私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

アフリカが、コンゴが危ない

2011-10-27 15:34:23 | 日記・エッセイ・コラム
この記事はカダフィが殺害され、日本の新聞各紙がリビアについての社説を出した10月22日(土)に書いています。読売,朝日、毎日、産経、日経、西日本をチェックしましたが、今回のリビア紛争を大局的に見た場合の核心がアフリカ問題であることにいささかでも触れた社説は見当たりません。この事の他にも心の凍る想いのする共通点がこれら六つの社説にありますが、今日はリビア問題がアフリカ問題である事を、これ以上の明確さは望めないような形で説いた John Pilger の論説の翻訳を試みます。この論説はカダフィ死亡の直前の10月20日に発表されました。原文は下記のサイトにあります。
http://www.johnpilger.com/articles/the-son-of-africa-claims-a-continents-crown-jewels
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『アフリカの息子、大陸の王冠宝器を要求』  ジョン・ピルジャー

10月14日、バラク・オバマ大統領はウガンダの内戦に参加するUS特殊部隊を派遣すると声明を出した。これからの数ヶ月間USの戦闘部隊が南スーダン、コンゴ,中央アフリカ共和国に送られるだろう。アメリカ兵たちは“自衛のため”にのみ“参加する”ことになろうとオバマは諷刺か何かのように言う。リビアを確保した今、アメリカのアフリカ大陸侵略の幕が切って落とされたのだ。

オバマのこの決断は“高度に異常”とか“驚くべき”とか、“不気味だ”とさえ新聞やテレビで記述された。そのどれも全くの的外れだ。この決定は1945年以来のアメリカ外交の論理そのものである。ベトナムをとってみよ。帝国主義的ライバルの中国の影響を止めるのがまず第一の目的、それにインドネシアを“保護”する狙いもあった。インドネシアを、ニクソン大統領は“あの地域の天然資源の最も豊かな宝の山、最大の掘り出し物”と形容した。ベトナムはたまたまその邪魔になったわけで、3百万人以上のベトナム人の命、ベトナムの大地の荒廃と毒物汚染はアメリカが野望を達成するための代償であった。その後の中南米、アフガニスタン、イラクと続く流血の軌跡が示す、アメリカのあらゆる侵略戦争の口実は常に“自衛”あるいは“人道主義”、これらの言葉は辞書にあるその意味をすべて空しいものにしてしまった。

オバマは、アフリカでの“人道主義的使命”はウガンダ政府が「神の抵抗軍」(LRA, Lord’s Resistance Army)を打ち負かすことを援助するにある、と言う。オバマが言うように、“LRAは中央アフリカで何万もの老若男女を殺し、レイプし、拉致してきた。”これは確かにLRAのやってきた事だ。だが、それは、アメリカが寄与し、執行させた幾多の残虐行為を想起させる。例えば、コンゴ独立の指導者で最初の合法的選挙で選ばれた初代コンゴ首相パトリス・ルムンバの、CIA主導による暗殺とCIA主導のクーデター、モブツ・セセ・セコの擁立に続く1960年代の大量殺戮、セコは金次第で何でもするアフリカの最高に腐敗した暴君と見なされた男だ。

オバマが口にする他の正当化もまた諷刺を招く。“アメリカ合衆国の安全のため”と言うのだ。過去24年間、LRAはひどいことをやってきたが、アメリカとしては殆どどうでもよい事だったのだ。現在、LRAは400人弱の戦闘員を持つだけで、すっかり弱体化している。しかし、アメリカの“安全をまもる”とは、通常、アメリカが手に入れたい「何か」を持っている腐敗した暴漢的政府を買収することを意味する。ウガンダの“終身大統領”ヨウェリ・ムセベーニは、既に、オバマお気に入りのdrones(無人攻撃機)を含むアメリカからの“軍事援助金”4500万ドルをほぼそっくり懐にしている。アメリカの最新版の幻の敵、ソマリアに根拠を置く烏合の衆のイスラム軍団シャバーブに対する代理戦争をアメリカに代わって遂行するための賄賂の分け前だ。そのRTA(リアル・タイム・アタック)は、間断なきホラー物語で米欧のジャーナリストの目を紛らす広報活動の役を果たすだろう。

しかしながら、アメリカがアフリカを侵略している主な理由は、ベトナム戦と同じだ。中国である。前米軍総司令官、今はCIA長官のペトラウス将軍が言う所の不断の戦争状態を正当化する、自己利益本位の組織的パラノイアの世界では、アメリカの公式の“脅威”として、中国がアル・カイダに取って代わったのである。昨年ペンタゴンで、私が国防長官補佐のブライアン・ホイットマンをインタビューした時、アメリカに対する“脅威”の現状についてコメントを求めると、ありありと言葉に窮した様子で“非対称的脅威、・・・、非対称的脅威”と繰り返した。こうした“脅威”がアメリカ政府が後援する武器製造巨大企業体のマネーロンダリング(不正資金浄化)と史上最高額の軍事予算を正当化している。オサマ・ビン・ラディンが抹殺されると、今度は中国というわけだ。

アフリカは中国のサクセス物語である。アメリカは無人攻撃機と不安定かを持ち込んでいるが、中国は道路や橋やダムを持ち込んでいる。中国がの欲しいのは天然資源、とりわけ石油だ。カダフィ支配下のリビアはアフリカ切っての石油埋蔵量を誇り、中国の最も重要な石油源の一つであった。リビアで内戦が勃発して、カダフィがベンガジで“大虐殺”を計画しているという捏造の理由を根拠にして、NATOが反政府勢力の支持を表明すると、中国はリビアで働いていた3万人を避難撤退させた。それに続いて国連安全保障理事会は米欧の“人道主義的介入”を許すことを決議したが、その理由が、先月のフランスの新聞リベラシオンによって直裁に明らかにされた。リビアの国家暫定評議会(NTC)が、リビアの全石油産出量の35%の提供と“引き換え”に、“全面的かつ永続的”な支援をフランス政府に対して行なっていたのだ。先月、“解放された”トリポリに星条旗を高々と掲揚しながら、US大使ジーン・クレツも“石油がリビアの天然資源の王冠を飾る宝玉だということは先刻承知している”とうっかり口を滑らしてしまった。

