崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

貞操

2015年05月28日 04時50分52秒 | 旅行
政治家が「歴史認識は研究者に任せろ」というが、それは研究者に「政治家となれ」と言う意味ではない。昨日は「在外日本研究者たちの声明文」(毎日新聞)を中心にいろいろと考えた。アメリカの教科書の慰安婦に関する記述に訂正を求めた日本政府に対する反発が根底にあると思われる。安倍政権の訂正と米研究者の反発は政治的であり、純粋な意味で研究者から政治家への提言とは言えない。戦争と性の問題は米軍をはじめ世界的問題とされているのは研究上多様であり、慰安婦だけをピンポイントして政治問題化するのは問題である。
 戦争に関する歴史認識とは何だろう。戦争映画中に現れるヒューマニスト、あるいは勇敢な戦士、残酷な殺害、売春婦などを持って劇化するものではない。戦争を以て人間自らが反省することであろう。歴史をもって政治的カードにする政治家に客観的なコメントを出すのが研究者であろう。
 私は慰安婦登場以前の韓国の教科書でモンゴルから侵略され、女性供出を恐れ「早婚風習」が生まれたと学んだ。侵略され処女を奪われたというのは韓国人の古い論理である。当時の中国でも早婚の風習があったことは知らなかった。また壬辰倭亂(朝鮮出兵)で倭が女性の貞操を蹂躙したということを女性に礼儀作法を教える教科書の「内訓」にも書かれている。反日と反共を国是とする前の国是は「貞操」であった。日本人の感覚からは理解できない。今の慰安婦問題にも根底にはこのような性意識が横たわっている。拙著『韓国の米軍慰安婦はなぜ生まれたか』(ハート出版)でそれを強く主張している。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