福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

乳歯の外傷と、その後の経過

2019-02-13 | 歯のけが

乳歯の外傷が多いのは2歳、3歳くらいで、圧倒的に上の前歯部分です。
乳歯の場合、外傷で歯が欠けるというよりは、グラグラになったり位置がズレたりという場合が圧倒的に多数です。
永久歯の場合、逆に欠ける例が多くなります。




これは4歳の患者さん。やはり上の前歯の外傷で、真ん中向かって左側の歯は残念ながら脱落。
永久歯の場合、抜けてしまっても30分以内位に、専用の保存液か牛乳に浸けて持参頂けば、元に戻して保存できる例もあります。
経過良好の場合、神経も再生する例も、私自身経験しています。
上記の例では、乳歯なので、戻して保存はほぼ不可能です。
向かって右側の前歯は欠けたように見えますが、X選でも確認しましたが、実は埋まり込んで小さく見えます。
この写真は経過観察で、外傷後1週間くらいですが、直後は外傷部の歯茎の腫脹もあって、ほぼ歯の頭部分は見えませんでした。
過去、歯が抜けました~と来院して、実は完全に埋まっている例も経験しました。
埋まった歯は元の位置に戻して、隣の歯と繋げて3週間前後固定すると言うのが、20世紀では通法でしたが、このまま放置していても3か月ほどでほぼ元の位置に戻るのが通常です。
したがってそのまま経過観察です。そのままの方が歯の寿命も長くなると思われます。





こちらは5歳の患者さんで、同じく上の前歯の打撲です。
向かって左側の真ん中の歯が若干グラグラしていますが、固定するほどではありません。
外傷は、リピートする患者さんも多いので、X線でチェックしてみると、ビンゴ。
真ん中の両側の前歯の根の部分が細ったように見えますね。これは、繰り返す外傷による炎症が、歯根の外部吸収を起こしていると診断されます。
この所見は、乳歯に特有なものです。
外傷して数か月レベルでこのような所見が出て来ますので、今回の外傷の影響ではありません。
また、細っている部分から折れているようにも見えます。折れている可能性もありますが、正常部分と細った部分の境界部が、X線像の特徴として折れたように写ることもあります。
折れていても、根の部分の吸収が進み、骨で補填すると言う現象が起こることが多いので、そのまま経過観察でOKです。
二つの例とも、今後歯の神経がサバイバルするかは要経過観察です。
神経が壊死してしまうと、歯の変色が起こることが多く、場合によっては根の治療、経過観察の場合でも永久歯との生え変わりまでチェックを続けることが必要と考えます。
外傷による永久歯形成への影響ですが、上の永久歯前歯の頭部分の形成が3歳頃で終わるので、その前と後とでは、影響の有無に差があります。






ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam

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