江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

奉納

2023-03-30 01:22:04 | 大道芸
私が初めて芸を奉納したのは、ある町の諏訪神社だった。
境内の池で禊をした氏子が、
鏡の前を開けて上下(かみしも)に分かれて座る中
その空いたスペースで、神様に向かって人形を遣う。
勝手があまりにも違いすぎて、
私はこれ以上ないほど緊張した。
神様の前だと、神様に見透かされているような気がして
好い加減なことができない、
そんな気が私を縛った。

それからしばらくして浅草神社の隣の被官稲荷から
声がかかった。
もう一度挑戦してみたいと思い快く引き受けたのだが
見えないものに見せる、見られているという気持ちが
どうしても緊張させてしまうのだ。
それから1年も欠けることのなく9回、
ずうっと緊張が解けずに来たのが、
今年はなぜか違っていた。
いつもの「酔いどれ」と「獅子舞」なのだが、
遣っている人形を見ていると
何か神様に向かって話しかけているような、
酒を酌み交わしているような気になってきて、
初めて楽しいという気持ちになった。

今年は例年になく風雨が強く、
濡れないようにするのに気を遣ったが、
こんなことが緊張を和らげてくれたのであろうか。
不思議である。
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