USとその帝国主義的パートナーによるリビアの事実上の征服は、19世紀末のScrample for Africa(アフリカの争奪)の現代版の開始を告げるものである。

イラクでの“勝利”と同様、ジャーナリストたちは、リビア人を価値ある犠牲者と価値なき犠牲者に二分することに決定的な役割を演じた。最近のガーディアン紙の第一面に、怯えきった表情のカダフィ側兵士とそれを引き捉えて狂気の目を輝かせる反カダフィ側兵士の写真を掲げ、“いざ祝え”とキャプションを付けた。ペトラウス将軍によれば、今や“ニュース・メデャを通じて行なわれる「知覚(perception)」の戦争”があるのだ。

これまで10年以上、アメリカはアフリカ大陸に攻略指令拠、AFRICOM、の設立を努めてきたが、それが引き起こす地域的緊張を恐れてアフリカ大陸のすべての国がその受け入れを拒否し続けてきた。リビア、そして今後はウガンダ、南スーダン、コンゴが、AFRICOM設定の主なチャンスを与えるだろう。ウィキリークスとUS対テロ国家戦略が明らかにしているように、アフリカに対するアメリカのプランは、暗殺班を含む6万人の特殊部隊がすでに世界の75カ国で活動していて、間もなくその活動範囲は120カ国に及ぶというものである。ディック・チェイニーが彼の1990年代の“防衛戦略”プランの中で明言したように、アメリカは、ひと口で言えば、全世界を制覇したいのである。

この状況が“アフリカの息子”であるバラク・オバマの贈り物だとは、何とも至上のアイロニーである。いや、そうだろうか? フランツ・ファノンが“黒い皮膚、白い仮面”(Black Skin, White Masks)で説いたように、肝心なのは皮膚の色ではなく、むしろ、オバマが奉仕する権力と、オバマが裏切る無数の人間たちのことであろう。
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リビアの問題は、そのままアフリカの問題なのです。この視点が失われては、何も見えてないのも同然です。


藤永 茂    (2011年10月27日)


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映画『ホテル・ルワンダ』

2011-10-19 09:27:00 | 日記・エッセイ・コラム
前回のブログ『残酷アメリカ』に山椒魚さんから頂いたコメントによれば、10月15日のBS放送(多分TBS)で映画『ホテル・ルワンダ』が放映されたとのことです。この映画については何度かこのブログで取り上げました。この映画は2004年の制作で、アメリカなどでは興行的にも成功していたのですが、日本ではアフリカについての関心の薄さが心配されて、公開が2年程遅れました。福岡で公開された時には小さな映画館に出かけて行きました。日本での映画館上映は、『ホテル・ルワンダ』日本公開を求める会(略称『ルワ会』)という団体の努力で実現しました。この団体のホーム・ページには次のような記事があります。
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2006年03月24日

駐日ルワンダ大使が、ヒロシマで講演

ルワンダの「虐殺記念日」、4月7日が近づいています。
その日に合わせて、ルワ会ともゆかり深いNGO「ピースビルダーズ・カンパニー」と広島市にある国連機関UNITARが、駐日ルワンダ大使を招き、講演会を開きます。 開催は6,7日です。

ピースビルダーズ・カンパニーは、
「ホテル・ルワンダ」のモデルとなったポール・ルセサバキナ氏を招いた
シンポジウムを1月6日に開催。映画公開を盛り上げてくださいました。

ちなみに大使は、以前、わがルワ会にもメッセージを寄せてくださっています。
http://blog.livedoor.jp/hotel_rwanda/archives/50163361.html

主催者HP
ピースビルダーズ・カンパニー
 http://www.peacebuilders.jp/
UNITAR(国連訓練調査研究所アジア太平洋広島事務所)
 http://www.unitar.org/hiroshima/jp/index.htm

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  「虐殺を経験した者として、ルワンダとヒロシマは同じです」

