Nicoという歯科医院での患者さん向けの雑誌が創刊されましたので待合室に置くことにしました。
創刊号は「歯根の治療」が特集されていたのですが、むし歯予防NG集というページがあって、~甘いものの「だらだら食べ」「だらだら飲み」は歯の大敵~と題してあります。この理由を説明するのに良く使われる図にステファンカーブという口の中のpH(酸性度)を示すカーブがあります。
昨年11月終わりに鹿児島で小児歯科の学会があったのですが、そこで私の知り合いでもある鹿児島の小児歯科&矯正歯科医である奥先生が、丁度このステファンカーブを利用して患者さん説明用のコンピュータソフトウェアを開発利用しているとの発表をしてくれました。ステファナリシスを使用した…と題してありましたので何のことかと思っていたら、ステファンカーブを利用した分析(analysis)なのでという造語でした。
食事をするとむし歯菌が働いて酸をつくりますのでpHが酸性に傾きます。むし歯菌が多いとか歯垢が多いとすばやく酸性になります。そしてpHが中性の7.0から5.5まで下がると歯が溶け始める脱灰が始まります。5.5以下の時間が長くなるとむし歯進行が起こるわけです。通常約40分で唾液の働き(緩衝能)で中性に戻ります。そうするとむし歯をもとに戻す再石灰化が始まります。
唾液の緩衝能が大きいとか、唾液量が多いと元に戻るまでの時間が短く、すなわち脱灰の時間が短く再石灰化の時間が長くなります。また、フッ素を塗っていると歯が酸に溶けにくくなりますので、pH5.5よりも酸度が低くならないとむし歯は進行しないということになります。したがって脱灰時間は短くなりますね。また、フッ素を使うことで再石灰化の速度が速くなります。
ちょっとややこしいかも知れませんが、簡単に言うと、むし歯が見た目進行するか否かは脱灰と再石灰化のバランスによるものということです。したがって、頻繁におやつやジュースなどを飲食したり、あめ系のものをだらだら食べていると脱灰時間が長くなってむし歯リスクが高くなるという訳です。だらだら食べは虫歯のもと、ということは皆さんご存知でしょうが、理屈で説明するとこのようになります。
口の中の酸性度曲線、ステファンカーブです。カーブが下がってグレイの時間が長いと歯が解ける時間が長く、むし歯発生!! です。だらだら食べはNOですが、反対語はまとめ食べですかね? あまり良い響きではないんですけど・・・。
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