福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

6歳臼歯の虫歯

2011-08-20 | むし歯予防の話

昨日に続き、予防歯科分野の臨床的な論文の話です。1993年から2007年までの名古屋市のA小学校での統計です。それによると6年生の虫歯のうち84%が第1大臼歯、すなわち6歳臼歯でした。また歯の面で調べると噛み合わせ部分が46%だったそうです。
小学校6年生といえば、ほぼ乳歯が抜け変わって永久歯になっている時期ですが、割と初期に生えてきた6歳臼歯、それも噛み合わせ部分がが虫歯になっていることが多いわけですね。
同様の調査結果は今までもあって、それから言えることは、小学校で永久歯の虫歯予防を考えるならばターゲットは6歳臼歯だということですね。
歯磨き、フッ素使用、そして噛み合わせ部分の虫歯予防の強い味方はシーラントですね。
アメリカでは随分前から、小児歯科学会などでシーラントプログラムを推進してきています。これは水道水にフッ素を含有させることで随分虫歯が減少したのですが、噛み合わせや溝部分の虫歯予防にはフッ素の効果がやや不十分という結果によるものです。
この論文では虫歯のない、または初期虫歯の6歳臼歯が1年後の健診でどのようになったかもフォローしているのですが、虫歯がない状態から進行する例は最近では減少しています。一方で初期虫歯がある場合は以前も最近も進行する傾向に変化はなかったそうです。シーラントは初期虫歯のストップまでは可能ですので、より一般的になることで、治療や治療の必要な虫歯に移行する例は減少するでしょう。
小学生の間の虫歯に関しては6歳臼歯がポイントということは日々の臨床でも実感していますが、永久歯前歯の歯磨き不良で歯肉炎や歯石が見られる患者さんも多数です。歯周病予備軍にならないためにも、やはり基本的にブラッシングが重要であることは変わりませんね。




向かって左側の奥、6歳臼歯が出てきました。
奥で磨きにくい、上下噛み合っていないので歯垢が残りやすい、出始めの歯は歯質が弱いなどあります。
当院では早めにグラスアイオノマー系の材料で溝部分をシールしています。材料の強さ的には若干不十分ですが、微量のフッ素が出続ける、処置が簡単などの利点があります。
ちなみに前歯4本は新しい永久歯ですが、この時期若干のデコボコがあったりして磨きにくい、歯石が付くなどで歯肉炎症状が見られることは少なくありません。



ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam/
              http://www.futatsuki-dental.com/

 

コメント (3)
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