私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

IS(Daesh)はやはり守られている

2017-08-28 21:46:27 | 日記・エッセイ・コラム
 ISというテロ集団が米国によって操作されていることは確かですが、一般の大多数の人々がそのことを信じないように全世界的な言論操作がなされています。しかし、よく注意していれば、その操作の水漏れ箇所を見つけることができます。今日は、その例を二つだけ挙げます。
 一つは、ウエブサイトYouTubeが、8月23日、ロジャバ革命の人民防衛組織であるYPGのアカウントを一方的に閉鎖したのに、ISのアカウントはそのままで、彼らが世界に流したいビデオを、今まで通り、YouTubeにアップ出来るままになっている、という厳然たる事実です。

https://anfenglish.com/features/youtube-closes-ypg-account-21701

もう一つは、私が信頼するAlexandra ValienteのSyria 360に出た報道記事です。それによると、シリアの各地の戦場で、米軍は、ヘリコプターを使って、IS軍の幹部やその家族を安全な場所、あるいは、作戦計画に従って別の場所に移動させているというのです。

https://syria360.wordpress.com/2017/08/26/us-continues-heliborne-operations-to-evacuate-isil-terrorists-from-eastern-syria/

ISが本質的には宗教集団ではないということは以前にも断定の記事を書きましたが、しかし、実際にテロの実行犯としてシリアやイラクの戦場や世界各地で殺されて行く若者たちの中には、金のためではなく、宗教的信仰の故に(宗教的に洗脳された結果)テロ行為に身を投じている人も多数いると思われます。彼らも巨大なテロの犠牲者なのです。こんな酷い話は断じて許されるべきではありません。これらの実行犯が犯す残虐行為をはるかに超える残忍さです。そのことを思うと、まさに、怒り心頭に発します。

藤永茂(2017年8月28日)
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Alexandra Valiente (Libya 360 その他)

2017-08-25 14:01:34 | 日記・エッセイ・コラム
 この女性については、3年近く前(2014年12月10日)にこのブログで

『Alexandra Valiente, Libya 360』

http://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/a7d17d94b05cb72fdb6abab99151ae57

というタイトルで書きました。リビアというアフリカ大陸で最もよく栄えていた国が米欧の暴力によって滅ぼされて以来、この女性には大変お世話になっています。昨年、アレクサンドラさんのインタビューがlibya360に出ました:

https://libya360.wordpress.com/2016/04/22/understanding-libya-part-i-an-interview-with-alexandra-valiente/

https://libya360.wordpress.com/2016/05/24/understanding-libya-part-ii-interview-with-alexandra-valiente/

冒頭には彼女の紹介があって参考になります。お読みください。リビアを自分たちの国として取り戻したいと願うリビア人の真実の声を聞きたければ、この女性が主宰しているサイトの記事を読むのが一番です。リビアについてだけではありません。シリアについても、ベネズエラについても、最高の情報源の一つだと私には思われます。
 上掲の2014年12月10付けのブログの中で引用したAxis of Logicの2011年9月5日付けの記事をここで再引用します。これは二日前の9月3日のAxis of Logicに出たリジー・フェランというジャーナリストによる記事に対するアレクサンドラ・バリエンテのコメントです:

http://axisoflogic.com/artman/publish/Article_63703.shtml

この2011年9月5日という日付はリビアの指導者カダフィが惨殺される一ヶ月ほど前であることに注意してください。原文を以下に掲載します。拾い読みで結構ですから読んでみてください:

Witnessing the Transition to fear in Tripoli
by Lizzie Phelan, Independent Journalist.
Axis of Logic


Libya is a very complex situation. One cannot possibly arrive at conclusions without doing extensive research and speaking to Libyans and Independent journalists who have been there. Far too much has been made of Gaddafi. This is part of the mainstream media psy-ops to distract people from the real threat Libya posed. 



Gaddafi has held no official position since 1977.


