マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

「紺屋と高尾」を観る

2017年07月23日 | 映画・美術・芝居・落語

 7月4日(火)、頂いたチケットで新橋演舞場「七月名作喜劇公演」夜の部を観て来た。(1)お江戸みやげ (2)紺屋と高尾 の二本立て。どちらも楽しく観られたが、特に「紺屋と高尾」は面白く、会場は笑いの連続だった。
 「お江戸みやげ」では芝居見物に来たお辻(波乃久里子)が心を奪われてしまう人気役者の阪東栄紫を演じるのが喜多村緑郎。その緑郎が「紺屋と高尾」では吉原の最高位の遊女高尾(浅野ゆう子)に一目惚れしてしまう、紺屋の職人久造役。つまり緑郎は「七月公演」では、惚れられる役どころと惚れてしまう役どころの両方を演じていた。













 昨年9月の「新派特別公演」では、歌舞伎界を去った市川月乃助は、二代目喜多村緑郎を襲名し、それ以降新派の舞台を踏むことになった。改名後、私達は新派公演を観てはいなかったので、緑郎の活躍ぶりは知るよしもないが、今月を見る限り、立派に主役を張っていた。「お江戸みやげ」ではイケメン役。「紺屋と高尾」では二枚目半を熱演していた。(写真:左緑郎、右浅野ゆう子)
 「紺屋と高尾」は落語でも有名で、こちらは「紺屋高尾」の名で語られている。実話があったらしい。新派では一竜斎貞丈口演を平戸敬二が脚本を書いていた。落語は「You tube」で先代円楽を聴いてみた。筋立ては落語と新派では些か違いがあるようだが、基本は同じだ。
 主人の代参で江戸に来た紺屋の職人久造は、何と、華やかな花魁行列を観て、高尾太夫に一目惚れしてしまう。大阪に帰った久造は寝たっきり。医者は“恋患い”と見抜いた。それも今を時めく花魁高尾太夫に。必死に働いて50両を貯めて花魁に会いに行く。久造の真心を聞いて高尾太夫が感激。その妻になることを約束。





 
勇んで帰って来て報告する久造の話を誰も信じない。大阪にやって来る約束の日に高尾太夫は現れない。「お前は騙されたんだ」と嘲笑されるが、年期が明けて、高尾太夫は駕籠に乗ってやって来る。その高尾太夫を演じるのが浅野ゆう子。実に艶やかな花魁を演じていた。この舞台の花形は正に浅野ゆう子だ。観客の私もが惚れ込むような艶なる美しさ。本来は藤山直美が演じるはずだったが、乳がん治療に専念の為に降板、急遽浅野ゆう子が代役となった。直美の高尾も観てみたかったが、代役浅野ゆう子にピッタリの役。浅野ゆう子の花魁姿を観られて大満足。(写真:浅野ゆう子)
 
高尾太夫が素顔を見せる場面がある。もの憂げに外を眺める太夫の横顔に憂愁が漂う。花魁高尾にも多くの苦しみを乗り越えてきた過去があったのだ。
 駕籠でやって来た高尾の嫁入りに久造の母が大反対する。店主の娘が久造に惚れていることを知っているからだ。その母親の前で土下座して嫁入りを懇願する高尾。それでも母は首を縦に振らない。思いあまった高尾は、染の原料藍の入った甕に手を突っ込む。母親も高尾の意気込みに、結婚を許し、メデタシメデタシで幕。ただただ面白かった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。