
あの世とこの世の境が真っ黒な波にのまれてなくなるような、
この世の出来事こそが確かなものであると思うのは、単なる驕りに過ぎないのかもしれないと、自分の輪郭さえも不確かになるような、そんな世界。
人の深層にある悪が噴出したような、どうにも切ない事件があって、
生死をさまよった幼子「ミハル」は、生きているがおそらくその魂はどちらの世にあるというものでもないようで、周りの人の魂をも激しく揺るがす。そんな不思議な空間をすごくリアルに映画でもみているかのように沼田さんは描ききっています。
読み手の経験によって共鳴する登場人物は異なると思う。
私としては、「カアサン」の異常。
「カアサン」の異常は、物語の流れから想像すると死んだ猫の「クマ」が乗り移ったように思うけど、医師は「レビー小体型認知症」かもしれないと判断する。
確かに、認知症症状に似ていると思いながら読んでいた。
だから考えてみれば、
「認知症」の人の魂はもしかしたら、
この世にしがみついている人間には届くことのない境を超越したところに到達しているのかもしれないなあ。
レビー小体型認知症:レビーさんが発見した中枢および末梢の神経細胞に出現する円形・好酸性の細胞質封入体。これが神経を傷つけることによっておこる認知症。
特徴:
しっかりしているときとぼーっとしているときがある
リアルな幻視、人や動物や虫が見える 幻聴、妄想
手足の安静時の震え、歩行障害、筋固縮、失神やめまい
初期は物忘れが少ない
面白そう♪
読み手の経験によって共鳴する登場人物が異なるってのが興味深いです。
俺はどんな登場人物に共鳴するんだろう。
また読んでみたいと思います。
果たしてけんさんはどの人物に共鳴するのでしょうか。
性格占いではありませんけどね。
いつもさまざまなジャンルの本の感想、楽しみにしています。
まず「猫鳴り」を読み、なんてうまいんだ!と感心。もう堪能したといった感じでした。
次に「ユリゴコロ」を読み始めて、何点か「あれっ?」と思ったのですが(東京でボヤにあったからって、なんで奈良に引っ越す必然性があるの?とか)、結局それらは雑だったり矛盾した設定な訳ではなく、いろいろ分かってくるのですが、さらにラストで改めて「やられた~!」といった感じでした。
いや~本当に面白いですね。
「猫鳴り」の2話目もそうですが、誰もがかわいいと思う、無邪気な幼児の醜悪さを指摘する少年が出てきたり、世の中の当たり前をあっさり揺さぶってくれるところも面白いです。
中年女性が書いたとは思えないほど、アナーキーで、恐ろしいことあっさり書くなぁ~と感心するやら、ビビるやら(笑)
やくさんに教わった沼田まほかる、当分止まりそうもありません(笑)
そう、うまいんです。
さらっと書いているのに、まるでその場にいるかのような臨場感、油断も隙もない。
短編集「痺れる」も読みましたが、よくぞここまで嫌なことが書けるな(いい意味で)とすっかり毒気に当たってしまいました。
ネットで顔写真を見るとふつうのおばさんってかんじなんですけどね~、今後どんな物語を書くのでしょう。