福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

論文を読む

2011-08-19 | フッ素について

歯科は技術の研鑽はもちろん重要なのですが、特に予防歯科の分野ではより最新のエビデンス(証拠とか研究結果)に基づいて、臨床での予防メニューを組み立てることが重要ではないかと思います。
最近は各専門学会が出版している専門雑誌は、WEBで読めたりダウンロードできるものが増えました。もちろん有料のものが多いのですが、要約については公開されているものが多いですね。昨日はWEBで口腔衛生学会雑誌のここ数年の内容をチェックしていたのですが、いくつも興味あるものを見つけました。
たとえばフッ素の初期虫歯再石灰化の効果について。基礎的研究では口の中の環境を再現するというかシミュレーションするような実験系を考えているものが多いのですが、その際には抜かれてしまった歯やウシの歯を使う場合が多いんです。
ウシのエナメル質に初期虫歯を人工的につくって、濃度の異なるフッ素を含んだ歯磨き剤を一定時間作用させて、どれくらい再石灰化が進むか調べた文献がありました。実験結果から言えることは、歯科医院で塗るような高濃度のものを繰り返し作用させるよりは、低濃度すなわち歯磨き剤や家庭用フッ素ジェルに含まれる低濃度のフッ素を繰り返し作用させるほうが、再石灰化能に絞れば効果的ということです。
このことは過去にも言われてきていますし、当院でも初期虫歯が見られる患者さんにはもちろん高濃度フッ素は塗りますが、せいぜい1か月に1回、その間をつなぐものとして家庭用フッ素の毎日の使用をお薦めしています。
この実験系から得られた結果は、あらためて初期虫歯に対する低濃度フッ素の毎日使用の有効性を裏付けるものと思います。
患者さんや保護者の方に論文の結果を細々説明する必要はないでしょうが、日々の臨床の経験以上に、より科学的な証拠に基づいた合理的な方策を考えて提案したいな~と思っています。






左の2種類は歯科医院専用の10000PPM弱のフッ素。
真ん中の3週類は家庭用フッ素で濃度は1000PPM弱。いちばん右はフッ素入り歯磨き剤でこれも1000PPM弱。
初期虫歯の再石灰化のポイントは、低濃度フッ素を毎日使うことなんです。


ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam/
              http://www.futatsuki-dental.com/

 

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