooted in numbers. Cuba has 862 cases, giving it an incidence rate 265 times lower than that of Blaine County, Idaho. (Cuba is at an earlier stage of contagion and cases are expected to increase at a more rapid pace in the coming weeks.) Instead, my assurance is based on the country’s public health system and its extensive network of dedicated, community-based doctors. Even with so many doctors abroad, 70,000 physicians remain in Cuba, giving the country one of the highest doctor-to-patient ratios in the world—more than double that of the US.

On March 31, I followed one of these doctors, Liz Caballero, as she went door-to-door with two second-year medical students in the El Carmelo municipality of Havana. Dr. Liz, as she introduces herself, and her students hustled down alleys and up narrow stairways, knocking on dozens of doors, polling and educating residents on symptoms and best practices to avoid contagion. During dengue outbreaks, a small army of health professionals and students knock on every door across the country. This has become a daily routine in recent weeks—I received a check-in the other day from a pair of students while a doctor examined my ninety-five-year-old neighbor.

“They come every day around this time,” one resident told me. “I’m so grateful for what they’re doing,” said another.

Even in normal times, house calls are common in Cuba, where “family doctors” living in the same communities as their patients are the lynchpin of the country’s free healthcare system.

“The family doctor is playing a crucial role in fighting coronavirus because we have the community in our hands,” said Dr. Liz. “We’re working hard not just to avoid the worst-case scenario, but to alter the course of the disease.”

In El Carmelo, I asked the two medical students following Dr. Liz if they were optimistic about the possibility of Cuba’s containing the virus. They laughed as if I’d posed a stupid question.

“Always,” said nineteen-year-old Talía González. “What kind of doctors would we be if we were pessimistic?” ■

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これは私のいい加減な推測ですが、キューバの医者の収入は日本のそれの数十分の一でしょう。社会現象として、キューバは「赤ひげ」でいっぱい、ということになります。

 米国のあらゆる企てにも屈せず、どうしてキューバは存在し続けているのか? 前掲のサイト「マスコミに載らない海外記事」にしばしば登場するAndre Vltchek(アンドレ・ヴルチェック?)という哲学者、小説家、映画製作者、調査ジャーナリストがいます。この人の2016年の論説『キューバは決して屈しない!(Cuba Will Not Fall!)』を読むと、優れた文学者の感覚で捉えたキューバ不滅の理由が読み取れます。

https://libya360.wordpress.com/2016/05/09/cuba-will-not-fall/

 

藤永茂(2020年4月22日)

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ぬちどうたから(命どう宝)

2020-04-15 22:37:38 | 日記・エッセイ・コラム

 『A New Humanity, A New World』(新しい人間性、新しい世界)と題する記事の翻訳を掲げる前に、ジョン・ピルジャーが3月12日に発した我々への警告を訳出します:

http://johnpilger.com/articles/a-pandemic-is-declared-but-not-for-the-starving-the-preventable-sick-the-blockaded-the-bombed

「世界的流行病(パンデミック)が宣言された。しかし、それは不可避ではない饑餓から24,000 人の人々が毎日死んでいることに対してではなく、また、予防可能のマラリアにかかって毎日死んでいる3,000 人の子供たちに対してでもない。公的資金による健康保険制度から排除されたため、10,000 人が、毎日、死んでいるからでもない。米国による貿易封鎖で救命に必要な薬品類が輸入できないために何百人ものベネズエラ人やイラン人が毎日命を落としているからでもない。イエーメンで、米国と英国が、武器売り込みで儲けながら継続させている戦争の故に、毎日、殆どが子供たちの何百人もが爆撃され、餓死に追い込まれていることに対してでもない。パンデミックだと大騒ぎする前に、これらの人々に思いを馳せよ」

 ピルジャーの言う通りだと、私(藤永)は思います。そして、私の思いは、悲しいほどにも美しく強い沖縄の言葉、『ぬちどうたから(命こそ宝)』に帰って行きます。

********************

https://libya360.wordpress.com/2020/04/03/a-new-humanity-a-new-world/

新しい人間性、新しい世界  オウエイ・ラケムファ

オウエイ・ラケムファはアフリア労働組合団結組織(OATUU)の前事務総長である。OATUUは、アフリカの54の国家総ての労働組合の連合体で組合員の総数は約2千5百万人。