 ■駐日ルワンダ特命全権大使 エミール・ルワマシラボ閣下来広講演■
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2006年に『ホテル・ルワンダ』を観た時、私も立派な主題の立派な映画だと思いました。しかし、それからの5年間、私の初期の認識を揺るがす多くの事が起こり、それに連れて、私は実に多くの事を学び,ルワンダ虐殺についての考えも変わりました。
  私は『ルワ会』の人々の初期の善意を疑いません。しかしその方々は,あれから5年後の今、どんな風にお考えでしょうか? 例えばこの映画でドン・チードルが演じた主人公のモデル、つまり1994年のルワンダで、身の危険をかえりみず、1200人の命を救ったホテルの元支配人ポール・ルセサバギナ氏を、現時点で再び日本に招待して講演会を行なうことが出来るとお考えでしょうか? これは、私の個人的な推量ですが、いまそれを試みても、駐日ルワンダ大使館、いや日本の外務省がそれを許さないでしょう。
  ポール・ルセサバギナ氏が東京で講演したのは2006年1月6日です。ところが同年の11月にポール・ルセサバギナ氏は1994年の大虐殺を見事に終結させたとされていた大統領カガメのRPF(ルワンダ愛国戦線)軍が1990年から2006年までに犯した犯罪を告発する17頁の長さの公式文書をベルギーの首都ブリュッセルで発表します。:
# Compendium fo RPF Crimes ? October 1990 to Present : The Case for Overdue Prosecution. (1990年から現在までのRPFの犯罪の概要:遅延が許されない告訴の申し立て)#
内容は、フツ族の一般民衆が鉈や鎌や棍棒などを振って100日間に80万人のツチ族の人々を惨殺した大虐殺ばかりが告発断罪されて、RPF側がいわゆるルワンダ・ジェノサイドの以前,最中、その後にフツ族に対して犯した殺戮行為が無視されていることに厳しい告発を行なったものでした。これを公にしたことで、それまでルワンダ国内で国民的英雄に成りかけていたポール・ルセサバギナはカガメから命を狙われるほどの国賊になってしまいました。
  このブログのシリーズでは2010年の6月から8月にかけて『ルワンダの霧が晴れ始めた』というタイトルで7回にわたってルワンダの事を論じました。また最近では2011年8月3日に『NHKの「ルワンダ仕組まれた大虐殺」』と題した記事も掲載しました。ルワンダ問題に関心をお持ちの方はお読み下さい。そうすれば、2006年のポール・ルセサバギナの告発は事の真実を衝いていたと判断していただけると思います。
  今日は、つい先頃気が付いた極めて重要な興味深いドキュメンタリー映画のことを報告します。まず『元PKO部隊司令官が語るルワンダ虐殺』という長さ9分弱の記録映画について。これはカナダで2004年に制作され、2005年(?)にNHKの『戦後60年「歴史を変えた戦場」』という番組の中で、日本語吹き替えで放映されたもののようです。
http://www.youtube.com/watch?v=9Qs13o_kSic
これは
“SHAKE HANDS WITH THE DEVIL The Journey of Roméo Dallaire ”
というタイトルの約一時間半の長さの記録映画の最後の20分ほどの部分をNHKが編集して仕上げたものと思われます。この原作は、カナダのNHKにあたるCBCテレビとCBCラジオが積極的に参加して、White Pine Pictures という会社によって2004年のルワンダ大虐殺10周年の2004年に制作されました。その全体は次のサイトで見ることが出来ます。:
http://alwaysinrepair.tumblr.com/post/7589250603/shake-hands-with-the-devil-the-journey-of-romeo
このドキュメンタリーは私にとって大変見応えがあり、もし機会があれば、それについてお話したいと思いますが、今日はNHKで放映された超圧縮版について少しコメントします。
  このNHK版で特に注意を払って頂きたい個所が二つあります。一つはこの記録映画の主人公ロメオ・ダレールが「カガメは本当は残忍な人間です。10年程前、私たちは外交ルートなどを通じて問題を解決しようとしましたが、カガメは聞く耳を持たず、結局それが大量虐殺を招いたのです」と言っている所です。そのあと直ぐ、ビル・クリントンが「こんなひどいことになっていたなんて全然知らなかった」と真っ赤な大嘘をつく場面が出て来ます。これについて、当時、国連アフリカ担当特使であったカナダの政治家ステファン・ルイスが苦りきった表情で「クリントンはルワンダで起きていたことを正確につかんでいたと思います。・・ それを後になって何も知らなかったと言うのです。冗談じゃない。クリントンは知っていましたよ」と言い放ちます。
  ロメオ・ダレールもステファン・ルイスもこれらの発言については十分信頼の置ける証言者です。この二人の重要証言を合わせると「カガメにルワンダ大虐殺の責任があり、クリントンは万事承知の上だった」ということになります。これは日本の多くの人々にとって大変意外なことではありませんか? アメリカでは、したがって日本でも、ゴーレイヴィッチやサマンサ・パワーの著作の影響で、クリントンを筆頭にアメリカ政府は他の事にかまけて、ルワンダのことはすっかり忘れてしまっていたと信じられていますから。
  もう一つ、これはごく最近の出来事ですが、「誰がフツ族出身のルワンダ大統領を暗殺したか」というルワンダ・ジェノサイドをめぐる最大のミステリーに答を与えるかも知れない事件が起こりました。1994年4月6日、ルワンダ大統領ジュベナール・ハビャリマナの乗った飛行機がルワンダの首都キガリの国際空港上空で着陸姿勢に入った時、地上から発射された二発のミサイルによって撃墜され、まるでこれが引き金になったように大量虐殺が暴発的に始まりました。フツ族の過激派がやったという説がもっとも一般に流布していますが、いや、カガメがやったのだという人も絶えません。ところで、去る10月4日、虐殺当時カガメ氏の側近でRPF(ルワンダ愛国戦線)の幹部であり、後にはカガメ政府のワシントン駐在ルワンダ大使を務めたTheogene Rudasingwa という人物が、「カガメがハビャリマナ暗殺を命じた」という衝撃的発言を行なったのです。これは重大ニュースですから幾つかの大小メディアが報じましたが、例えば、イギリスのBBCの記事は、
http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-15165641
にあります。この発言でルダシングァ氏は暗殺される危険に身を曝すことになるでしょう。今はアメリカにいます。
  ステファン・ルイスについてもう少しお話ししましょう。ウィキペディアから少しコピーします。
■ Stephen Lewis is the son of former federal NDP leader David Lewis. He is married to Canadian journalist Michele Landsberg. Their son is Canadian broadcaster Avi Lewis, who married journalist and author Naomi Klein, and their daughters are Ilana Naomi Landsberg-Lewis and Jenny Leah Lewis; Ilana is the partner of musician and activist Lorraine Segato,[16] and serves as executive director of the Stephen Lewis Foundation. ■
皆さん御存じのナオミ・クラインはステファン・ルイスさんの息子さんの奥さんです。私は約40年間のカナダ生活を通して、お父さんのデイヴィッド・ルイスとその息子のステファン・ルイス、二代にわたる立派な社会主義政治家親子に馴染みました。(もちろん個人的にではありません。)NDPはNew Democratic Party の略称で、カナダらしい健全な社会主義政党で、日本にくらべて遥かに大きな影響をカナダ社会で保持しています。英語を読んで頂いたついでに、以前に取り上げたナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』の原書巻末の謝辞の冒頭の部分を引用します。:
■ This project would simply not have been physically, intellectually, or emotionally possible without my husband, Avi Lewis. ■