He is honored as the brother leader of the revolution. The official Libyan government is based on a system of direct democracy, where people's committees, the tribal councils, women's councils are the core or center of power. Their decisions guide policies for the entire nation. The Green Book is a guideline outlining how the Libyan system works and from both a political and philosophical perspective, is well worth taking the time to read. Download Col. Gaddafi's Green Book
There is much common ground between the Jamahiryah and the Bolivarian revolution.
Libya is the great impediment, one of the last strongholds against the "New World Order." It represents the antithesis of the globalist vision or the world, which is a vision I can assure you, none of us would support if we understood the full and terrible scope of it. Have no illusions. This is not just about Libya. This is a brutal war for total global hegemony by an elite few at the expense of humanity and this planet.
 
Lizzie has given us a glimpse of her last impressions of Tripoli, not a treatise on the entire Libyan situation. She never stated that it was. 
 
As it stands, her article is brilliant, honest, sensitive and effectively conveys the sorrow and genuine concern she feels for the people she has come to love who are now in great danger.

It whispers hints of the Libya that was and may yet again be, but she offers us a choice of either embracing our humanity, accepting that in our collective struggle for sovereignty and freedom, we are all "Libyans", or clinging to prejudice, continuing to support the NWO in all its manifold constructs as it closes in to snuff out the last ray of light.
With the events in Venezuela, Africa, the Middle East and the encroaching police state and economic hardships at home, people will be inclined to unite and resist rather than fight against each other.

- Alexandra Valiente


 今あらためて彼女のこの文章を読むと、この注目すべき女性の確固たる視点が奈辺にあるかが、その視点、思考が如何に揺るぎなく強靱であるかが良く分かります。皆さんもこの女性の声に是非耳を傾けてください。

藤永茂(2017年8月25日)
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Glen Ford (Black Agenda Report)

2017-08-23 21:32:02 | 日記・エッセイ・コラム
 グレン・フォードと言えば、往年のハリウッド映画白人男性スター(Glenn Ford)を思い出す方々もあるでしょうが、今日紹介するのは、私が現在最も信頼する黒人ジャーナリストで、Black Agenda Reportというウェブサイトの主宰者です。このサイトを運営している人々のことは

https://www.blackagendareport.com/content/about-us

に出ていますが、それよりも毎週水曜日に更新されるBlack Agenda Reportそのものを読んでください。次の記事は、グレン・フォードの造語と思われるBlack Misleadership Classという言葉が主題です。

https://www.blackagendareport.com/indecency-black-misleadership-class

米国の国会議員になっている黒人は、米国の4千万人の黒人の指導者としての立場にあるべき人々ですが、実際には、彼ら(彼女ら)は4千万人黒人が道を踏み間違うように導いている(mislead)というのがグレン・フォードの見解であり主張です。
 国会、政府(行政機関)、民間企業、民間団体の高い地位を占める黒人の数が増えることは、そのまま、黒人をめぐる状況が、真の意味で、改善されることには必ずしもつながりません。むしろ逆効果を生むことの方が多いかもしれません。「黒人」を「女性」と入れ替えても同じでしょう。支配機構の中に組み入れられた「黒人」あるいは「女性」は、自らが支配層の中にあることからくる特権を享受することを選び、「黒人」あるいは「女性」をめぐる状況を改善する責務は捨ててしまいます。これは、支配層の思う壺にハマるということ、いやいや、もともと支配層がそれを狙って仕組んだことであるのです。黒人大統領オバマの実現がその最高の事例であり、黒人女性の例としては、グレン・フォードが上掲の記事の中で見事に捉えているように、スーザン・ライ(Susan Rice)がいます。
 この狂いに狂った世界では、過去20年間にアフリカのコンゴで行われた(行われている)6百万人の大虐殺が、依然として、ほとんど何の問題にもなりませんが、この大虐殺進行の直接最大の責任者がスーザン・ライスです。彼女についてグレン・フォードが書いた文章を読んでみましょう:

