私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

今頃になって決心がついた

2018-05-24 21:31:17 | 日記・エッセイ・コラム
 「世界最大の監獄」と呼ばれるパレスチナのガザ地区で、数万人のパレスチナ人がイスラエルとの国境沿いの場所に集結して、イスラエル建国(1948年)によって奪われた土地への復帰を求める非暴力の抗議デモを行いました。この参加者に対して、5月14日、イスラエル軍は容赦なく実弾を浴びせて、60人の死者、おそらく3000人近くの負傷者がでる大惨事となりました。
 このイスラエルの暴挙に対して、私が常々信頼を置く人々から、全く口籠もるところのない、截然とした非難の発言がなされました。私はそれに背中を押されて、やっと決心がつきました。今からは、イスラエルという国とユダヤ人を、私に可能な限りにおいて、直視することにしようと心を決めました。ナチ・ホロコースト、つまり、ユダヤ人受難の問題と原爆の問題、広くは、大規模無差別爆撃の問題は、人間が人間に加える悪魔的「悪」の問題として、敗戦後から今日まで、私の心中に蟠踞し続けてきました。
 もう時間切れの恐れが多分にありますが、出来るものならば、死ぬ前に、この問題について自分なりに納得できる一つの答えに達したいと思います。ナチ・ホロコーストとヒロシマ・ナガサキが、どのような形にしろ、絡み合った一つの問題として胸の中にある老人たちが多数居るのではないかと私は推測し、これから先、この拙いブログを通じて、そうした仲間に問いかけをして、一緒に考えてもらいたいと願っています。
 Paul Craig Robertsは以下のような文章を書いています:
「Chris Hedges, America’s Last Real Journalist, a profession now owned by propagandists hired by interest groups to tell their lies, gives us reason to think—Are Israelis God’s Chosen People or Satan’s Genocidal Racist Psychopaths?」
「Some Jews have an extremely high moral consciousness, whereas most Israelis seem to have no moral conscience whatsoever.」
「Watch the film, “Killing Gaza,” and see if you can find any semblance of a moral conscience in the Israeli government. Support this film. It is very important for the moral consciousness of mankind, which is the only factor that prevents nuclear war.」

https://www.paulcraigroberts.org/2018/05/14/build-house-israel-destroys-raise-child-israel-kills/

 Glen Ford は次のような文章を書いています:
「The great nakba, or “catastrophe,”began in 1492, when Christopher Columbus proclaimed the lands of the “Indies” for Spain. Within half a century of his voyage, 95 percent of the inhabitants of the America’s had been killed by European-borne diseases, war, famine and enslavement: 100 million dead , or one out of every five human beings on the planet, the most catastrophic loss of life in recorded history.」
「With the fall of white rule in South Africa in 1994, Israel is now the world’s last apartheid state, a government based on ethnic and racial supremacy. Its very existence is an insult to humanity. Israel is the antithesis of civilization. It is, by nature, racist barbarism. So, it is no wonder that the scenes from Gaza look like the movie Schindler’s List , where the Nazi concentration camp commander took sport in randomly shooting inmates from his window.」

https://www.blackagendareport.com/500-years-nakbas

 Robert Fisk は次のように書いています:
「Monstrous. Frightful. Wicked. It’s strange how the words just run out in the Middle East today. Sixty Palestinians dead. In one day. Two thousand four hundred wounded, more than half by live fire. In one day. The figures are an outrage, a turning away from morality, a disgrace for any army to create.」
「“It’s a great day for peace,” Israel’s prime minister, Benjamin Netanyahu, announced. When I heard that, I wondered if my hearing was defective. Did he actually say those words? Alas, he did.」

https://www.counterpunch.org/2018/05/18/how-long-will-we-pretend-palestinians-arent-people/


藤永茂(2018年5月24日)
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トーマス・マートンも暗殺された

2018-05-03 20:49:02 | 日記・エッセイ・コラム
 この私のブログの記事『巨悪』(2015年11月17日)は短いので、全文を以下に再録します:
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 トーマス・マートンのエッセー集『RAIDS on the unspeakable』を入手して読み始めました。一度通読しましたが、あまりよく分かりません。マートン自身はこのエッセー集をRAIDSと呼びます。ごく仮に『闇の奥の奥への遊撃』とでも訳しておきましょうか。the unspeakableは「言葉にならない巨悪」のようなものを指しているのだと思います。この本を開いて最初に出会うのはフランスの実存主義哲学者でキリスト教徒のガブリエル・マルセルの次の言葉です。:
「現今、哲学者の第一の、おそらく唯一の義務は、人間を人間自身から守ることである。:そうとは意識しないままに、あまりにも多くの人たちが屈してしまった非人道的行為へのあの異常な誘惑に抗い、人間を守ることである。」