最後に1時間半の原版“SHAKE HANDS WITH THE DEVIL The Journey of Roméo Dallaire ”についてもう一度。この記録映画の主人公ロメオ・ダレールの映画の中での発言内容は実に興味深いものです。この人物がルワンダという国に関して果たした役割、果たしつつある役割はじっくり考え直す必要があります。ご当人はどちらかと言えば常識的な単純な人物でしょう。カガメがいみじくも映画の中で言い捨てたように、ダレールは「複雑な国際的状況の中での一つのpawn (小さな駒)に過ぎなかった」のだと、私も思います。この国際チェスの歩(ふ)を動かしていた(動かしている)手をこそ我々が凝視すべきものなのです。


藤永 茂     (2011年10月19日)


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残酷アメリカ

2011-10-12 11:02:33 | 日記・エッセイ・コラム
 Cruel America、これは、最近、アメリカの著名雑誌『ネーション』に掲載されたジョナサン・シェルの論説の表題です。ジョナサン・シェルはアメリカで早くから核抑止論に反対を表明した反核ジャーナリストとして有名で、今回の福島原発事故についても積極的に発言していますから御存じの方も多いでしょう。30年前、彼が雑誌『ニューヨーカー』に連載した『地球の運命』という記事をゼロックスでコピーして熱心に読んだ時のことを私はよく憶えています。和訳本は今は入手しにくそうですが、短い紹介が見つかりましたので転載させてもらいます。:
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ジョナサン・シェルの『地球の運命』