No one has been more intimately involved in the ongoing slaughter of Congolese over the past 21 years than Susan Rice, who was serving as special assistant to President Bill Clinton and senior director for African affairs in 1996, when the U.S.-backed militaries from Rwanda and Uganda invaded the Democratic Republic of Congo. To date, the invaders have caused the deaths of at least 6 million people, the largest genocide since World War Two. Much of Congo’s mineral wealth has wound up in Rwanda, on its way to multinational corporations. Under President Obama, Rice became U.S. ambassador to the United Nations where she did everything possible to shield Rwanda and Uganda (and, ultimately, U.S. imperialism) from censure and punishment for the crime of genocide.
These were precisely the credentials that put Rice at the top of the list to succeed Hillary Clinton as secretary of state. Predictably, Republicans zeroed in on Rice -- not, of course, for her crimes against Congolese humanity, but to make her a foil for the jihadist attack on the U.S. consulate (CIA arms distribution depot) in Benghazi, Libya. The Congressional Black Caucus rallied to Rice’s defense, embracing her as a sister in distress. Thanks to Friends of Congo and other activists, all of these Black lawmakers had been made aware of the abominations committed by U.S. allies in Congo, and of the U.S. role in covering up their crimes during Rice’s tour at the UN. A handful had served on congressional subcommittees on Africa. But 6 million dead Congolese were of no consequence when weighed against the representational value of yet another Black U.S. secretary of state.

コンゴとルワンダについて、私は随分と前から強い関心を持ち続けています。このブログでも繰り返し取り上げてきましたし、その前にも、2006年に「『闇の奥』の奥」と題する単行本を出版しました。グレン・フォードが言っていることは真実です。
 グレン・フォードのBlack Agenda Reportを私たちが何時まで自由に読めるかわかりません。グレン・フォード自身が筆を曲げてまでBlack Agenda Reportを続けることはありますまい。容貌から判ずるに、この優れた人物の中にはオバマ以上に白人の血が混じっていると思われます。

藤永茂(2017年8月23日)
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Robert Fisk

2017-08-15 23:03:13 | 日記・エッセイ・コラム
 シリア戦争に関して、私が最も信頼するジャーナリストはロバート・フィスクです。彼の名をここに掲げようとして、私は、初めて、ウィキペディア(英文)の記事をチェックして、彼が極めて高い国際的評価を受けている卓抜なジャーナリスト兼著作家であることを知りました。この人に対する私の信頼は、中東の情勢についてのロバート・フィスクの多数の報道記事、論考を読み続けるうちに固められたものです。彼は独特のスタイルを持った文章を書きます。私の英語力では読みこなせない面があると思われますが、文面からひしひしと伝わってくるものがこの人の強靭な精神と柔軟な感性であることは疑う余地がありません。
 英国の「インデペンデンス」紙に出た彼の最近の記事「Why Israel and Saudi Arabia are united against Al-Jazeera」は、カタールのテレビ局アルジャジーラをイスラエルとサウジアラビアが潰しにかかっていることを論じたものですが、その文章の一部を抜粋します:

https://zcomm.org/znetarticle/united-against-al-jazeera/

■Being an irrational optimist, there’s an innocent side of my scratched journalistic hide that still believes in education and wisdom and compassion. There are still honourable Israelis who demand a state for the Palestinians; there are well-educated Saudis who object to the crazed Wahhabism upon which their kingdom is founded; there are millions of Americans, from sea to shining sea, who do not believe that Iran is their enemy nor Saudi Arabia their friend. But the problem today in both East and West is that our governments are not our friends. They are our oppressors or masters, suppressors of the truth and allies of the unjust.■
「不条理な楽観主義者であるため、古参のジャーナリスとして擦り傷の痕で覆われた私の外皮には、未だに教育や分別や思い遣りといったものを信じる無垢の側面がある。パレスチナ人のための国を要求する立派なイスラエル人が依然として存在する;よく教育を受けたサウジアラビア人には、彼らの王国がその基礎を置く狂的なワーハーブ主義に反対する人々が居る;イランが敵であるとも、サウジアラビアが友達であるとも考えない何百万もの米国人が、北米大陸の東の海から西の海までの全土にわたって、存在する。しかし、西側と東側の両方での今日の問題は、我々の政府が我々の友達でないということだ。彼らは我々の抑圧者か御主人様であり、真実の隠蔽者、正しからざるものの味方なのである。」
この私の翻訳文のよたよた振りと原文の爽やかな強靭さを比較翫賞してください。
 私にとって大変困ったことに、最近、ロバート・フィスクは我がロジャバ革命にとって、致命的に暗い予言を発しました。ロバート・フィスクの発言のタイトルは「Woe to the Kurds (クルドへの悲嘆)」です:

https://zcomm.org/znetarticle/woe-to-the-kurds/

これについては回を改めて報告します。

藤永茂(2017年8月15日)
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John Pilger (ジョン・ピルジャー)