 マートンのこの本は、長く(私は年寄りなので死ぬまで)私の心から離れないことでしょう。これは、マートンというキリスト教修道僧の静謐にしてしかも強烈な精神に映った、いわゆる“60年代”の世界の、そして人間の状況です。1963年11月22日12時30分、ジョン・ケネディ大統領がダラスで射殺された事件を、私は、サンホゼのIBM研究所内での臨時ニュース放送で知りました。同僚の研究所員たちの興奮が昨日のように思い出されます。“60年代”のアメリカは暗殺の時代でした。:ジョン・ケネディ(1963年)、マルコムX(1965年)、マーチン・ルーサー・キング(1968年)、ロバート・ケネディ(1968年)、フレッド・ハンプトン(1969年)。我々は、これに更にトーマス・マートン(1968年)の名と加えるべきなのかもしれません。恐ろしいことです。
 しかし、彼は身に迫る死の予感を語ろうとしていたのではありません。言葉にならない大きな悪の力の存在を我々に告げ、それに立ち向かう方途を共に見いだすことを試みたのであろうと、私には思われます。(『巨悪』終り)
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 数日前、トーマス・マートンは、やはり、米国当局によって暗殺されたことを私は知りました。暗殺を証拠立てる書物が出版されたのです。注文しましたが、入手はまだ先です。この書物についての論考は次の二つのサイトで読むことができます(同内容):

https://www.globalresearch.ca/speaking-the-unspeakable-the-assassination-and-martyrdom-of-thomas-merton/5637986

https://dissidentvoice.org/2018/04/speaking-the-unspeakable-the-assassination-and-martyrdom-of-thomas-merton/

上に再録した私のブログ記事『巨悪』は、2015年11月8日付の記事『トーマス・マートン、ショウクウェイ・ルムンバ、暗殺大国アメリカ』:

https://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/f0380e7341e6b04a69b9ebf02656a0be

の続きの記事です。こちらも読んでいただければ幸いです。
 トーマス・マートンは私の大好きな人なので、彼が米国当局によって暗殺されたことを確認した今、胸中の怒りは抑えがたいものがあります。しかし、家庭的な理由から、血圧の急上昇で頓死することのないよう精一杯努めています。


藤永茂(2018年5月3日)
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チョムスキーさん、これはいけません

2018-05-03 20:41:18 | 日記・エッセイ・コラム
 NYRB(ニューヨーク・リビュー・オブ・ブックス)の電子版(4月23日)に『ロジャバ防衛の呼びかけ』という公開書簡が載りました。呼びかけの主体はEmergency Committee For Rojava(ロジャバ内容は防衛緊急委員会)、書簡の内容は下のサイトでも読めます:

https://defendrojava.org

呼びかけ人のリストに、米国のアナキスト哲学者マレー・ブクチンの娘さんの女性ジャーナリスト、デビー・ブクチン、フェミニストで知られるグロリア・スタイネム等とともにノーム・チョムスキーの名があります。
 ロジャバ革命を守ろうという呼びかけには私は大賛成ですが、問題はこのロジャバ防衛の公開書簡の内容です。こんなことが書いてあります:
While the attack on Afrin is a violation of international law comparable to those of the Assad government, the Trump administration has made only feeble protests against President Recep Tayyip Erdoğan’s depredations.
「アフリンに対する攻撃はアサド政府の所業に匹敵する国際法違反だが、トランプ政府はエルドアン大統領の略奪行為に対して弱々しい抗議を行っただけだ。」
これは一体何のことか! シリアに関して、最も重大な国際法違反を行なっているのは、米国政府そのものです。アサド政府はどのような国際法違反(those、つまり、複数の)をしたというのですか?こんな言い方したくありませんが、例えアサド政府が自国民を虐殺しても国際法違反にはなりません!米国の警官が国内の無辜の黒人たちを如何に多数ガンダウンしても、国際法違反にはならないのと同じです。
 この書簡には、この緊急委員会からの米国政府に対する要請として
• continue military support for the SDF.
とはっきり書いてあります。今は時間の余裕がないので詳しい説明はまたの日に行いますが、私の見解、あるいは、予想では、ロジャバ革命の究極的な失落と終焉をもたらすのは、トルコの対クルド政策ではなく、米国のSDF傭兵化政策です。

藤永茂(2018年5月23日)
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