雑誌『ニューヨーカー』の記者(当時)ジョナサン・シェル(1943- )が1982年に同誌に連載した核兵器の脅威を描いた著作です。1981年から82年にかけて全米各地で反核運動が高まり、核兵器に関する著作が相次いで出版されましたが、そのうねりを創り出したとさえ評価されています。?3部構成で、第1部(虫と草の国)では、全面核戦争が勃発すれば、ほとんどの生物が死に絶えることを指摘し、このような恐れがある限り、核戦争を行ってはならないことを強調しています。第2部(第二の死)では、核戦争の結果、人類の絶滅によって、新しい世代の生まれる可能性が無くなる事態が生ずるとし、これは将来に対する最大の犯罪であると言っています。第3部(選択)では、核戦争を防ぐための核抑止論が人類絶滅の脅威を高めている矛盾を論証し、核兵器を廃絶する行動を起こすべきだと訴えています。
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さて、ジョナサン・シェルの最近の論説『残酷アメリカ』ですが、著者は「最近、アメリカが残酷への傾斜のいやます坂道を下降していることを示すサインが沢山ある」として、政府や政治家や社会一般が示した最近の幾つかのを残酷サインの例を取り上げました。
  現テキサス州知事のRick Perry は、来年の次期大統領選挙の共和党候補として有力視されている政治家の一人ですが、先月のある公開討論会で、これまで10年間の知事在職期間中にテキサス州で235人の死刑を執行した事実について、「その中に冤罪で処刑された人もあったのではと思って眠られぬ夜はなかったか?」と質問されて、ロック・ペリーが「テキサス州の司法当局は優秀だ。あなたがテキサス州民を殺せば、あなたも死刑に処せられる」と言い放つと、聴衆から拍手喝采が巻き起こりました。
  つい先頃、22年前に殺人罪で死刑宣告を受けた黒人男性 Troy Davis の死刑がジョージア州で執行されました。新しい証拠の発見もあり、裁判時の証言者9人中の7人が前言取り消しを行い、冤罪の可能性が極めて高く、死刑執行延期の請願署名者は、全世界から、60万人を超えたのですが、オバマ大統領への嘆願も空しく死刑が実行されました。
  テキサス州からのもう一人の大統領候補者Ron Paul は、収入の乏しい若者が医療保険に加入することを断念したため、必要な医療が受けられず死亡する可能性について感想を求められて、「各人それぞれに自分の事は自分で責任を持つ。それが個人の自由ということだ」と答えました。この時も聴衆から賛成の声が大きく上がりました。
  こうした事例を列記して、ジョナサン・シェルは、ブッシュ/チェイニーによるアメリカの残酷性と野蛮性への降下がオバマ大統領によって停止するどころか、そのまま受け継がれていることを嘆きます。しかし、私にとって、ジョナサン・シェルの記事の本文より、それに対して寄せられたコメントの幾つかの方が遥かに面白いものでした。その一つは「テキサスの残酷性は今に始まったことではない。テキサス・レーンジャーズが1820年代からやってきたことを忘れてはならない」と言います。このテキサス・レーンジャーズは皆さんご存じの野球チームではありません。あの西部劇映画のテキサス・レーンジャーズです。米国・メキシコ戦争でメキシコからテキサス州を強奪した米国の侵略の先鋒テキサス・レーンジャーズはテキサスの地に住んでいたチェロキー族やコマンチ族の大虐殺(ジェノサイド!)を実行します。もう一人のコメント投稿者は次のように書いています。:
■ Let's see if I've got this right. You're finding out that USAmerica is "becoming" cruel, right? This is a country that was founded on genocide, never found a minority group it couldn't ground under its heel and who routinely kills people, foreign and domestic, to prop up a Ponzi-scheme "economy" that favors a few over most everyone else. What part of USAmerican history did you miss? (あなたの言っていることを私がちゃんと理解したかどうかを確かめよう。アメリカ合衆国は残酷に“なりつつある”ことを、あなたは発見しつつある、というわけだな。この国は、ジェノサイドの上に基礎をおき、地べたに踏みにじることの出来ない少数派に遭遇したことがなく、ほんの少人数が他の多人数から金を巻き上げるねずみ講詐欺“経済”を支えるために、国外、国内の人々を手当たり次第殺しまくる国なのだ。あなたは一体アメリカ合衆国史のどの部分を懐かしがっているのかな?)■   
  実際、門外漢の私は、アメリカという国の建国以来の実に一貫した残忍性を自分に確信させるのに、これまで半世紀を要しました。ジョナサン・シェルのようなアメリカを代表するジャーナリストの一人にして、アメリカ史についてのこの認識の甘さ、これこそアメリカの悲劇です。
  しかし、今の時点で、進行中のアメリカの残忍さを認識するのにジョナサン・シェルが数え上げるような些細なサインを拾う必要はありません。この8ヶ月リビアでNATO/アメリカが行なってきた艦砲/ミサイル/空軍による攻撃、特に、いまウォール街占領のニュースに隠れて行なわれているNATO空軍の沿海小都市シルテ(?、Sirte)に対する猛攻撃に目を向ければ充分以上です。現在(10月11日)も凄惨な戦闘が続いていますが、シルテで行なわれていることは、イラクの小都市ファルージャで行なわれたむごたらしい大虐殺と同じく、れっきとした戦争犯罪です。責任者たちがハーグの国際法廷に引き出されないのは、ハーグそのものが米欧の走狗と成り果てているからに他なりません。ファルージャで何が起ったかをお忘れの方は是非ネットでお調べ下さい。シルテは人口10万の小都市、明らかに報道の規制(自主であれ他主であれ)が行なわれていてはっきりはしませんが、これまでにシルテを襲うNATO 空軍の出撃回数が百回をこえるのは間違いないところ、大きな建物にはカダフィ支持の残党が武器を持って隠れているという口実の下での無差別爆撃ミサイル攻撃です。
  しかし、Cruel America のメーキャップなしの素顔をとっくりと品定めするのに、ファルージャやシルテの修羅場に立ち会う必要はありません。いやもっとよい場所がありますので案内しましょう。アメリカのMONTHLY REVIEW という雑誌に、William Blum の
『Why Is the United States Waging Perpetual War against the Cuban People's Health System? (何故アメリカはキューバ人の健康医療システムに絶え間なき戦争を仕掛けているのか?)』(2011年5月6日)
という論文が出ています。マンスリー・リヴューは,1949年ニューヨークでPaul Sweezy とLeo Huberman によって発刊された社会主義評論雑誌の名門で、その第1号には、主論文として、アルバート・アインシュタインの『Why Socialism ? (なぜ社会主義か?)』が掲載されたそうです。上掲論文の著者は日本でも『アメリカの国家犯罪全書』などで知られる歴史家です。書いてあることをざっと辿り、まとめてみます。
■ アメリカは、4万人以上のキューバの医師たちが世界の100以上の国に派遣されて、無料または低費用の医療を提供していることを憎悪している。このカストロ政府の医療外交を阻害するため、”Comfort“というベッド数1000、手術室12を備えた病院船を建造して、中南米各国の港に差し向けて無料医療を提供している。キューバの医師たちの邪魔をしたいのだ。しかし、それだけではない。直接にキューバ人全体の医療と健康状態を阻害する行為を臆面もなく実行している。
  この1月、アメリカは国連の「エイズ、結核、マラリアと戦うためのグローバル基金」からキューバに与えられる予定であった4百万ドルの出費を差し押さえた。それは主にキューバの約5千人のHIV患者の無料診療に当てられる筈であった。アメリカは長年にわたってキューバに経済貿易制裁を加え続けているが、その一部として、アメリカなどの医療先進国で開発された各種特効薬や医療機器をキューバが輸入することを阻止している。そのため、特に幼児や老人、それに特異な疾病の患者が苦悩を強いられている。さらにキューバから離れて外国で働くキューバの医師たちを誘惑してアメリカに移住させることをおおっぴらに実行している。本年1月のThe Wall Street Jounal は、2010年12月までに65の国で1574人のキューバ医師にアメリカ入国ビザを発行してアメリカに迎え入れたと報じている。■
  ブルムの論文によれば、以上に述べられた事柄は、キューバの医療と保健のシステム、つまり、キューバの国民の体と心そのものを痛めつけようとするアメリカの悪魔的行為のほんの一部に過ぎません。これがアメリカの素顔です。Cruel America の素顔であります。

藤永 茂     (2011年10月12日)



