崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「静中動」

2011年03月05日 04時06分50秒 | エッセイ

先日下関の長府博物館の古城春樹館長の善意によりで朝鮮通信使関連資料を見て感動したものがある。朝鮮通信使行列図など多くの貴重な資料を拝見したが、中でも私の目を引いたのは通信使としてこられた朝鮮の画員の金明国氏が描いたもので箒を立てて、ちょっと考えている姿の絵である。ロダンの「考える人」像に対比できるようなイメージを受けた。箒で掃く仕事中にちょっとそれを止めて、何かを考えているような姿である。暇そうにも見えるし、忙しい仕事忠に、立ったままで一休みして考えている姿が伝わってくる。ロダンの「考する人」が深く考えるように感ずる反面、この絵からは仕事の中の思考の姿と感じ取れる。
 これらの絵などの資料はよく保管されているが、もっと公開されて鑑賞されて欲しい。この絵が大小の仕事ばかりで「忙しさ」に埋没されている現代人にくれるメッセージがある。現代人は「忙しさ」に孤独を避けるか埋没されている。多くは「忙しさ」に生きがいを感じている。しかし「忙しさ」だけでは人間の本質が蝕まれる。箒を立てて「静中動」一瞬でも考えてみたい。それが人間性の回復であろう。(写真下は名護屋城博物館で調査)


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