崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「冥界婚」「陰陽師」

2016年08月18日 05時35分03秒 | エッセイ

 猛暑の熱夜が多少弱まった。時々涼しい風が通る。まだ熱中の中ではあるが秋が遠くないと感ずる。私は今週末東京へ、映画「冥界婚」の上映会とトークショーをする。北村皆雄監督の映画が上映される中のトークである。広告のチラシ、

「冥界婚」(2016)は撮影から17年が過ぎていましたが、韓国の客船セウォル号沈没事故の悲劇を受けて完成させることになりました。韓国東海岸のムーダンが司祭した死者同士の結婚式で、受け入れ難い悲劇に直面した家族の心を救う儀礼と芸能者集団のパワー全開の貴重な記録となりました。トークゲスト夢枕獏氏の質問に答えるのはムーダン研究の第一人者である崔吉城(チェ・キルソン)氏。

 冥界婚について「トークゲスト夢枕獏氏の質問に答える」という言葉が気になる。夢枕獏氏の人と作品世界はどうなのであろう。面識はない。不思議な作品世界へ常に挑戦的に創作活動をする作家の攻撃に私はただ受け身になる気持ちである。しかし私も挑発的に問いかける気持ちで彼の作品概要と数編の作品を読んだ。死霊や鬼の世界の話では私が研究上、あまり大きく注目していなかった煙、香り、臭い、焼き紙、紙銭、櫛などが彼の「陰陽師」に展開されいる。民俗学の研究を掘り下げて展開しているようである。私は以前シャーマンの儀礼の中の線香や焼き紙を以て香りの文化へ、お茶と化粧品文化まで広げてみたが、この度はそれらをもって彼の想像力に迫ってみたい。何だかオリンピックの試合に行くよう大げさな話になった。