----この映画って、実物大の戦艦大和を作ったとか…。
まさに超弩級の戦争映画だよね。
長渕剛が主題曲を作ったりして話題になっているようだけど…。
「今年は戦後60年と言うこともあって、
フィクションも含め戦争映画が数多く作られたよね。
それらはいまの日本の置かれている状況、
あるいは戦後選択してきた道への批判などを内包。
この映画も『もう会えない君を、守る。』がキャッチコピー。
命より大切なものがあると言う、
昨今の言論界の流れを後押しする作品かなと思ってたら、
いやあ、これがとんでもない先入観だったね」
----えっ、そうはなってなかったんだ。
「うん。観るまでは
お国のために覚悟を決めた男たち、
その凛とした魂を描いた映画かと思ってた。
ところが、これは昭和に数多く作られた反戦映画の流れを汲んだ作品。
『死んだらあかん』『生きるんだ』が繰り返し叫ばれる。
特攻の前日、臼淵大尉は
特年兵たちに『死ニ方用意』の中で行き過ぎた精神主義を批判。
もはや日本が救われるには敗れて目覚めるしかないと説く。
兵士たちも最後の夜には想いの丈を吐き出し、
自分らの死に、果たして意味があるのかを口角泡を飛ばして激論する。
一方、司令官たちは大和の沖縄特攻に疑問を抱き、
連合艦隊司令長官以下が防空壕から出て
陣頭指揮をとろうとしないことに対して怒りをあらわにする。
その作戦がいかに無謀で邪道なものかと問いつめられた
連合艦隊の参謀長は答に窮する」
----ふうん。それじゃあこれまで作られてきた戦争映画と、
そうは変わらないね。
「そうだね。
いわゆる美しい日本の心といったような描写はあまり前面に出てこない。
ハイライトの大和轟沈のシーンはもう地獄。
空からの攻撃で体は吹き飛び、肉片がちぎれ、
艦上は流血で真っ赤に染まる。
日本映画でここまでやったのは珍しいんじゃないかな」
----それってまるで『プライベート・ライアン』だ。
「うん、ぼくもそれを思い出した。
攻撃する側の顔は全く映らず、
ただ倒れていく兵士の姿ばかりが延々映される。
そうそう思い出した。
この映画には戦う相手の姿、
アメリカ人はひとりも出てこない。
そのため敵の襲来はまるで宇宙人の攻撃かのように感じる。
圧倒的な物量の違いで、余裕の攻撃。
これじゃあとても太刀打ちできないと思わされるんだ。
あと、評判が悪かった『亡国のイージス』の轟沈シーンに対して、
こちらは『タイタニック』を思わせる緻密な描写で描く。
艦内に入り込んだ海水で溺れる者
甲板の上を滑りながら海に落ちてゆく者。
艦が沈んだ後、海で救助を待つ画も『タイタニック』そっくりだったな」
----じゃあ、映画として観た場合はエンターテイメントになってもいるわけだ。
「うん。さすが『スピード』を先取りした
『新幹線大爆破』で伝説を作った佐藤純彌だけのことはあるね。
ただ、難を言えば、
テーマを現代とリンクさせるため、
映画の構成が現代からの回想となっているんだけど、
そのシークエンスが少し冗長だった感じは否めなかったな」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「…………」
※特撮と言うこと忘れる度

