ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

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『孫文の義士団』

2011-03-04 19:10:12 | 新作映画
(原題・英題:十月圍城Bodyguards and Assassins)

----これって、最初、
あまり気乗りしていなかった映画だよね。
「うん。歴史モノで
偉人の伝記を描くのかと…。
ところが、これがまったくといっていいほどの創作。
中国と香港合作による一大エンターテイメント。
第一、主人公は孫文でなく
彼を守ろうとした8人…」

----あっ、だから
英語のタイトルが『Bodyguards and Assassins』。
ということは、暗殺者も出てくるわけ?
「そうなんだ。
映画は、武装蜂起計画の密談をするべく
日本から香港に船で渡ってくる孫文と、
その情報をキャッチした、
西太后の命を受けて暗殺しようと待ち構えている一味との攻防戦を描く。
ただ前半は、孫文を護衛するための義士団が結成されるまでを、
それぞれの過去の事情と、現在彼らが置かれている状況を描くことに費やされる。
実は、ここが少し長すぎるかな…とも思って観ていたんだけど、
観終わった今となっては、
それぞれの人物をじっくりと掘り下げたことによって、
後半のアクションへ弾みがついたという気持ちが強くなっている」

----そのメンバーって?



「理想に燃える活動家チェン・シャーバイ(レオン・カーフェイ)、
革命活動に資金提供をする商人リー・ユータン(ワン・シュエチー)、
暗殺団のスパイとして働くギャンブル狂の警官シェン・チョンヤン(ドニー・イェン)、
愛する人との結婚を誓った車夫アスー(ニコラス・ツェー)、
過去の罪にとらわれ物乞いとなった元御曹司リウ・ユーバイ(レオン・ライ)、
父の復讐を誓う少女ファン・ホン(クリス・リー)ら。
この映画が人物設定が巧いという、そのてい例を少し出すならば、
商人の妻ユエル(ファン・ビンビン)は警官シェンの元妻。
彼女は夫のギャンブルによる赤貧生活をじっと耐えていたものの、
子供ができたことからその将来を案じ、別れている。
だが、当のシェンはその女の子が自分の子供だということを知らず、
孫文到着の前日に初めて知り、改心するという設定。
また、暗殺団の首領(フー・ジュン)は、
チェン・シャーバイの教え子で欧米の民主主義を学んでいる。
なのになぜ?…
というように、この映画は彼らの抱えている個人的な事情と想いが
幾重にも絡み合うことで、映画に奥行きを持たせているんだ。
でも、やはり見どころは、後半の約1時間に及ぶ孫文護送。
実は、ここで護送されている孫文は
彼が同志と密談している間の目を逸らすべく用意された影武者、替え玉。
敵の襲撃を受けながら街を行くその役に選ばれたのは
リー・ユータンのひとり息子リー・チョングアン(ワン・ポーチエ)。
さて、そこに次々と暗殺団が襲いかかる。
この描き方が、
先日話した『SP 野望篇』をパワーアップさせた描き方」

----つまり、『ウォリアーズ』ってことだね。
「そう。
でも、ぼくは
これが香港映画だからということもあるからだと思うけど、
『ブルース・リー/死亡遊戯』)を思い出したね。
あれは、五重の塔を上の階に進むにつれて新たな敵が待ち構えているという、
いま思うに、パソコンゲームのハシリみたいな感じだったけど、
これは、街全体を使って、横移動でそれをやっている。
それも、これまでの香港カンフー映画の総決算という感じ。
たとえば、馬を殴り倒すということで有名になった
あの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地覇王』もビックリの
人間と馬の大激突!まで出てくる」




----そういえば、このセットもスゴイや。
「なんと、製作に8年かかったらしいよ。
それは大規模なセットを建てて20世紀初頭の香港を再現するという、
監督テディ・チャンのこだわりによるもの。
当時の写真を参考に、
すべての建物の、何人住んでいるか。
男女別の人数、世帯数、そして家族構成や職業など
徹底的なディテールが決められたのだとか。
この映画にも出ているエリック・ツァン
『今まで見たセットの中で、最も大きく最も美しいと絶賛』。
噂を聞いたダニー・ボイル、スティーヴン・ダルドリー
らも訪れたらしいよ」




----やはり、同じ監督同士。
気合いが入っているのが
海を渡って伝わったってわけだね。
「そうだね。
さっき話したように
この映画は、これまでに作られた映画の記憶がいっぱいに詰まっている。
なかでも驚いたのがクライマックスの階段を転げ落ちる人力車。
これは明らかに『戦艦ポチョムキン』、オデッサの階段
そこで気づいたんだけど、
この映画は“革命”がテーマ。
監督がエイゼンシュタインを意識していないはずはないと思うね。
タイトルに『10月』を入れ、
映画の設定を10月にしたのも、
エイゼンシュタインの同名映画への目くばせだと…。
ちょっと穿ちすぎかもしれないけど…」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「孫文はほとんど出てこないらしいのニャ」小首ニャ

