福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

母乳・ミルクとむし歯リスク

2007-02-07 | むし歯予防の話

時々は歯の話をアップさせないといけませんね。
卒乳・断乳が遅くなると、生えて間もない乳歯のむし歯が出来やすいというのは皆さん知識としてはご存知ですよね。食生活も時代とともに変わってきているとは思いますが、乳幼児の早期むし歯の原因でナンバー1に挙がるのは、昔も今も「授乳が長引いている」です。またそれに次ぐ要因は母親の虫歯菌の多少です。
母乳やミルクがむし歯を造るのでしたら、歯の生え始め(下の前歯)が7か月頃ですから、歯のことばかり考えれば早々に断乳が必要?ということになりますが、そうではありません。実はその時期にはまだ虫歯菌自体がほとんどいないので大丈夫です。
上下前歯が出揃うのが1歳2か月頃、奥歯が出始めるのが1歳6か月頃で、この頃になると虫歯菌の母子感染が始まってきます。したがって、平均的には1歳6か月頃からむし歯リスクが高くなってきますので、その頃までに断乳できれば歯科的にはほほOKでしょう。
でも育児のなかで、必ずしも理屈どおりうまくいかない場合も多々ありますよね。そのような場合、断乳断乳と気合を入れる必要はないと思います。断乳できない場合にどこにむし歯が発生しやすいかというと、上の歯の外側と上の前歯に限っては内側も発生しやすいです。
ですから、そこを意識して仕上げミガキをする、フッ素を塗ってもらう、家庭用フッ素製品を使う、母子感染を少なくするためお母さん自身の口の中を綺麗な状態にしておくなど、対応策は色々あります。虫歯発生は多因子性ですので、ひとつの事だけ一生懸命しても努力の割に実を結ばないことがあります。一方で、重要なことがなかなか出来ない場合でも、他の複数の手段を使って予防は可能です。
私というか当院のモットーは「患者さんと私たちと一緒に楽して予防をしましょう」です。いかに楽するかは結構ひとりひとり違ったりしますので、そのアドバイザーとして私達の役割があると思っています。


上の前歯に中程度のむし歯が発生しています。哺乳(ビン)う蝕と呼んでいます。穴が開いているところは明らかにむし歯と分かりますが、虫歯初期は歯表面の透明感が落ちて白濁してきます。その段階ですと再石灰化が可能ですので、そのような様子があったら早めに歯科に相談してくださいね。
ちなみにこの画像はアメリカ小児歯科学会が患者さん説明用に会員に販売しているスライドアルバムの1枚です。

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