小学校高学年の患者さん、乳歯も奥歯が生え変わる時期です。
もともと虫歯が重症な部分が多かったらしく、当院に初診の段階で奥歯には銀歯の処置もありました。
銀歯があるということは、通常神経の処置まで至った重症むし歯ですから、永久歯との生え変わり時期まで経過を診るのが安心です。
こちらは8か月ほど前のX線で、写真の左半分の銀歯の下の永久歯が上がってきています。乳歯の前後の根が均等に吸収してきていないので、生え代わりがスムーズにいくか経過観察が望ましいと判断されます。
これは最近。根は均等に溶けてきていますので、このまま経過観察といきたいところですが、永久歯周囲の骨のX線透過像(黒っぽく見えるのは骨が疎になっているため)が気になります。
触診してみると相当部分の骨が膨らんできており、これは永久歯を包む袋、歯嚢が拡大した含歯性嚢胞と診断されます。嚢胞は悪性のものではありませんが、通常歯が出て来れなくなります。
処置は、乳歯を抜歯して、さらに下の永久歯の嚢胞の壁が封鎖しないように、嚢胞入り口付近の壁を除去するだけでOKです。永久歯が出てくるとともに、次第に嚢胞は縮小して、周囲の骨もしっかりなります。嚢胞が発生した場合、永久歯がずれたり傾斜したりしていることも少なくないのですが、この例の場合はそのような傾向はなかったので軽症と判断されます。
乳歯を抜歯してみると、根の中につめてあった材料が乳歯の根の吸収消失とともに溶けてしまう材料ではなかったようです。これが嚢胞の原因とは断言できませんが、やはり通常の乳歯用薬剤が無難であったろうと思いました。
歯科医も患者さん側も、神経の処置を受けた乳歯は、特に生え変わる時期には経過のチェックが必要と認識する必要があります。
ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam
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