※後半一時間だけでも、観ないと損だ度

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映画の映像をネットに利用する場合… (流石埜魚水)
2011-03-05 08:37:48

お問い合わせ内容。映画の映像をネットに利用する場合…

突然のご質問をお許し下さい。映画の好きなブロガーです。私はブログやHPで映画の話題を載せています。時代劇から邦画洋画の話題作、古い懐かしの名画・・・とうとうさまざまです。その中で、映画の紹介のために公式サイトに掲載された映像や、上映中の作品ならば、映画ブログやサイトの映像をコピーして、自分のサイトに掲載しています。恐らくブログを発行している方は皆共通している行為だろうと想像します。東映や松竹等の配給会社の提供する写真や映像は、映画宣伝のため提供されているもので、映画のファンであり、いい映画を広く知ってもらうための普及に利用しているという軽い意識で利用させていただいてます。その裏には、少しも商業行為で利益に関係のないHPであり、これは著作権に抵触しない・・・という勝手な思い込みがあります。しかしこの写真、画像のコピーは、無断掲載、著作権に抵触する行為になるのでしょうか・・・?

私、現在、就職のためにWEBデザインを勉強しているものです。ホームページ製作練習のために、ある学校の講師の計らいで、映画のHPを「ドリームウィーバ」で製作して、面接先の会社にだけ閲覧できるようにあるサイトに掲載させてもらってます。しかしパスワードを付けて閲覧を限定、アドレスとバスワードを教えないと見れないように限定しています。こうした方法と委細の仕方でも無断掲載、著作権に抵触する行為になるのでしょうか???

よろしければ、映像資料の個人のブログ・HPへの掲載が、著作権違反になるかどうか、参考見解をお答えいただけないでしょうか?

流石埜魚水(横田富義)
メールアドレス sasuganogyosui@ybb.ne.jp
私の携帯です:0980-3878-9957
私のブログです:http://ameblo.jp/sasuganogyosui
■流石埜魚水さん (えい)
2011-03-05 21:50:36
こんばんは。

お尋ねの件ですが、お返事の方、
しばしお待ちいただけますでしょうか?
後ほど、なんらかの形で
私見について
ご連絡の方、さしあげたく思います。
よろしくお願いいたします。
目くばせ (ナドレック)
2011-04-23 09:49:55
色々な映画を彷彿とさせる…と思っていましたが、そうでした、階段といえばエイゼンシュタインでした。失念していました。
ファン・ビンビンがとてもきれいで素敵でした。
■ナドレックさん (えい)
2011-04-24 18:02:33
こんにちは。
あの階段のシーンで、
ぼくの興奮とは最高潮に達しました。
ほんと、よくやってくれる。
4月公開作品の№1です。
こんばんは (ノラネコ)
2011-04-25 23:19:57
これは予想外の傑作でした。
139分しかないとは思えない人間の描きこみ、怒涛のアクション、恐ろしいほどのスケールを持つ美術。
しかもあのラスト。
あのオデッサ階段によって、歴史的なスケールすら取り込みましたね。
仰る様に原題もおそらくはエイゼンシュテインの「十月」へのオマージュかと。
面白かった (ふじき78)
2011-04-29 10:29:10
しかし8年かけるセットってどうなの?
素晴らしいけどそんなんで生活成り立つの?

写真館の娘がいい人そうでいい人そうで。
■ノラネコさん (えい)
2011-05-03 12:44:11
こんにちは。
『十月』のタイトルから
エイゼンシュテインを連想された同志(笑)がいて嬉しい限りです。
しかし、タイトルの妙ですね。
「孫文」という名前が入ったことで
興味は沸いたものの、
こんなアクション革命映画だったとは
想いもしませんでした。
■ふじき78さん (えい)
2011-05-03 12:46:07
おっしゃるとおりですね。
セットだけで、こんなにかかるというのは、
少し眉つばのような気も…。
それだけの超大作なのに、
日本での公開規模はこの程度。
もったいないです。
やっと・・・ (悠雅)
2011-05-31 00:19:43
わが町にもやってきました。
前半の、キャラの書き分けと後半の一気呵成のアクションの数々。
手に汗握る内容の中に、人物の書き分けと見せ場をしっかり入れ込んで、
気がついたら、この男たちの物語に涙している…
噂には聞いてましたが、期待通りの1作。
スクリーンにかかるのを待っててよかったです。
悠雅さん (えい)
2011-06-02 20:05:30
こんにちは。
この映画、タイトルから想像するのとは違って、
ほんとうのエンターテイメント大作。
ハリウッドではなく、
自分たちはこう行くんだという、
海外へ向けてのメッセージも内包。
アジア発の堂々たる作品だと思います。

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