ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『アンチクライスト』

2011-01-23 16:02:54 | 新作映画
(英題:ANTICHRIST)


----この映画、日本での公開は絶望視されていたとか。
監督がラース・フォン・トリアーで、
主演のシャーロット・ゲンズブール
カンヌ映画祭主演女優賞受賞しているのに、なぜ?
「まあ、そのふたつの事実で
おおよその想像はつくよね。
かなりに過激な描写が含まれ、
しかもそれをゲンズブールが演じているってこと。
観た直後に思ったのは、
これは(パゾリーニ『ソドムの市』)以来の神をも恐れぬ映画。
物語は…。
愛し合っている最中に幼い息子を事故で失った夫婦。
深い悲しみと自責の念から妻(ゲンズブール)は神経を病んでいく。
セラピストの夫(ウィレム・デフォー)は、
この病院は薬を出しすぎだと、無理矢理退院させ、
自宅治療を試みるが、
妻は哀しみをお夫とのセックスで埋めようとする。
夫は、それを避け、さらなるセラピーを施すため、
催眠療法で妻の恐れている場所を聞き出し、
彼らがエデンと呼ぶ森の小屋へと向かう」

----そこまでは、よく紹介記事で読むよ。
どこが問題か、あまり分からニャい。
「実はこの映画、
プロローグとエピローグを含む6つのチャプターに分かれている。
最初、子供が窓から転落死するまでのプロローグが、
粋を飲むほど美しいハイスピードカメラによるモノクローム映像。
映画『あこがれ美しく燃え』でも使用された
ヘンデルのアリア『私を泣かせて下さい』が、
そのシーンを宗教的な高みにまでもっていく。
ところが、同じ行為=セックスでも、
これがひとたび、森の中に移ると
あまりにもおぞましい、悪魔の儀式に変わってゆくんだ。
“自然は悪魔の教会”とされ、屋根を叩くどんぐりから
“カオスが支配する”と喋るキツネなど、
あらゆるものが、悪意を伴って彼らに襲いかかる。
そんな中、妻の状態はあらに悪化していき…
と、ここからネタバレにもなるし、言えないけど、
ゲンズブール演じる妻の行為はそのエロス性において
世界のトップスターならずとも、
だれもが尻込みするようなことを次々とやってしまう。
それは残虐性においても同じ。
“痛い”ホラー全盛の今でさえも目をそむけなくなるような行為を
夫のみならず、自分にもしちゃうんだね」

----でも、そんな映画が評価されるのには
ワケがあるよね。
「それはそうだね。
『冷たい熱帯魚』がそうだったように、
たとえ、その描写に一瞬目を閉じたとしても、
結果的にはスクリーンを凝視してしまう。
それだけ映像の持つ吸引力にはスゴイものがある。
監督は、『リング』を始めとするジャパニーズ・ホラーにインスパイアされたとか。
ショッキング・シーンも多いけど、
空気で恐怖を感じさせる演出は見モノ。
それと、やはりエンディングだろうなあ。
今考えると、あれこそジャパニーズ・ホラーの影響だ」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「もう、森には行きたくないのニャ」
ご不満
砥石 はかんべんだ度




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2 コメント

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こんばんは (ノラネコ)
2011-03-08 22:49:58
センセーショナルな噂ばかりを聞いていたからでしょうけど、実際に観てみるとむしろ冷静な計算を感じるロジカルな作品でした。
まあボカシが入ってる事もあるでしょうけど、日本ではキリスト教国ほどのインパクトは無いんじゃないですかね。
タルコフスキーというよりも、どちらかと言えば宗教的で観念に逃げ込まない黒沢清って感じでした。
返信する
■ノラネコさん (えい)
2011-03-19 16:35:14
こんにちは。

お返事書かないうちに、
日本はとんでもないことになりましたね。
この映画の刺激も
現実の前には…。

早く落ち着いて、
また、映画を語り合いたいです。
返信する

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