崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「無縁死」

2010年08月26日 05時28分40秒 | エッセイ
 世界最長寿国の日本で高齢者所在不明が問題になっている。中には死者の年金だけが頼りで、死亡届を出さないまま白骨体と暮らしていた人がいる。居場所のわからない「100歳以上」のお年寄りは数百人もいる。平均寿命の伸び率、孤独な高齢者、そして失踪と無縁死、年金問題など高齢化社会の象徴的な表われであろう。
 日本は明治維新以来戸籍制度を確立し、植民地にも普及させた信頼される国である。しかし、今では高齢化、最長寿国家という体面はドン底に落ちた。「無縁死」についていろいろと言われている。私の日本居住歴から考えると過剰な「プライバシー」が主な理由だと思う。ある大学では電話で身分を明らかにして自分の電話番号を教えても本人に繋げてくれないところが多い。そして「プライバシーを守る先進国」という意識のような態度である。その成果か宣伝電話以外に固定電話のベルは少なくなった。学会では住所録も作らない。個人を守り、個人がしっかりする西洋の「個人主義」を誤解して受容し、人間関係を切って孤独にさせている。これから無縁死だけではなく、自殺なども多くなるだろう。社会病の根っこを直すべきである。



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