2017-08-12 21:49:50 | 日記・エッセイ・コラム
前回はPaul Craig Roberts を私が最も信頼する論客の一人として紹介しました。今回はJohn Pilger (ジョン・ピルジャー)の最近の論考を紹介します:

http://johnpilger.com/articles/on-the-beach-2017-the-beckoning-of-nuclear-war

ポール・クレイグ・ロバーツもジョン・ピルジャーも、今更、私が紹介する必要のない名前ですが、前回のポール・クレイグ・ロバーツの文章に勝るとも劣らず、今回のジョン・ピルジャーの文章の筆鋒の鋭さはあまりにも見事なので是非一読をお勧めしたいと思った次第です。
 ここまで書いた所で他事にかまけて筆を止めていましたら、『マスコミに載らない海外記事』に訳出されました:

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/2017-k-c3bc.html

迫り来る核戦争が主題ですが、先ずは、オバマ大統領についてのジョン・ピルジャーの評価に注目しましょう:
「オバマが大統領の座を去った際、彼はアメリカ最長の戦争や、裁判なしの殺害、無人機による殺人という未曾有の作戦を含め記録的な七つの戦争を統轄していた。
任期最後の年、外交問題評議会の研究によれば“不本意なリベラル戦士”オバマは26,171発の爆弾、一日24時間、一時間に三発投下した。核兵器を“世界から無くす”ようにすると誓ったノーベル平和賞受賞者は、冷戦以来どの大統領より多くの核弾頭を製造した。
それと比較すればトランプは意気地なしだ。現代国家としてのリビアを破壊し、ヨーロッパへの人々の殺到を起動したのは、ヒラリー・クリントン国務長官を従えたオバマだった。彼はアメリカ国内では、移民団体には“強制送還最高司令官”として知られている。
大統領としてのオバマ最後の行動の一つは、アメリカ合州国支配におけるファシスト軍国主義の圧倒的優位を反映した、記録的な6180億ドルをペンタゴンに与える法案の署名だった。」