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☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
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まさに超弩級の戦争映画だよね。
長渕剛が主題曲を作ったりして話題になっているようだけど…。
「今年は戦後60年と言うこともあって、
フィクションも含め戦争映画が数多く作られたよね。
それらはいまの日本の置かれている状況、
あるいは戦後選択してきた道への批判などを内包。
この映画も『もう会えない君を、守る。』がキャッチコピー。
命より大切なものがあると言う、
昨今の言論界の流れを後押しする作品かなと思ってたら、
いやあ、これがとんでもない先入観だったね」
----えっ、そうはなってなかったんだ。
「うん。観るまでは
お国のために覚悟を決めた男たち、
その凛とした魂を描いた映画かと思ってた。
ところが、これは昭和に数多く作られた反戦映画の流れを汲んだ作品。
『死んだらあかん』『生きるんだ』が繰り返し叫ばれる。
特攻の前日、臼淵大尉は
特年兵たちに『死ニ方用意』の中で行き過ぎた精神主義を批判。
もはや日本が救われるには敗れて目覚めるしかないと説く。
兵士たちも最後の夜には想いの丈を吐き出し、
自分らの死に、果たして意味があるのかを口角泡を飛ばして激論する。
一方、司令官たちは大和の沖縄特攻に疑問を抱き、
連合艦隊司令長官以下が防空壕から出て
陣頭指揮をとろうとしないことに対して怒りをあらわにする。
その作戦がいかに無謀で邪道なものかと問いつめられた
連合艦隊の参謀長は答に窮する」
----ふうん。それじゃあこれまで作られてきた戦争映画と、
そうは変わらないね。
「そうだね。
いわゆる美しい日本の心といったような描写はあまり前面に出てこない。
ハイライトの大和轟沈のシーンはもう地獄。
空からの攻撃で体は吹き飛び、肉片がちぎれ、
艦上は流血で真っ赤に染まる。
日本映画でここまでやったのは珍しいんじゃないかな」
----それってまるで『プライベート・ライアン』だ。
「うん、ぼくもそれを思い出した。
攻撃する側の顔は全く映らず、
ただ倒れていく兵士の姿ばかりが延々映される。
そうそう思い出した。
この映画には戦う相手の姿、
アメリカ人はひとりも出てこない。
そのため敵の襲来はまるで宇宙人の攻撃かのように感じる。
圧倒的な物量の違いで、余裕の攻撃。
これじゃあとても太刀打ちできないと思わされるんだ。
あと、評判が悪かった『亡国のイージス』の轟沈シーンに対して、
こちらは『タイタニック』を思わせる緻密な描写で描く。
艦内に入り込んだ海水で溺れる者
甲板の上を滑りながら海に落ちてゆく者。
艦が沈んだ後、海で救助を待つ画も『タイタニック』そっくりだったな」
----じゃあ、映画として観た場合はエンターテイメントになってもいるわけだ。
「うん。さすが『スピード』を先取りした
『新幹線大爆破』で伝説を作った佐藤純彌だけのことはあるね。
ただ、難を言えば、
テーマを現代とリンクさせるため、
映画の構成が現代からの回想となっているんだけど、
そのシークエンスが少し冗長だった感じは否めなかったな」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「…………」

※特撮と言うこと忘れる度


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この映画は“意外と”すごく良かったです。
不謹慎ながら戦争モノは苦手なのですが、
最後まですごく真剣に観ていました。
タイタニックを私も思い出しました。笑
> さすが『スピード』を先取りした
> 『新幹線大爆破』で伝説を作った佐藤純彌だけのこ> とはあるね。
そうなんですか!
是非観てみたいです。
この映画は監督の「覚悟」を感じ取れました。
『新幹線大爆破』は大のおススメです。
その年、某映画雑誌の読者投票の
第一位に輝いています。
ご覧になったらぜひ感想をお願いします。
戦闘シーンがとんでもないことになっていました。
ワンカットだけ、気になる合成がありましたが、
それ以外はものすごい勢いで引っ張られました。
…戦争ものが多すぎて疲労気味です。
では!
佐藤監督、『北京原人 who are you?』が
最後じゃあまりにも悲しい。
相当な決意を持って臨んだと言う気がします。
これだけの力作は、
CGやSFXが当たり前の若手にはできない技かもしれませんね。
今年の他の戦争映画に比べて、
演出力では圧倒的に勝っていたと思います。
映像となっても迫力ありました。
全編に戦争で死にいくものを美化しているのではなく
生きることに着目しているのもよかったです。
コメントありがとうございます。
この映画、長嶋一茂が場をさらっていましたね。
あのセリフはとても重かったです。
残念ながら私はこの作品を観ていないのですが、
タイトルからしても軍隊の矛盾を暴いた作品のようです。
以前、どこかで映画監督はデビュー作に向かって成長するなんて言葉を聞いたような…。
これってデビュー作にその人のすべてが詰まっていて、
それ以降は、技術を身につけながら
最初のテーマを完成させていくと言うことなのかも。
とすれば、ここでこの映画が生まれた理由も分かるような気がします。
そうなんですよね。
オープニングも『タイタニック』を意識していましたね。
いまFMで『嵐を呼ぶ男』が流れています。
この歌のシーン。
そこでは
ドラム合戦を前に、
手をけがした主人公(石原裕次郎)が
歌うことで窮地を脱するのですが、
後年、『エレキの若大将』で
エレキのコードを抜かれた主人公(加山雄三)が
やはり歌ったことを思い出しました。
先人のやったことを模倣するのは、
いまに始まったことではないようです。