アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

地図と領土

2015-12-01 23:45:34 | 
『地図と領土』 ミシェル・ウエルベック   ☆☆☆☆☆  『素粒子』にはとりたてて感動しなかったウエルベックの『地図と領土』を読了。これは面白かった。とても複雑で力強く、底を見通せない多義性と逞しさに溢れた小説である。ゴンクール賞を受賞している。  主人公はアーティストのジェドで、表面的には、これは彼の生涯を描いた物語と言って間違いではないだろう。アーティストというのは狭い意味の画家ではなく現 . . . 本文を読む