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調査報道

2011-10-10 21:31:10 | 日記・エッセイ・コラム
  先週のブログ『ハイチのコレラ禍(2)』に、「おにうちぎ」さんから、私のブログを一種の調査報道のように読んでいるというコメントを頂きました。私は現場に足を運ばず、当事者のインタヴューも行なわず、ただ椅子に座ってインターネットに全面的に頼っていますが、出来るものならば本当の調査報道をやりたいと思う事柄が国内国外に山ほどあります。高い志を掲げる若いジャーナリストたちが,下劣な週刊誌的ねたに引き回されることなく、取り上げるに値する事柄を熱く報道して下さることを念じてやみません。例えばハイチという“小さい”窓から見えて来るアメリカというシステム(とりわけ現時点ではビル・クリントンという稀代のワルに象徴される)の巨大な残酷さを凝視してほしいものです。USA 本国の直ぐ南に位置する黒人国ハイチの目も当てられない悲惨は、USA がもたらしている完全な人災であります。マスメディアは殆ど報道しませんが、日本の外務省が海外旅行者のために国別で提供している「外務省海外安全ホームページ」にはハイチの悲惨きわまる現状が、国連治安維持部隊が何をしているかを含めて、生々しく描かれています。語るに落ちるということでしょう。その一部を下に引用しますから読んで下さい。(コピーがうまく行かなかったので読みづらい所がありますが):
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概況?(1)ハイチの治安情勢は、2010年1月12日に発生した震災後の復興の遅れ?にもかかわらず、国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)及びハイチ?国家警察(PNH)による治安維持活動が奏功し、現在のところ比較的落?ち着いています。しかし、主要都市では殺人等の凶悪事件は継続して発?生しており、震災の被災民の生活環境改善への期待と不満が募る中、銃?器へのアクセスが容易である当地において凶悪犯罪の危険性が増す可能?性は依然として高いと言えます。??(2)首都ポルトープランス市及び地方都市においては、反政府デモや、生?活環境の改善又はMINUSTAHの撤退を求めるデモが頻発し、デモが過激化?した際には、ハイチ国家警察(PNH)及びMINUSTAHが出動し鎮圧すると?いった事案も発生しています。一般市民においても銃器による流れ弾・?催涙弾・投石・暴力行為などによる被害が発生しています。また、特に?ポルトープランス市のシャン・ド・マルス広場周辺においては首都圏で?発生したデモ隊行進の終着点となる可能性が高く、首都圏から地方へ向?かう主要道路の交差地点であることから、占拠された際は一時的に都市?機能が麻痺してしまう危険性があります。??(3)首都圏には、首都ポルトープランス市に隣接しておりハイチ最大のス?ラム街といわれるシテ・ソレイユ地区のほか、ポルトープランス市のベ?ル・エール地区及びマルティッサン地区等の犯罪者集団の集結地帯があ?り、これらの地域で数多くの犯罪が発生しています。??(4)ハイチにおける殺人事件は「貧富の差」による嫉妬等、極めて短絡的?動機により発生しています。また、強盗事件については、多額の金銭を?保管している事務所が標的とされる傾向が強く、その手口は極めて強引?であり、その他に富裕層を狙った強盗殺人や、幅広い階層が被害者と?なっている誘拐事件も発生しています。??(5)ハイチでは、一般犯罪同様に交通安全事故防止対策が重要です。特に?地方へ向かう幹線道路は路面状況が悪い上、整備不良の車両がスピード?を出して走行しているため、大規模な交通事故に巻き込まれる可能性が?あります。また、首都圏内においても夜間・早朝はスピードを出して走?行する車両が多いため日常的にいたる所で交通事故が発生しています。??(6)ハイチでは、倒れた電柱・切れた電線などには高圧電流が流れている?場合があります。大変危険ですので決して近づかないように注意してく?ださい。また、固定電話について使用不能、若しくは復旧した場合でも?新たな番号が付与されていることがあり、震災前の電話番号が使用でき?ない場合があります。
1. ???2.地域情勢?(1)首都ポルトープランス市、首都圏のシテ・ソレイユ地区、地方都市?カップ・ハイシアン市、ポール・ドゥ・ペ市、ゴナイーヴ市及びジェレ?ミ市?  :「渡航の延期をお勧めします。」? 
(イ)ハイチにおいては、富裕層(外国人を含む)を狙った身代金目的の?誘拐事件が頻発しており、その多くが同地域で発生しています。? (ロ)ハイチ最大のスラム街といわれるシテ・ソレイユ市、ポルトープラ?ンス市ベル・エール地区及び同市マルティッッサン地区は犯罪者の集?結地帯となっており、殺人・強姦・強盗・誘拐等の数多くの犯罪が頻?発しています。また、同地域においては日中においても犯罪者等の掃?討作戦が実施されており、巻き込まれる危険性があるので、厳に立ち?入らないでください。? (ハ)歩行者の手荷物をオートバイに乗った犯人が後方から奪い取るひっ?たくりや、商店及び住居からの現金強奪等の盗難事件が多発していま?す。現金等の受渡しを拒否した場合などは、暴行事件や殺人事件にエ?スカレートすることもあります。
??(2)首都ポルトープランス市及びシテ・ソレイユを除く首都圏(デルマ市、?ペチョンビル市、タバール市、カルフール市、ケンスコフ市)?:「渡航の是非を検討してください。」?   ハイチ国家警察(PNH)及びMINUSTAHによる武装した組織犯罪集団の?掃討作戦と治安維持活動により、治安状況が改善・安定化しています。?ただし、震災後は大勢の外国人支援関係者が当地を訪れ、その支援関係?者が誘拐事件に遭う事案も発生していますので、引き続き注意が必要で?す。??(3)西県(ポルトープランス市、シテ・ソレイユ地区を含む上記首都圏を?除く)、グランダンス県(ジェレミ市を除く)、ニップ県、南県、?南東県、アルティボニット県(ゴナイーブ市を除く)、中央県、?北西県(ポール・ドゥ・ペ市を除く)、北県(カップ・ハイシアン市を?除く)、北東県?  :「渡航の是非を検討してください。」?   ハイチ国家警察(PNH)及びMINUSTAHによる武装した組織犯罪集団の?掃討作戦と治安維持活動により、治安状況が改善・安定化しています。?ただし、今後、情勢が変化する可能性もありますので、引き続き注意が?必要です。???3.滞在に当たっての注意?  上記のとおりハイチの治安情勢は一部では改善がみられるものの、依然?として不安定であることから、国内全域における移動、また陸路による国?境の移動は極めて危険なため、特に観光等の不要不急の渡航は厳に差し控?えるようお勧めします。このような治安情勢にもかかわらず、やむを得な?い事情でハイチ首都圏及びカップ・ハイシアン市、ポール・ドゥ・ペ市、? ゴナイーヴ市、ジェレミ市に渡航・滞在される方は、武装身辺警護員を付?ける等、十分な安全対策をとるようお勧めします。