 私は、バラク・オバマが米国大統領になる以前から、一貫して彼を“稀代のコン・マン(詐欺師)”と位置付けて今日に及んでいます。ジョン・ピルジャーも早い時期から同様の判断を下していました。私は、このブログの2008年2月27日付けの記事『オバマ現象/アメリカの悲劇(1)』に始まって、オバマ大統領に関する多数の記事を書いてきましたが、今の時点で振り返って、訂正すべきことはほとんどありません。ご参考までに、上掲の記事のはじめの部分をコピーします:
■今年2008年はアメリカの第44代大統領選挙の年、アメリカのメディア(したがって日本のメディア)は、民主党の候補指名をめぐって、バラク・オバマ氏の話で持ち切りです。なにしろ、米国初の黒人大統領が生まれるかもしれないのですから。
 オバマという名前が私の注意を引いたのは2004年のことでした。ハワイ出身のオバマという米国政界の新星の出現が報じられた時、私は日系人かと思いました。ハワイ出身の上院議員としてはダニエル・イノウエ氏が有名なので、井上に続いて小浜か、と思ったのでした。バラク・オバマの父はケニヤのルオ族出身の黒人、母はカンサス州出身の白人、二人はハワイの大学の学生として知り合って結婚し、1961年息子のバラク・オバマ誕生。しかし、父母は2年後に別居、やがて離婚。父親の方はハーバード大学大学院に学び、ケニヤッタ大統領統治下のケニヤに帰って政界に進出、1982年交通事故死。母親は前夫と同じく外人留学生としてインドネシアからハワイにやってきたソエトロ氏と再婚して、1967年、息子を連れてスハルト独裁下のジャカルタに移住しましたが、オバマ少年は10歳の時ハワイの母方の祖父母の下に帰って私立学校で学業に励みます。母親も1995年子宮がんで亡くなりましたが、この白人女性は、私には、マルグリッド・デュラスの小説の中にでも出てきそうな女性のように思われます。
 バラク・オバマの生い立ちのストーリーも面白そうですが、私の関心事は「オバマ現象」と呼ばれるアメリカの政治的社会的現象です。この言葉は私が自分で思い付いて使い始めたつもりだったのですが、少し調べてみると、バラク・オバマが、2004年6月、民主党全国大会で行った基調演説によって、一躍、政界の新しいスターにのし上がった直後から、アメリカのメディアで使い始められた言葉のようです。
 「オバマ現象」とは何か。政治的社会的現象としては、マスコミが騒いでいる御覧の通りの現象です。断然有利と伝えられていた白人女性候補ヒラリー・クリントンを、白人人口98%のアイオワ州やウィスコンシン州でも楽々と打ち負かして破竹の進撃を続ける黒人バラク・オバマ、テレビの映像を見ると、颯爽とマイクを握る彼のうしろにびっしりと並ぶ若い顔、中年男女、お年寄り、殆どすべては白い顔、これが「オバマ現象」です。このハンサムな黒白混血46歳の政治家のキャッチフレーズは、変化(Change)、夢(Dream)、希望(Hope)、そして、「きっとやれる(Yes, we can!)」です。この頃では、前から結構辛口の政治評論家と私が思っていた英国人までが「オバマなら、ブッシュがすっかり台無しにしてしまったアメリカを変えられるかもしれない。アメリカ人の多くがそれを望んでいるのだ」と発言するまでになっています。しかし、「オバマ現象」を前にしての私の想いは全く違います。今日のブログのタイトルを「オバマ現象/アメリカの悲劇」とした所以です。「オバマ現象」はアメリカの悲劇と呼ぶにふさわしい現象です。私にはこれを「アメリカの喜劇」あるいは「アメリカの笑劇(farce)」と呼びたい気持もありますが、それは不謹慎というもの。世界最強の国家アメリカ合衆国政府の不遜な一挙一動で、国外の何十万、何百万の人間に言い知れぬ苦難が襲いかかることになるのは、いま現在、我々がこの目で見ている事なのですから。また、私は、もしバラク・オバマがアメリカの大統領になったら、アメリカの国外、国内の政策がどのように変化(CHANGE!)するかについての予言をしようというのでもありません。今、われわれの眼前で展開している「オバマ現象」は何故起ったのか、何がその本質なのか、に就いてしっかりと考えてみたいのです。「オバマ現象」は、ごく荒っぽく捉えれば、白人アメリカの「集団ナルシシズム」と表現できるかもしれません。しかし、この表し方には、致命的な誤りがあります。神話のナルシスは水面に映る自らの美しい容姿に恋いこがれて死に至りますが、白人アメリカが本当の自分の美しい姿を映していると信じ込んでいる鏡は、実は、悪魔がかざす魔の鏡であり、そこに映っているのはアメリカの本当の姿ではありません。喩えが安っぽくなり過ぎましたが、「オバマ現象」がアメリカを死に至らしめる病となる可能性は、やはり、否めません。「オバマ現象」は白人アメリカがバラク・オバマを待ちに待ったメシアとして熱狂的に迎えている現象ではなく、黒人の男をアメリカ合衆国大統領として擁立しようと熱心に努力する自分たちの姿こそ、アメリカ白人の心の正しさ、寛容さ、美しさを映すものであるとする自己陶酔、自己欺瞞こそが「オバマ現象」の真髄である--これが私の言いたい所なのです。私の根本的な見方なのです。私には、この立場に固執し、この考えを読者に理解して頂きたいという強い思いがありますが、そう簡単に理解して下さるとは思えませんので、ゆっくりと説明することに致します。■
バラク・オバマという黒白混血の米国大統領の出現が米国の“死に至る病”の症状の一つであることはもはや明確ですが、米国はT. S. エリオットの詩の一行;Not with a bang but a whimper のようには終わってくれそうにありません。
 トランプ大統領は「米国は今までで最高の核武装をしている」と豪語しています。全くオバマのおかげです。核戦争については改めて書きます。

藤永茂(2017年8月12日)
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