崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

シャーマニズム講義へ学生のコメント

2007年08月12日 05時45分44秒 | エッセイ
 今週広島大学院と東亜大学院で6日間集中講義は大変であったが、一生の学問成果を精一杯講義し、楽しかった。その東亜大学院生の感想文から一部を抜粋して紹介する。


 「三日間の集中講義においてどの話も興味深かったのであるが、結果的に全ては先生のご研究の原点であるシャーマニズムが包含している問題群に回帰することも感じた。韓国の儒教思想から外れた部分をシャーマニズムが補完する(韓国社会の二重構造)という事実も、科学と合理性と長寿の中で自殺が増えているという事実も、感情が真実の目を曇らすこと(靖国問題の話で痛感した)も、全てが人間存在の複雑さそのものへとつながっていくと感じた。
 非合理なものは説明しにくい。ゆえに迷信だとかいうことで排除していくのは楽で合理的なあり方かもしれないが、そこで捨て去られたエネルギーこそまさに現代の祟りとして世界的な混乱を起こしているのではないだろうか。人間は矛盾を抱えた存在であることを深く認識し、その不合理さを学問的に明らかにしていくことでもたらされる救済は少なくないではなかろうか。例えば、FGMの話には大変衝撃を覚えた。ただ、それが存在してきた意義を明らかにし、その方法以外のあり方で本質を継承していく智慧を生み出していくことは可能だと思うのだ。
 学者の存在意義とは何かということを先生はご自身の存在そのものと、机に上に数多く置かれたご著書で、言葉にせずとも訴えていると思わずにいられなかった。」 


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