
何かしらのコンプレックスがブロッキングとなって、上手く会話の
キャッチボールができない4人が、(この4人がまたあきれるほど
なんのつながりもないと思われるメンバー、小学生から引退した元
野球選手までいる)、なぜか皆で落語を習おうということになる。
何を『良し』とするか。
『良し』が多すぎても、少なすぎても苦労する。
自分の『良し』以外はひたすら拒絶するか、
『良し』が通じるまで喧嘩を売るか、
はたまた、
どもるか、
あいまいな受け答えで流してしまうか・・・
こんなことってよくある。だから人間悩みが多い。
会話の中の一瞬の表情に駆け巡る嵐のような内なる感情の表現が絶妙。

湘南あたりが舞台のピュアな青春物語。
「自分は絵を描くことが好きなんだ」
「ずっと描いていたいんだ」
勉強とか、部活とか、付き合いとか何やかやと忙しい学生生活。
そんな成長期の中では、自分のやりたいことにさえ、気づくのに
時間がかかる。
友情とか、物事に向かう気持ちとか、いろんなことに対する思春期の
目覚めみたいなものが、繊細なタッチで描かれる
佐藤 多佳子 1962年東京生まれ