また、一般的に夜間外?出は危険ですが、特にハイチでは国連機関職員の外出禁止時間帯である平?日午前0時~午前5時、週末(金・土曜日)午前1時~午前5時には国家警察? 及びMINUSTAHによる犯罪者等の掃討作戦に巻き込まれる危険性があるの?で、外出は厳に控えてください。?(1)短期滞在者向け注意事項? (イ)上記情勢のとおり、「渡航の延期をお勧めします。」の危険情報が?発出されている地域への渡航は、目的いかんを問わず延期するよう強?くお勧めします。やむを得ない事情により同地域に渡航・滞在する場?合は、不測の事態に巻き込まれることのないよう最新の治安情報の入?手に努めるとともに、不要不急及び単独での外出は極力控え、自らの?安全確保に十分注意するよう心掛けてください。?やむを得ない理由で長期、短期にかかわらずハイチに渡航・滞在す?る際には、入国次第、緊急連絡先を必ず在ハイチ日本国大使館に連絡?してください。? (ロ)ハイチにおいては、度重なる政情不安、極めて高い失業率、諸物価?の高騰等に起因する治安の悪化は上記のとおり深刻です。やむを得な?い理由でハイチに渡航・滞在する場合は、必ず、渡航前に、十分な警?備対策が講じられている宿泊施設や交通手段を確保すると共に武装身?辺警護員の雇用をお勧めします。なお、同国到着後に宿泊施設等を確?保することは非常に困難です。? (ハ)空港では外国人渡航者を狙った犯罪が多いので、現地に知人等がい?る方は空港送迎を依頼してください。また、タクシー(空港指定業者?を含む)の台数そのものが少ない上、法外な金額を要求してきたり、?交渉後に別途料金を請求してくる場合も見受けられ、また車両の安全?性にも問題がありますので、タクシーの利用はお勧めできません。? (ニ)強盗・誘拐・殺人・強姦等の凶悪事件が日常化しています。特に誘?拐事件は、ターゲットや手口が多様化しており、被害者は富裕層のハ?イチ人や外国人に限らず、あらゆる階層にまで拡大しています。ま?た、誘拐事件は時間帯・性別・年齢を問わず発生していることから、?不要不急の外出や単独での外出は控える、スラム街には絶対近寄らな?い、日中であっても徒歩による移動は絶対に避ける、移動に際し武装?身辺警護員を付ける等、自らの安全確保に十分注意するよう心がけて?ください。誘拐から自分自身と家族の安全を守る心構えとして、「目?立たない」、「用心を怠らない」、「行動を予知されない」の三原則?を念頭に、日常における予防を忘れないでください。また、「移動時?間や経路を変更する」、「外出や帰宅時に、不審者や不審車両が見あ?たらないかチェックする」、「目的地から離れた場所に駐車しない」?等の注意が必要です。(詳細はホームページ「海外における誘拐対策?Q&A」( http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html )を?参照してください。)? また、両替所や銀行への立ち寄り後に強盗事件が多発していますの?で、注意が必要です。? (ホ)スラム街は、一般のハイチ人でさえ近づかないので、絶対に近寄ら?ないよう注意してください。? (ヘ)日中であっても、徒歩による移動は誘拐等の犯罪に巻き込まれる危?険が高いので、避けてください。また、夜間は事件及び交通事故が多?発していますので、車両であっても外出は絶対に控えてください。特?に、駐車地点まで徒歩による移動中に誘拐されるケースが増えていま?すので、駐車場所には十分注意してください。? (ト)外出中に不測の事態が起きた場合は、速やかにホテルに戻り、事態?が収まるまで待機し、在ハイチ日本国大使館と連絡を取り合うように?してください。ホテルに戻れない場合には、近くのMINUSTAH要員又は?警官に助けを求めるようにしてください。? (チ)ハイチにおいては各県を結ぶ乗合バス及び船舶が存在しますが、整?備状況が劣悪なため、整備不良等に起因する交通事故及び沈没事故も?発生しており、その際の死傷者は数十人に達することも珍しくありま?せん。??(2)長期滞在者向けの注意事項? (イ)現地に3か月以上滞在される方は、緊急時の連絡等に必要となりま?すので、到着後遅滞なく在ハイチ日本国大使館に「在留届」を提出し?てください。また、住所その他の届け出事項に変更が生じたとき又は?ハイチを去る(一時的な旅行を除く。)ときは、必ずその旨を届け出?てください。なお、在留届は、在留届電子届出システム(ORRネッ?ト、 http://www.ezairyu.mofa.go.jp/ )による登録をお勧めしま?す。また、郵送、FAXによっても行うことができますので、在ハイチ?日本国大使館まで送付してください。? (ロ)90日以内の一般観光目的での滞在には査証取得の必要はありません?が、目的、期間に応じて滞在許可の取得、更新が必要となりますの?で、自身の目的に応じた手続きについてあらかじめ調査しておくこと?が必要です。? (ハ)不測の事態に巻き込まれることのないよう、最新の治安情報の入手?に努めるとともに、不要不急の外出や単独での外出は控え、自らの安?全確保に十分注意するよう心がけてください。? (ニ)住居を選ぶ際には、周囲の治安状況、建物の警備状況、電気や水の?供給設備をよく検討してください。ホテルに滞在する場合も、常時武?装警備員が配置されている等、警備レベルの高いホテルを選んでくだ?さい。? (ホ)ハイチにおいては、基礎インフラ(電気、浄排水、通信、道路)が?極めて脆弱で、1日の通電時間は約4時間程度しかなく、非通電時間帯?は水の供給も停止します。このため、発電機を備え付けた一部のホテ?ル・住居以外ではトイレの使用もできなくなります。また、雨季に頻?発する豪雨により河川が増水し、道路が遮断されるなど、予期せぬ事?態に遭遇することもあります。? (ヘ)不測の事態に備え、食糧、飲料水を備蓄しておくとともに、パスポ?ート、貴重品、衣類等をいつでも持ち出せるように準備しておき、更?に退避手段についても常時確認しておいてください。?
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興味のある方は外務省のホームページの全体を直接ご覧下さい。
  この資料で面白いのは、外務省が国連(アメリカ)の、そしてハイチの支配層の、視点からハイチの状況を語っているにも係らず、MINUSTAH の役目が何であり、それに対するハイチの民衆の反抗が如何に熾烈であるかを見事に証言していることです。こかから出発して、MINUSTAH が今回の大震災のはるか以前,2004年にハイチに送り込まれた事実上の政治的軍事的占領軍であることを過去の歴史をチェックすることで知り、上の“安全情報”が描くハイチの国情の悲惨が、震災に起因するものではなく、それ以前から連続的に存在するものであることを辿って行けば、報道者(ジャーナリスト)としての好奇心が強く刺激されるに違いありません。ひとたびハイチという小さな窓の中に体を乗り入れて覗き込んでみると、思いもかけないような赤裸裸のアメリカの姿が否応無しに目に飛び込んで来るはずです。

