例えば上の前歯の歯並びが気になるとか、生え換わりの左右差があるとかで、全体的に永久歯のでき具合とか方向をX線にて調べることがあります。
下はそのような検査の時に有効な断層撮影のパノラマX線写真です。
9歳、永久歯の前歯が出そろった時期、側方歯とよぼれる3,4,5番目の歯は現在形成途中。平均と比べてやや生え換わり永久歯の形成は遅めです。上の犬歯ですが特に向かって左側が前方に傾斜して、将来すんなり出てくるか懸念されます。
約2年経過後でもうすぐ11歳。生え換わりの動きが出てきました。左右とも犬歯の根の長さが成長して、方向も自然に改善してきています。
右側は乳歯の根が溶け始めて、このまま経過観察でうまく抜け変わるのではないでしょうか。でもやはり向かって左側は傾斜が強めで、生え換わるべき乳歯の根が良好に溶けていません。
ここまで待って、向かって左側の乳歯は抜歯するのが適切です。傾斜した永久歯を誘導できるタイミングです。
もちろん、ある種積極的に外科的に歯を露出して、矯正装置でゆっくり引っ張り出すという考えもありますが、それは抜歯後の経過が思わしくない時でOKと考えます。方向転換して出てくるまで若干時間が必要と思われますので、隣の歯が寄ってこないような装置(保隙装置)を入れて永久歯スペースを保っておくのが無難です。
このような患者さんはそれほど珍しくありませんが、気付かずにそのまましていて、随分たって歯が出てこないということで調べてみると、すっかり埋まっていて、そのまま放置せざるを得ない、または外科的&矯正的な負担が出てくることがあります。
早期発見、適時介入がポイントです。
ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam/