『悪の温室』 ☆☆☆☆
シリーズ第11作。まだまだ初期の香り漂う佳作。結構好きなエピソードである。本作のウリはいくつかあるが、まずは狂言誘拐というややこしい犯罪が題材であること。『死者の身代金』も狂言誘拐だったので初ではないが、犯人と被害者が途中までチームというのが新しい。また本作が、殺人が起きる前にコロンボが登場する初のエピソードらしい。
二つ目のウリは若いウィルソン刑事の登場。これ . . . 本文を読む
『アウステルリッツ』 W. G. ゼーバルト ☆☆☆☆☆
いやーびっくりした。色んなところで絶賛されているのは知っていたが、まさかこれほどとは。圧倒的傑作という他はない。私の中では、マルケスやタブッキを初めて読んだ時と同レベルの「発見」である。
読む前は、作者の経歴やタイトルから、ナチスのホロコーストがテーマの小説だろうと思っていた。私はホロコースト・テーマの小説が実はあまり好きではな . . . 本文を読む
『Tout Pour La Musique & Roma Dalla Finestra』 Paul Mauriat ☆☆☆☆
本日はちょっと珍しいアルバムを紹介したい。ポール・モーリアのカップリング・アルバムで、一つは『夢をはこぶ歌』という軽いポップス集、もう一つは映画『窓からローマが見える』のサントラである。モール・モーリアといえばイージーリスニングの第一人者、イージーリスニングといえば . . . 本文を読む
『軽蔑』 ジャン=リュック・ゴダール監督 ☆☆☆☆
『気狂いピエロ』がなかなか良かったので他のゴダール作品も観てみようと思い、この『軽蔑』に触手を伸ばした。原作はアルベルト・モラヴィアで、個人的には誇張抜きで極上レベル&殿堂入りクラスの小説である。映画はおそらく小説とまるで違うだろうし、私の中で原作を越えるのはまず無理ということを承知の上で観た。
『気狂いピエロ』ほど役者の演技がメチャ . . . 本文を読む