福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

乳歯の外傷後の経過 2例

2011-10-18 | 歯のけが

今日たまたまというか、外傷後の経過観察の患者さんが続きました。
乳歯外傷の患者さんはよく来院されるのですが、永久歯と比べて歯が欠ける割合は低い一方で、グラグラが起こっている場合が多くあります。
また、過去の外傷、指しゃぶり、歯ぎしりなどの影響で乳歯の根が細ってきている場合があって、そのような歯をぶつけると根の部分が折れているだろうと思われる場合も少なくありません。
以下のいずれの患者さんも歯のグラグラが大きく、しばらく固定をしています。



外傷直後。向かって右側の前歯(左上乳中切歯)の根は途中で細ったような像がみられ、外傷によって根が途中から折れているように見えます。左側隣も若干根が細ったような像はあります。




その後の経過ですが、根が折れたように見える場合でも、歯の変色はみられませんので神経は生きているだろうと思われます。折れた部分の上方の根はしだいに吸収されて骨と置換されています。向かって左側の前歯も軽度ですが同様の像がみられます。歯を支える骨が少なめですが、日常特に問題なく過ごしています。

次の患者さんは珍しく下の前歯の外傷で低年齢でしたので、キャップ状の固定装置をつけました。



向かって右側から2番目の歯の外傷直後。低年齢で撮影がいまいちですが、根が折れてはいません。





固定装置を外して以降8か月ほど経過をみているわけですが、観た範囲、X線での根の周囲の健全さも他の歯と比べて問題ありません。
今後の経過も良好と思いますが、向かって右から2番目の歯の中の黒く抜けている部分、すなわち神経血管が入っている管(根管)が細く変化しています。これは硝子様変性といって、炎症が起こった神経血管が治る過程でみられるものです。

もちろん経過が思わしくない例もあるのですが、グラグラしている状況を一定期間固定したのみで、自力で治癒しようという能力が見られる例は少なくありません。
歯科医師側として重要なことは、一旦グラグラが治まった後も適時にチェックをすることと、自力での治癒能力を選択肢に入れておくこと、将来的見通しを患者さん(保護者)にお話ししておくこととだと考えています。







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              http://www.futatsuki-dental.com/

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