 

想像してみてほしい。あなたは他の681人の乗客と一緒にクルーズ船に乗っていて、乗客の何人かが、治療法もワクチンもない高い伝染性のウイルスを保持していることを知ったと想像しよう。たとえ治療法があったにしても、あなたは洋上に浮遊していて、あなたの船の停泊を受け入れる国はないから、治療は手に届かない。だから、あなたの船は一つの監獄であるだけでなく、荒れ狂う波に身を投げる他には逃れようのない、ウイルスに汚染された実験室になってしまっている。したがって、あなたは高伝染性力ウイルスの蔓延の恐怖の中でじっと耐えることを強いられることになる。それは悪夢だが、それは何週間も続いている現実であり、目を覚ませばお終いというわけには行かない。

これが、英国のクルーズ船 MSブレーマーに乗っていた乗客が味わった神経の擦り切れるような経験だったのだ。乗客の668人は英国連合王国からであり、他はイタリア、コロンビア、オーストラリア、カナダ、アイルランド、オランダ、ノールウエイ、スエーデン、日本からだった。乗船者中、5人は新コロナウイルス Covid-19 保持者、他の28人の乗客と27人の船員はコロナウイルスに感染したらしい症状を示して隔離された。

この船はドミニカ共和国、バルバドス、バハマ連邦から停泊を拒否された。強大國米国は何ら助けの手を伸べなかったが、小さい島国キューバが、この国も新コロナウイルスを経験中なのだが、このクルーズ船を、連帯を表す行為として、マリエールの港に着岸するように招いたのであった。

恐怖から解放された乗客たちは、訪れる予定でなかった一つの国に感謝の投げキスをしながら、バスと救急車のキャラバンでハバナ空港のターミナルに運ばれ、英国連邦へと飛び立った。

英国外務大臣ドミニク・ラーブは“キューバ政府の迅速な措置に心から感謝する”と声明を発してこの謝意の表明に加わった。

乗船者とその家族たちに対するこのキューバの行動は多数の命を救った忘れ難い勇敢な行動であった。こういうのを、国際外交では、ソフトパワー外交と呼ぶ。しかし、キューバの人々を知っていれば分かることだが、彼らはそんなつもりでやったのではない。言うなれば、助けを求める人々に出会った時には、例え自分の命を賭けてでも、救ってやろうとするのが彼らの性格と伝統なのだ。それが大地震後のハイチでの対コレラの戦いにおいて、また、リベリアやシエラ・レオーネといった国々が抹消されそうになった2014年のエボラ大災害の際に、キューバ人たちが実行したことであった。

我々アフリカ人は、また、アパルトヘイトが南アフリカとナミビアを絞扼し、さらにアンゴラを絞扼すべく攻め込んだ時、我々を助けに来たのはただキューバ一国だけだったことを忘れることは出来ない。キューバは5万5千ほどの兵力を投入し、戦闘でキューバの若者たちの数千人を失ったが、効果的にアパルトヘイト軍事力を粉砕し、人種差別主義者たちに、彼らの邪悪なシステムを撤回して、ナミビアと南アフリカに独立を与えることを余儀なくさせた。過去56年間に、無償で働く40万人以上の保険医療のプロフェッッショナルを164の国に送り込んで来た。

イタリアは今やCovid-19パンデミックの中心であり過去一週間の死者平均は400である。世界のほとんどすべての国は自国だけを保護し、その資金、医療要員、医療資材を自国民のために蓄え込んでいる。それと対照的に、小さい国キューバは何千もの医療のプロフェッッショナルを動員して、 Covid-19に荒らされている国々に送り出している。この土曜日、キューバは52人の医師と看護師を、ウイルスとの戦いの援軍として、ヨーロッパの先進国であるイタリアに送った。ヨーロッパ連合の常任イタリア代表であるモリチオ・マサリは、これまでイタリアがコロナウイルスに対する戦いを助けてくれとヨーロッパ連合諸国に泣きついても何の答えもなかったと抗議していたところだったのだ。

