続々・郷秋<Gauche>、都会に行く(その5、最終回)

 一口に写真と云っても色々なジャンルがある。被写体の種類で分類することが多いわけだが、主なものだけでも風景、花(主として接写)、花(花風景)、人物、乗り物(飛行機(旅客機、軍用機)、鉄道、自動車(市販車、レーシングカー)、船など)、スナップ、物撮り(ブツトリと読み、主として室内で時計やカメラ等など文字通り物を撮る)、動物(犬、猫、野生動物他)等などナド等多種多彩。撮る場所での分類では水中写真という分野もあるし、使われ方から報道写真と呼ばれる分野もある。

 すっかりデジタルが当たり前になった今、あえて30年、40年前の古い普及型カメラ(ハーフカメラが好まれたりする)とフィルム(当たり前だな)を使って「ほんわか」した写真、ロハス系とでも云うような写真が、特に若い女性に人気だったりもする。この分野の写真を何と呼ぶのか郷秋<Gauche>にはわからないが、書店のカメラ・写真のコーナーには少なくない数の「専門誌」が並んでいたりする。

 スナップ写真というジャンルがあるがこれはいったい何を対象にした写真のジャンルかと云うと、これが実に難しい。一つの定義としては自由な動きをしている人物を撮ったものとすることが出来るか。「パーティー会場でのスナップを撮って」などと頼まれた時のスナップ写真はまさにこれに当たるわけだが、街中での何気ない風景を撮るスナップもあり、こちらは人物が添景として入る場合もあるが、まったく人の姿の無いものもスナップと呼ばれる。少なくとも田んぼや畑の真ん中、山の中で撮るスナップと云うのは余り聞いたことがないから、スナップを「街中で撮る写真」と定義するとこも出来るかも知れない。

 しつこく今回で5回にもわたって連載した「続々・郷秋<Gauche>、都会に行く」は所謂「スナップ」。これまでの4回、4枚のうち2枚には人が添景(点景)として写っているが2枚は建物だけだ。結果としてこうなったと云うよりは郷秋<Gauche>の、人の写った写真が撮れないという問題点の結果と云える。人の入ったスナップを撮るのは難しいんですよ。特に知らない人を目の前で撮るということは。郷秋<Gauche>はシャイだから撮らせてくださいと声をかけることが出来ない。本人の了解なしに撮ったら今どき大問題になる。小さい子が可愛いからと無遠慮にレンズを向けたりしたら親に110番通報されかねないのだ。

 そんなスナップを上手く撮るにはどうしたらよいかを解説した本が売っていたりするくらいに難しい。主として肖像権の問題ですね。名前や住所のデータは無く写真だけだとその人物がだれなのか特定できないから個人情報の問題は原則的には発生しないけれど、「私がその場所にいたこと、あの人と一緒にいたことを知られなくない」と云う問題が発生することは考えられる。

 お盆休み明けに歩道の信号が青になるのを待っているサラリーマンが大あくびをしている写真が新聞に載ったりすることがあるけれど、新聞社は「よくも俺の無様な顔を晒してくれたな」という苦情(時に脅し)あるいは訴訟に対しては常に迷惑料(和解金)支払いの準備が出来ているのだという。つまりそういうことも大いにありうるという覚悟で掲載しているということだ。

 アマチュアの場合はコンテストにでも出品しそれを本人なりがたまたま見たりでもしなければ問題にならなかったのはこれまでのこと。今ではそういった写真がWebsiteやblogに長期間掲載されることも多いから、新聞に掲載されるのと同じことが起きる可能が実は大いにあるのだが、掲載する側の認識がそこまで至っていないケースが多い(著作権を無視した写真の転載問題もあるけれど、これについてはそのうちに書きたいと思っている)。

 そんなこんなを考えると、どうしても人が大写しになった写真を撮るのが難しくなってしまう。まっ、郷秋<Gauche>の場合はと云うことだけれど、多くの方が似たような問題を抱えているんじゃないかな。

 と云うわけで「続々・郷秋<Gauche>、都会に行く(その5、最終回)」の写真は、ここまでが限界だろうという「人」の入った郷秋<Gauche>が撮る都会風景、スナップ写真と呼んでいいジャンルの写真です。

「郷秋<Gauche>、都会に行く」シリーズ
続々・郷秋<Gauche>、都会に行く(その5)(この記事)
続々・郷秋<Gauche>、都会に行く(その4)
続々・郷秋<Gauche>、都会に行く(その3)
続々・郷秋<Gauche>、都会に行く(その2)
続々・郷秋<Gauche>、都会に行く
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郷秋<Gauche>、都会に行く

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