福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

母乳はむし歯をつくらない?

2007-05-23 | むし歯予防の話
卒乳(断乳)が遅くなると特に上の前歯付近にむし歯が発生しやすいということは、皆さん結構ご存知ですよね。
このむし歯は業界では「哺乳う蝕」と呼ばれており、種々の研究データでも関連性は指摘されているし、事実でしょう。
通常のむし歯発生は、虫歯原因菌のミュータンス菌が砂糖(スクロース)と出会うと歯の表面に張り付くバイオフィルムという膜を形成します。この膜に住み着いたミュータンス菌が砂糖で酸を造って歯を溶かしてむし歯という仕組みです。
母乳や人工乳の甘さの主成分はラクトース(乳糖)なのですが、現在長崎大学小児歯科に勤務している佐藤先生(九大小児歯科の同門です)の最近の研究によると、実験的につくったバイオフィルムにラクトースや母乳、人工乳を作用させても明らかな酸産生は起こらないとのこと。
「じゃあ、哺乳が長引いていてもむし歯にはならないんだ。でも実際は出来やすいようだしなぜ~。」ということになります。この謎は、引き続き佐藤先生が研究中のようです。
現在考えられることは、バイオフィルムとして歯に付いていないミュータンス菌ではラクトースで酸をつくること、ラクトースに低濃度でも砂糖が加わると、バイオフィルムでも突然酸をつくるという結果も得られています。
実際の育児を考えると、離乳期になると離乳食や離乳期のおやつ(飲み物も含みます)に糖分が含まれるわけで、これらが哺乳との相乗作用でむし歯をつくっているのでは? と考えられます。今日はちょっと難しい話でした。
佐藤先生は7月の小児歯科学会でも発表予定のようです。研究の続報を期待しています。佐藤先生、このブログチェックしていたら何かコメント下さ~い。
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