崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

スコットランドの開票結果

2014年09月20日 05時10分04秒 | 旅行
昨日はスコットランドの開票結果が気になってCNNニュースから目を放すことができなかった。分裂主義(separatism)が独立(independent)を問うことができるか。300年間のスコットランドの歴史と伝統、中央政府への反感などが国家へ抗議する投票であった。古くは自ら国家、国籍を変えようとする大逆罪に当たることである。独立をYESとする人々は彼らの伝統的民俗楽器のバグパイプをならしながら投票運動を起こした。やはり地元の人が多く、伝統的な地域において賛成が多かったが民族移動が多い地域がNO、スコットランドはイギリスに残ることになった。私はこの投票と開票の過程をみながら分裂主義は、時には紛争や戦争を起こし得るという教訓を得た。伝統主義、民族主義はある意味で危険であるということである。「地方創生」は郷土主義を強化しようとするのではなく、地方の開放進歩を促進すべきであろう。
 テレビに熱中している中、二つの郵便物が届いた。一つは申栄福氏からのものである。申氏は1966年から陸軍士官学校の教官をした元同僚である。しかし1968年に統一党革命首謀者として無期懲役となって20年間刑務所に収監された人である。彼と2年間の訓練期間と教官生活を共にした。当時、富川刑務所に面会に行ったが会えず、それきり私は一生申し訳なく思っている。出獄後電話しても通話ができなかった。50年以上再会していない。今は聖公会大学の特任教授、彼からの手紙と著書を受け取って感謝、感動した。
 もう一つは先週ソウル民俗苑で出版された訳書『朝鮮の巫覡』である。日帝植民地資料叢書である。永い年月をかけた成果である。この本は朝鮮総督府嘱託であった村山智順が当時朝鮮半島全体、全国警察網を利用して調査したもので、私が調査地を全羅南道長興と決めたのもこの本によるものであった。韓国ではこの本が植民地嘱託による警察調査と言うことで利用されていなかった。韓国シャーマニズム研究のもっとも基礎的な本である。読まれることを期待している。出版事情は悪く、売れる本でなければ出版しない状況でも長い友情関係の出版社の会長、社長、編集員たちが文化事業として本書を世に出して下さったこと、ほんとうに嬉しく、感謝するのみである。