『雀蜂』 貴志祐介 ☆★
アマゾンのカスタマーレビューではかなり評判が悪い、貴志祐介の新作を読んでみた。薄い文庫で字も大きいのですぐ読了。真冬の山荘で目覚めた小説家が、山荘にスズメバチの群れがいることを発見する。彼はかつてスズメバチに刺されたことでアレルギー体質になっており、もう一度刺されると死ぬ可能性があるのだった、という話。冬の山荘にスズメバチがいる不自然さは、妻とその愛人の殺害計画だ . . . 本文を読む
『座頭市果し状』 安田公義監督 ☆☆☆★
シリーズ第18作。これはなかなかいい。プログラム・ピクチャーのパターンだが、手堅い。悪党はとことん憎たらしく、善人はどこまでも善良。市は居合を安売りせず、ぎりぎりまで我慢する。これがいいのである。本作の序盤で市が宿屋で按摩に呼ばれ、そこにいた悪党連中から「ドめくら」と侮られ散々からかわれる。私は画面に向かって「斬れ、斬ってしまえ!」と叫びそうになっ . . . 本文を読む
『別れ』 フアン・カルロス・オネッティ ☆☆☆☆☆
『境界なき土地』と同じく、「フィクションのエル・ドラード」シリーズの一冊。これがまた良い。オネッティは昔『はかない人生』を読み、かなり仕掛けに凝った小説だなと思ったぐらいであまりピンと来なかったが、これはもうど真ん中ストライクである。ラテンアメリカ文学好きにはたまらない。「フィクションのエル・ドラード」シリーズ、ひょっとして他も全部読む必 . . . 本文を読む
『男はつらいよ 寅次郎かもめ歌』 山田洋次監督 ☆☆☆★
皆様、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
正月らしく、今年の一発目は寅さんで行ってみたいと思う。昔観た記憶がかすかにあるこの『寅次郎かもめ歌』はシリーズ第26作目、マドンナとしてキャンディーズの伊藤蘭が登場する。
まず冒頭、とらやのビッグニュースとして博・さくら夫妻の新居への引越しが紹介される . . . 本文を読む