母親が子供を殺した事件が発生して驚いている。子供に対する母親の愛情は本能的に一番強いと思われるからである。しかし子供を産んだ人であり、母子関係は一番密接な関係であるから、母親は場合によっては子供を自分で処理できると思いがちかもしれない。古くは世界的に間引きのような風俗も結構存在した。日本も近代以前まではそのような現象が残っていた地域もあった。しかし子供が親を殺すのは大逆罪のように扱われた。たとえば中国や韓国の伝統的な法律と倫理では子供が親を殺人した場合は普通の殺人より重い。その基本には人間社会の最も基本的な親族関係と愛情が横たわっているからである。それが壊れることは人権の基本が壊れることになるとも思われる。子供は自分の身体の一部という人権思想以前の人間の愛情の根本を揺るがす問題である。その点で母親の子供殺人事件は日本社会の基本の破壊を象徴しているものとして扱ってほしい。心中物語りの現代版としてみてはいけない。
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