江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

花見を楽しもう

2011-04-03 23:54:30 | 日記
我が町のソメイヨシノは2分咲きほどか。
桜前線はゆっくりと北上する。

4月半ばに東北道を走ったことがある。
見事な桜が随所で見られた後、北上するにつれて季節を遡っていった。
タイムカプセルに乗ったような、不思議な感覚だった。

春の花々が、被災地域にいる全ての人々の安らぎになることを願うばかりである。

さくらの「さ」は田の神、「くら」は坐るところという説がある。
桜が咲くのを農作業の目安にするのだろう。
花見には、豊作の祈りが込められてある。
だからお酒はお神酒として付き物なのだ。
そして神様は笑いが好きだ。
能狂言が発達したのには、それが根底にあったからだ。

津波や液状化現象で打撃をこうむった田畑は多い。
こんなときだからこそ、五穀豊穣を祈って花見を楽しもう。
そして大いに笑おう。
日本人は、何度も天災に見舞われながら、こうして乗り越えてきた。
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はだか

2011-04-03 00:07:46 | 日本の文化について
はだか――ちょっと刺激的な言葉だ。
私も含め多くの人が、この言葉に性的な匂いを感じ、期待をする。
それ程日本人の"常識"は変わってしまった。

幕末日本にやってきた外国人は驚いた。
あの礼儀正しい日本人は、公衆浴場では"非常識"にも、老若男女問わず
裸で一緒に入っている!
西洋では考えられない破廉恥ぶりだ、と。
そして本国に報告する。中には膨らませて書いたのもあったろう。
それを読んだ欧米人は、期待を込めて来日する。
公衆浴場は一大観光スポットになったそうだ。

「裸はいつから恥ずかしくなったか」(中野明 著、新潮選書)を読んだ。
冒頭に下田の公衆浴場の絵を載せ、外国人の目を通してその頃の様子を紹介している。
公衆浴場は混浴だった。
幕府は混浴の禁止令を出したので、男女別のものもあったが、
地方に至るまで、混浴は広く利用されていた。
まだ開国して間が無い頃は、外国人が一緒に入浴しても、誰も気に留める風は
無かったという。
そして驚くことに、湯から上がったらそのままの姿で自宅に帰ることもあったそうだ。
夕方になると町のあちこちで水浴びが始まる。
その場所が、通りから覗ける庭先であったり、店先だったりした。
つまり、裸でいることは、男女問わず全く恥ずかしいことではなかった。
その感覚は、今を生きる私たちにはまったく分からない。
著者は言う、当時の裸に対する感覚は、顔に対するのと同じだったのではないか、と。
着物を着るのは、顔に化粧するのと同じ感覚だった。
裸を決して性の対象として見ていなかった。

はたと気付く。
春画では初期を除いて皆着物を着ているのは、裸ではつまらなかったからではないか。
着物を着せて物語を連想させるほうが、興味を抱かせたのだろう。

ではいつごろから裸を恥ずかしいと思うようになったのか。
まずは外国人の不躾な眼差しから始まった。
じろじろ見られれば、自然とそこに意識が行くようになる。
恥ずかしさを覚える。
開国して程なく、隠す行為が見られるそうだ。
そして明治政府が、外で裸になることを禁止した。
逮捕するほど相当に取り締まったらしい。

一度隠すと、隠されたところに興味の眼差しが集まるから更に隠すようになる。

裸を隠すため着物を着ても、下着は着けていなかった。
日本橋白木屋で火事があったとき、随分女性が死んだそうだ。
梯子をかけて逃がそうとしたが、風で着物の裾がめくれ、お尻が見えるからいやだと
降りなかったという。
それを契機にズロースの着用が広まる。
そうすると、その隠しているズロースに眼差しが集まる。
ズロースも隠すようになる・・・・・
そういえば、子どもの頃スカートめくりといういたずらがあった。

一度隠し始めると、もっと隠さなければ不安になる。
住宅がどんどん密閉状態になるのもその延長かもしれないし、
東電に代表される隠蔽体質も、無縁社会もその延長かもしれない。
そしてそれとは正反対に、隠されれば隠されるほど覗きたくなる。
明治政府によって生まれた性犯罪もあるかもしれない。

お上によって"常識"はいとも簡単に変わる。
変わるけれども日本人の根幹と異なるものであれば、歪んだものになる。
へそやお尻の割れ目が見えるほど股上の狭いパンツや、下着のようなファッションが
流行るのは、その反動かもしれない。

私たちは、明治政府の呪縛からまだ解き放たれてはいない。
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