藤永 茂 (2011年10月10日)


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ハイチのコレラ禍(2)

2011-10-05 10:31:05 | 日記・エッセイ・コラム
 John Mekalanos教授の名前に出会ったのは、イジリ・ダント(Ezili Danto, 通常の名前は Marguerite Laurent) という異色のハイチ女性の書いたものの中です。この人物については以前にも書いたことがあります。今、アメリカ国内にあって、ハイチ人たちのために最も力強く発言しているのはこの女性でしょう。イジリ・ダントというのは、もともとはハイチ土着宗教の闘う女神の名です。独り身でありながら数人の愛する娘があり、娘たちのために勇敢熾烈に闘う女神だそうです。
  マルゲリト・ローランはコネティカット大学法学部で法学博士の学位を取得し、Haitian Lawyers Leadership Network ("HLLN") という組織の議長を勤め、人権擁護弁護士として活躍しているのですが、その一方、ステージ・ダンサー,詩人、著作家としても知られているようです。大層な美形でもあります。詳しくは次のサイトを訪れてみて下さい。:
http://www.margueritelaurent.com/
ハイチのコレラ禍についての彼女の発言は
http://www.ezilidanto.com/zili/2011/05/un-brought-deadly-cholera-disease-to-haiti-blames-victims/
にあります。国連当局の反応の遅さ、特にハイチの上下水道衛生向上の熱意の欠除が厳しく批判されています。クリーンな水を供給するための水道パイプには全く出費がない一方、コレラによる死骸を収容するために、20万個もの死体バッグが購入され、メカラノス博士や、例の“ハイチ貧民の救いの神”ポール・ファーマー博士などは、現実には医師として実施不可能と知りながら、一般論としてワクチン免疫の必要性を説いていることを,彼女は言葉厳しく糾弾しています。世界中から集まった大震災救助義援金の九割以上が米国の私企業やの大型NGOsの懐に転がり込むということのようです。20万個の死体バッグ購入もその典型的な一例でしょう。
  John Mekalanos 教授が製薬会社や軍部とどのような関係にあるかは、インターネットで調べれば直ぐに分かります。私にそのチェックをやる気にさせたのは、もう一人のハイチ人女性 Dady Chery です。彼女の拠点の一つは Axis of Logic という反マスメディアの姿勢を明確に取る報道サイトで、その常連コメンテーターとして名を連ねています。彼女はこのサイトにフランスのエクス-マルセーユ大学教授ルノー・ピアルー(Renaud Piarroux) の長いインタビュー記事を発表し、私はそれを読んで前回のブログを書いたのでした。このサイトでは極めて興味ある投稿記事や世界ニュースを読むことが出来ます。近い将来にその幾つかを報告するつもりです。
  John Mekalanos 教授 はハーバード大学のコレラワクチン開発の指導者的立場にあると思われますが、幾つかのバイオテクノロジー会社の創始者でもあり、特にPharmAthene という会社は生物(細菌)兵器に関する事業を専門としていて、当然ながら米国政府、特に軍部との関係は密接だと考えれらます。そのため、ハイチの一部では、今回の大規模のコレラ禍を対細菌兵器防衛の予行演習としてJohn Mekalanos 教授たちが利用しようとしたのではないか、という疑惑まで語られるようになっています。私個人としてはそのような無残なことは信じたくありませんが、前回のブログで紹介したScience Watch によるJohn Mekalanos 教授のインタビューでの彼のnonchalant な語り口には確かに一種の不気味さが漂っています。自国の黒人兵士たちを性病対策の生体実験に使った過去が実証された米国軍部のことですから、ありえないことではありません。とにかくアメリカという国は開国以来一貫して恐るべき残忍性を発揮し続けて今日に到っています。内的にも外的にも実に残忍な国であります。

藤永 茂 (2011年10月5日)


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