キューバの“白衣の軍隊”のイタリアへの展開は、 Covid-19と戦うために派遣されている6番目の旅団だ。それはすでにグレナダ、ニカラグア、スリナム、ベネズエラ、ジャマイカに派遣されている。

140人の医療プロフェッッショナルがキューバからキングストンにジャマイカに到着した時、ジャマイカの保健大臣クリストファー・タフトンは“危機に際して、キューバ政府、キューバの人々 ・・・ はすっくと立ち上がって我々の訴えを聞き入れ、対処してくれた”と、こんな口調で彼らを歓迎した。

キューバ人たちは不屈のファイターであり、それらの国々で、如何に状況が悪化しても、背を向けることはないであろう。彼らにとっては、戦場で——軍事的であれ、医療的、人道的任務であれ——撤退とか降伏の選択肢はない。

感謝の念あらわなイタリア人たちの拍手に迎えられたキューバ人到着のビデオを観るのは、私にとって感極まることだった。それは、イデオロギーや肌の色、開発の度合いの違いにすら関係なく、すべての人間は一つだ、ということの決定的な表明であった。英国船MSブレーマーの乗船者を救助し、医師たちをイタリアに送ったキューバ人の行動は、また、財政的に貧しい低開発国が富裕な先進国の救助に乗り出すこともありうることを示す教訓でもある。

たった110860平方キロメーター、人口1134万の島国、長年砂糖とタバコの輸出に依存し、1960年10月19日以降、米国による経済的、商業的、財政的封鎖の下にあるキューバだが、この国がほとんど100%の識字率を持ち、世界で最も発達した医療組織の一つを持っていることは教訓的なことだ。実際、中国が Covid-19の患者の治療に効果的に使った医薬品の一つは、キューバが1981年にデング熱ウイルスと戦うために生産したインターフェロン・アルファ2b である。

長年の間、キューバは米州機構(OAS)から疎外されて孤立していた。しかし、真剣な関わり合い、意志の力、一貫性、発展的思考を通して、キューバは米州機構のほとんどの州を味方につけた。

キューバは、アフリカの、とりわけナイゼリアの我々に、自立に代わるものはないこと、つまり、基礎的な施設を建設し、人民に投資すべきことを教えている。ナイゼリアの資源を彼ら自身と彼らの西欧の主人たちの私物と化しているエリートたちに、局地的な能力を発達させる以外に手はないことを教えている。もし彼らエリートたちが、医学的治療が必要な時にはいつでも海外に行けばよいと考える代わりに、医療システムを国内で整備していたならば、コロナウイルスが、社会的身分に関係なく、すべてのナイゼリア人を外国に行けなくしてしまった今、エリートたちは、壊れかけたオンボロの病院の入院患者になることはなかっただろうに。

キューバというお手本はまぐれで得られたものではない。それは、詩人のホセ・マルティ(1853-1895)や“ブロンズの巨人”として知られるアントニオ・マセオ(1845-1896)のような建国の父たちが置いた礎石の上に建てられている。のちの世代では、フィデル・カストロ、ラウル・カストロ、カミリオ・シエンフエゴス、ハイヂ・マリア、セリア・サンチェスなど、これらの人々は、人類は一つであり、その資源は共通善のために、特に貧者、弱者、周辺者が恩恵を受けやすいように配備しなければならないと説いたのだ。

キューバの哲学はエルネスト・チェ・ゲバラのような人物の思想に埋め込まれている:“一人の人間の命はこの世で一番の大金持ちの持ち物すべての百万倍以上もの値打ちがある。”  “私たちは、生を享けた人間への愛が実際の行動へ、模範として、原動力として働くように、日々努力しなければならない。”というチェ・ゲバラの忠告そのままに、キューバ人たちは生きているのだ。

