福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

削らない歯科 その2

2007-11-08 | むし歯予防の話
インレーのために歯を削る場合、技工操作や鋳造の都合と一定以上の接着面積が必要ということで、ある程度の幅や厚みが必要になります。そのためむし歯でないところも削らねばならないケースが多々出てきます。
それに比べて削った部分に接着剤を塗って直接材料を詰めたり流し込んだりするコンポジットレジンでは、歯との接着力がかなり大きいこともあって、インレーのような幅や厚みは不要です。そういうわけで、できるだけ虫歯部分のみ除いて治療するという方法が可能です。もちろん歯の色をしていますので、綺麗だし1回の治療で終われるのもメリットですね。
先日も成人のかたで、前歯間の隙間が気になるということで、レジンを使って全く歯を削らずに歯間にレジンを追加して形態修正を致しました。歯の周囲を全部削って被せるという方法が通常でしたが、最近のコンポジットレジンの発展はこのようなことも可能にしてくれます。
強度的にはやはり金属が優りますので、むし歯の範囲が広い場合は従来の治療法が無難ですが、初期から中程度まではこのMIが生かせるようになりました。保険内で可能な処置ではありますが、技術的に細かいテクニックが必要で時間がかかることと、より歯の色を再現したい場合、使用材料が保険適用でないので、私費の場合もあります。


私は大学勤務時代はコンポジットレジンやシーラントの研究をしていました。
10年ほど前の論文の図の部分ですが、この図の左下が奥歯での従来のインレーの削り方で、レジンを使った場合でも同様に削って詰めるのが普通でした。ところが左上のように削る範囲と量を減らしてもレジンの場合は詰め物の接着や耐久性は変わらないという結果が実験レベルで得られました。
インレーの場合、こんなに削る量を減らすと維持力不足で外れやすくなります。
この頃は「minimal何とか」いう用語が一般的でなかったので、「歯質保存的」という表現を使っていました。
ちょっとマニアックな内容ですが、具体的な1例です。
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