文化人類学の講義で留学生たちのカルチャーショックは何だったのか、聞いた。日本人が親切であるというような話にはならなかった。むしろ日本で失望した話が多かった。先進国と思ったがカード計算ができない、交通費は高い、ごみの分類処理がうるさい、食堂でも煙草を吸う。スタンフォード大学の別府春海先生の「トリプルカルチャーショック」を読み上げた。先生はアメリカ生まれ、日本育ちの日米の経済の格差から受けたショックを述べをておられた。戦後の貧乏な日本から豊かなアメリカへはショックであった。さらになお大きいショックは「鬼畜米英」と言った日本人が戦後進駐軍歓迎、180度極端な豹変に少年の彼は驚いた。
今私のショックは金正恩の存在感である。近い親族処刑や暗殺の悪魔からイケメンへ変身し、登場している。トランプ大統領のトランプ遊びのような情勢変化を学生たちはどう思うのか。国家やナショナリズムに懐疑的になり文化人類学者になったという別府先生の話は正鵠を打つものである。私の説明は交通費は安くて国民が常に民族移動の現象、ごみ処理とは捨てるという観念から再活用へ、禁煙喫煙は嗜好の配慮など政策によるものとしてもう少し深く考えてみようと蛇足を付けた。