********************

これで翻訳は終わりです。キューバの人々に対するこの著者の思い入れは深く、いささか感情的(感傷的とは言いません)に過ぎるかもしれませんが、一読に値する文章です。もっと具体的に詳しい論説がありますので、こちらも一読をお勧めします:

https://dissidentvoice.org/2020/04/cuba-from-aids-dengue-and-ebola-to-covid-19/

この記事の後半はContrasts: Cuba and the United States と題されていて、キューバと米国との対比が詳しく行われています。目から鱗の情報が満載です。

 

藤永茂(2020年4月15日)

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コロナウイルスとファットマン(太っちょ)

2020-04-08 22:21:14 | 日記・エッセイ・コラム

 コロナウイルスの描像を見ていると、長崎に投下された核爆弾が私の脳裏に浮んできて仕方がありません。ファットマンというあだ名で呼ばれるimplosion(内破、爆縮)方式の核爆弾が米国ニューメキシコ州のアラモゴールドで初めて爆発実験が行われる時の記録映画は、例えば、ユーチューブ:

https://www.youtube.com/watch?v=xwpgmEvlRpM

で見ることができます。ファットマンのテストを主題にした『ドクター・アトミック』と題する本格的なオペラ(歌劇)もあります。現代の米国の作曲家ジョン・アダムスが音楽を、舞台演出家のピーター・セラーズが脚本台詞を担当して、2005年10月、サンフランシスコで初演されました。しかし、核爆弾が人間の存在に突きつけている恐るべき意義については、こうした記録映画も芸術作品も全く舌足らずのレベルでしか我々に告げてくれていません。

 

 

 ファットマンは、本質的に、殺す人間を区別しません。誰が死ぬかを、実際に、決めるのは人間です。新型コロナウイルスについても同じ事が言えるでしょう。取るに足らぬ予言風評はあるにしても、今回の大疫病蔓延は全く青天の霹靂として出現しました。無数の人々が死ぬのですから、軽々しく身勝手な思いを巡らすのは不謹慎ですが、私はこれを天啓、あるいは、天恵として受け取りたい気持ちを禁じ得ません。

 天恵の第一は、米国という国の本当の姿が、目のある人間であれば誰にもわかるように、露呈されつつあるという事です。その事実の指摘は、特に、米欧のマスメディアの外にある、アフリカ、中南米、中東のメディアで盛んに行われています。米国の残酷非道な貿易封鎖のため疫病大蔓延の脅威の下にあるイランやベネズエラに対して米国政府が行っていることは、まさに、「細菌戦争」を実際に仕掛けていることに他なりません。シリアでホワイトヘルメットがでっちあげようとした「サリン戦争」とは訳が違います。

 米国国内の対コロナ政策にも、米国という人間集団の本質がむき出しになっています。この機に及んでも、一般大衆の生命よりも特権富裕階級の利益保護の方を優先させようとしているのには、開いた口がふさがりません。それは、南米での米国の傀儡の代表的存在であり、トランプ大統領の正確なスケールダウンモデルである、ブラジルのボルソナーロ大統領を見ていればよくわかります。人命の損失よりも経済界のご機嫌を損ねるのを怖れるあまり、「外出制限などもってのほか、新型コロナは普通の風邪と同じ・・・」などと発言する始末です。

 新型コロナウイルスの蔓延は、いつかは収束するでしょう。しかし、この世界は元の世界には戻らないと私は思います。戻れるはずがありません。戻してはなりません。世界の人々が、米国とは何かを見届けてしまった後に、また元のままの世界に戻るとは、私にはどうしても考えられません。

 次回には新型コロナウイルスの蔓延に対するキューバの行為を讃える『A New Humanity, A New World』と題するアフリカの労働運動家による記事:

https://libya360.wordpress.com/2020/04/03/a-new-humanity-a-new-world/

を訳出するつもりですが、その先触れとして、記事の結論部にあるチェ・ゲバラの美しい言葉をここに引いておきます。

“The life of a single human being is worth a million times more than all the properties of the richest man on earth.”

(一人の人間の命はこの世で一番の大金持ちの持ち物すべてよりもその百万倍以上の値打ちがある)

 

藤永茂(2020年4月8日)

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