福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

小児歯科でのパノラマX線の有用性

2020-08-04 | 口の中の問題

歯科では、ある種の断層撮影ですが、パノラマX線という撮影装置があります。
歯だけでなく上下顎の全体像が把握できるので、成人では全体的歯周病の検査や評価、親知らずの抜歯前の診査などに有用です。
小児歯科分野では、永久歯の生え替わり時期の小学生の頃に、永久歯の数、形成状態や位置などがチェックできるので、現在の問題のみでなく近未来の問題や対処を考える上で、多くの情報を与えてくれます。
現在生えている歯の周囲のみのデンタルX線写真と比べて、画像はやや不鮮明ですが、深い位置まで評価できます。



小学校の中頃の患者さん。ご本人の右上の6歳臼歯が出てくるのが左よりも1年以上遅れていて、まだ出てくる気配がありません。
手前の乳歯に引っかかって出てこない場合(異所萌出)もありますが、上の第1、第2大臼歯は原因不明ですが形成が遅れていて出てくるのが遅れる場合もあります。
どちらの理由かで、対処法も異なります。
このような場合、パノラマX線での診査が適切です。全体的にまだ出ていない永久歯の形成状態、位置や方向が一目瞭然ですね。
結果は、第1、第2永久歯とも約3年ほど歯の形成が遅れていますが、待てば出てくると予測されます。
加えて分かったことは、上の前歯付近に過剰歯が埋まっていること、ご本人の左上永久歯犬歯の位置や方向が不良で、自然に出てくる可能性が小さいだろうということです。
現在、何かすべきことはありませんが、近未来的に患者さんが全て良好な永久歯の歯並びになるため、経過観察したり対処すべきことは明らかになりました。
ディテールは業界内のカンファレンスではありませんので省きますが、タイムリーにこのような診査、スクリーニングをすることは生え替わり時期のマネジメントで非常に有用です。




ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam

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