崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

マテオリッチ

2009年11月20日 05時24分43秒 | エッセイ
 元同僚であって有名な地理学者の川村博忠氏が訪ねてきた。彼は1935年朝鮮京城に生まれ、広島大学文学部史学科地理学卒業、山口大学の教授、東亜大学教授を歴任した人である。彼は戦前戦後の朝鮮と引き上げの時の話をしてくれる。昨日の話では彼が先日韓国人旧友の二人を案内したのに一人は慶北大学名誉教授であり、拙著の読者でもあったという。昨日は1602年マテオリッチ作「坤與万国全図」に関する元ソウル大学教授の李燦氏著の本を持って来られた。その地図は韓国に1本、日本に2本と筆記本が30ほど残っているという。大阪の「北村所蔵本」を先日直接見ることができたという。鎖国時代において世界に関して日本人は関心が高かったといえる。地図には魚などの絵を描き入れてある。日本人の記録と保存の優れていたことを意味する。
 私の関心はその作者であるイタリア人のマテオリッチである。彼はカトリックの宣教師でもある、彼は北京に長く住んでおり、朝鮮から彼を訪ねた学者を通して韓国にカトリックが伝道されるようになったことである。私が1980年代書いた『韓国の祖先崇拝』で1780年代にカトリック信者たちの殉教について触れたこともあって、だんだん話が盛り上がった。マテオリッチは中国で中国式の名前(利瑪竇)や服装までしていながらキリスト教の神を中国語で「天主」「上帝」と訳した『天主実義』は有名であり、私は高校時代に歴史の教科書で習ったことを思い出した。川村氏によると西洋の宣教師は日本に来ては日本を蔑視したので日本式の名前を作らなかったという。しかし朝鮮に来た宣教師たちは朝鮮式の名前を作るのが一般的であるので私はその事情が分からなかった。本当に楽しい勉強会のような時間であった。

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