『乱れる』 成瀬巳喜男監督 ☆☆☆☆☆
『浮雲』『流れる』がいずれも素晴らしい傑作だったので、成瀬監督の『乱れる』『乱れ雲』の日本版DVDを入手。まずは『乱れる』を鑑賞。
主演は高峰秀子と加山雄三。64年の作品なので高峰秀子は『浮雲』『流れる』の時よりだいぶ歳を取っていて、また雰囲気が違う。『浮雲』もそうだったが、これも基本メロドラマである。高峰秀子は夫を亡くしたあと一人で酒屋を切り回 . . . 本文を読む
『エバ・ルーナのお話』 イサベル・アジェンデ ☆☆☆☆
アジェンデの短編集を再読。木村栄一氏の解説によればこれは長編『エバ・ルーナ』の余滴ともいうべき短編集らしいが、『エバ・ルーナ』は読んでいない。
読むたびに思うことだが、この人は文体も叙述法もガルシア・マルケスにとってもよく似ている。ボキャブラリーまで似ている気がするのは、これは翻訳のせいなのだろうか。いずれにしろ随分と影響を受けて . . . 本文を読む
『タンポポ』 伊丹十三監督 ☆☆☆☆★
日本版のDVDを購入して再見。『マルサの女』のところで書いたが、私はこれと『マルサの女』が伊丹監督の映画の中でも特に好きで、傑出していると思う。
一般に「薀蓄映画」的な見方をされる伊丹監督の作品の中で、本作は独特のポジションにあるんじゃないだろうか。まずリアリズム映画ではない。メタフィクショナルな趣向が凝らされたシュールな映画で、しかも伊丹監督の . . . 本文を読む
『Love Not Money』 Everything But the Girl ☆☆☆☆
ベン・ワットとトレイシー・ソーンのユニット、エヴリシング・バット・ザ・ガールのセカンドである。ファースト『エデン』がジャズやボサノヴァの色が濃く、大人っぽくけだるい雰囲気だったのとうって変わり、このセカンドはロックンロールやカントリー色が前面に出た、よりストレートで溌剌としたサウンドになっている。そ . . . 本文を読む